韓国政府は国内で食用として販売されているミンククジラを海洋保護生物に指定する方向で手続きを進めているが、これに対して韓国で唯一「鯨文化特区」に指定されている蔚山広域市南区長生浦の住民らが反発を強めている。鯨は捕獲が禁止されているが、網などに偶然かかるなどして死んだ鯨は市場で販売が可能だ。しかし今後海洋保護生物に指定されれば、このような「混獲」された鯨も流通が禁止となる。過去に韓国最大の捕鯨の拠点として知られ、鯨文化特区として生まれ変わった長生浦の商店主らは「生活の手段が奪われ、固有の食文化までなくしてしまう保護種指定は受け入れられない」と訴えている。
19日午後に蔚山広域市南区長生浦の鯨文化特区にある鯨肉専門店を取材した。店には30のテーブルがあったが、客が座っていたのは四つだけだった。3代にわたり鯨肉販売を続けてきたアン・ヨンギョンさん(48)は「コロナの影響で客も来なくなったが、政府がミンククジラを保護種に指定すると聞いて不意打ちをくらったような気分だ」「われわれに死ねということか」と不満げに語った。現在特区には鯨肉専門店が9カ所あり、また全国に鯨肉を取り扱う飲食店は120カ所以上あると推定されている。