外来処方制限における微妙な向精神薬 | kyupinの日記 気が向けば更新
2014-04-04 13:10:53

外来処方制限における微妙な向精神薬

テーマ:向精神薬
先日アップした処方制限について、以下、再掲。

2014年10月1日から、精神科外来では、抗不安薬、眠剤は2剤まで、抗うつ剤及び抗精神病薬は3剤までに制限され、このルールに従わない場合、診療報酬のいくつかの項目で減点となる。

この際に、どこの範疇に入るのか医師でもわかりにくい薬物群がある。今回はこの話について。誰でもわかるような薬は取り上げない。

デパス
これは抗不安薬に入る。

この決定は「懸念の規模が大きい点」で重大である。その理由は、デパスは眠剤としても使われているため、不眠の酷い人ではデパスが眠剤として追加処方されやすくなるから。デパスのように半減期が短くクセのある向精神薬は、精神科患者さんに多く処方されるべきではない。

アタラックス及びアタラックスP
これは蕁麻疹などの皮膚疾患にも使われるが、抗不安薬とされている。なお、眠剤とはされていない。

ベンザリン
これは抗てんかん薬でもあるが、眠剤のカテゴリーに入った。

フェノバール
これもベンザリンと同様、抗てんかん薬だが眠剤とされている。

リボトリール
海外では抗不安作用として使われることもあるが、日本の今回の決定では、抗不安薬にも眠剤にも入っていない。(日本の適応が「てんかん」しかないからであろう。)

ロゼレム
しっかり眠剤に入っている。

ベゲタミンA及びB
これは添付文書上は鎮静的な抗精神病薬風に書かれているが、眠剤とされている。おそらく臨床的に強い眠剤として使われることが多いからであろう。

ドグマチール
抗精神病薬としてだけでなく、うつ状態の人にも処方されるが、定型抗精神病薬とされている。つまり、ドグマチールは今回の書類上、抗うつ剤ではない。

レスリン
当たり前と言えばそうだが、抗うつ剤とされている。

アポプロン(レセルピン)
臨床上、降圧剤として使われ、向精神薬としてはほとんど使われないが、今回は定型抗精神病薬とされている。このような薬はほぼ問題にならない。

ベタナミン(ペモリン)

ナルコレプシーなどにも使われるが、抗うつ剤とされた。

エビリファイ
エビリファイは、統合失調症、躁うつ病、うつ病に使えるオールマイティーな薬物である。ただし、うつ病については単剤処方できず、抗うつ剤と併用という制限がある。この薬物は順当に抗精神病薬とされている。

他、鎮静的な漢方薬、抑肝散はどこにも挙がっていない。また、精神科でよく処方される加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蛎湯なども同様である。漢方は、向精神薬とはされていないのであった。

なお、抗うつ剤及び抗精神病は3剤までなので、外来患者に限ればあまり問題にはならないと思われる。問題なのは眠剤。例えばこのような処方はできない。

レンドルミン 0.25mg
ドラール   15mg
ロゼレム   4mg


自分の外来患者さんを調べたところ、抗精神病薬、抗うつ剤、抗不安薬で引っかかる人は皆無だった。

自分は、比較的、抗てんかん薬を処方する傾向があることと、どこにも属さない薬、例えば、カタプレス、インデラル、チラージンS、アムロジン、レニベースなどを投与しているからである。(過去ログ参照)。

しかし重い不眠の人には、眠剤が3剤を超える人もたまにおり、これはボチボチ整理しなくてはならない。

凄い多剤の人で、この人は間違いない!と思われる人は不思議にクリアしている。その理由だが、糖尿病の薬や降圧剤などの内科薬や漢方薬がが出ているためにそういう印象があるだけで、眠剤が少なかったら問題にならないことが多いのである。(正直、抗うつ剤や抗精神病薬を同時に4剤以上処方するのは難しい)

自分の場合、ソラナックス、デパス、ワイパックスを使わない傾向だったのが大きいと思った。

参考
外来における向精神薬投与制限
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コメント

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11  Re:Re:向精神病薬、抗不安剤の区別

>ゆーすけさん、ありがとうございます。私の場合抗てんかん薬が一番効いています。抗てんかん薬は躁、鬱どちらにも効くようです。以前かかっていた精神科医は抗鬱剤の量をを大きく変えていましたが、ほとんど効果はなく、返って躁鬱の波が増幅されていた感じでした。いまの主治医は双極性の人には抗鬱剤は不要だと言います。

10  Re:向精神病薬、抗不安剤の区別

>Tom-Jさん
一般に気分安定剤は、リーマスやそれと同等の効能を持つ薬です。
挙げられたランドセン、デパケン、ラミクタールは、本来は抗てんかん薬です。気分安定剤として処方することもありますが。
セロクエルは非定型抗精神病薬で、気分安定剤とは異なります。

9  こういった一覧表みたいなのがあるといいかもですね。

どのお薬がどの類いになるのか参考になります。

例えば‥ ドクマチールを胃潰瘍の病名を付けて処方すれば、何とかなるのかと思いきや、50mgまでと決まっていましたが‥

多剤とまではいかなくても、少し多く併用している外来患者さんに 何か小さな抜け道みたいのがあればいいですね。

8  デパスは

ぜひ抗不安薬にいれてほしいです。

眠剤としてのんでますがこれを眠剤にカウントされると3種類オーバーになってしまいます・・・・。

8ヶ月まえまでは多剤併用だったのですが今は内科疾患との兼ね合いでがっつり減らしました。減らしてもなんとかなる感じです。

不眠が強い場合は強い薬を増やすということになりそうな感じですね。これがほんとにいいことなのか?疑問です。

7  向精神病薬、抗不安剤の区別

私は気分安定剤と言い方を聞いてきました。気分安定剤と言う分類は無いのでしょうか?私は気分安定剤に、抗鬱剤および睡眠薬以外の薬はをすべて気分安定剤と分類していました。
抗不安剤と抗精神病薬とをごちゃ混ぜにして気分安定剤と勝手に定義していた様です。

現在、私は以下の薬を飲んでいます。
・ランドセン
・デパケン
・ラミクタール
・セロクエル
上記4種を気分安定剤だと定義しています。

・抗鬱剤なし
ラミクタールを1年かけて25mgから100mgに増量したらゼロにされました。それまではルボックス25mgを飲んでいました。

睡眠薬
・アモバン
・ロヒピノール
・グッドミン
アモバンを先月から抜いています。

どうも気分安定剤と思っている中に抗不安剤と抗精神病薬が混ざっている様ですね?


6  アタ P

アタPを処方してもらっていました。
皮膚科で蕁麻疹が痒くって眠りにくいと言うと処方されていました。
精神科での単剤処方(寝る前一錠だけ飲む)にするときに此にしてもらいました。
眠たくなるし、精神も安定するし、蕁麻疹にも効くし。
薬に弱い私に取ってはオ-ル・マイテイ状態のお薬でした。なつかしいです。

5  自分も一昨日精神科医から説明あり

kyupin先生、お早う御座います。

何時も有意義な記事アップ感謝しています。

眠剤:ロフヒプノール、ハルシオン

安定剤:デパス、朝晩と頓服

RLS:リボトリール

これ以上は処方不可との説明ありました。

安定剤は精神動揺時の降圧目的ですが、当初ワイパックスでしたが全く機能せず、デパスでないと駄目なのです、個体差?。

4


前回の処方制限記事にコメントを書いたら、とある精神科医に見られていたみたい。
私はたった2剤の抗鬱薬でしたが、突然、断薬して2人の英国人主治医をビックリさせてしまいました。が、それでも私の持論に主治医達2人&心理士1人を付き合わせて寛解に向けて暴走中です。
たった2剤のお薬で気も狂わんばかりの離脱症状だったのに これから変わり行く処方に向けての減薬・断薬の離脱症状はどう処理されるのか気になります。
どちらが辛いのかな?最大量の単剤からの離脱か、ちょびっとずつ多剤からの離脱か... 教えて下さい~!

3  未熟な精神科医向けの改正?

今回の改正は、ソラナックス、デパス、ワイパックスを安易に処方する医師に、薬の整理をしろ、という意味合いがある。

と、いい方向に考えればいいか。

ソラナックスの添付文書を見ると、効能部分がなんだか弱々しく感じる。

患者側としても薬の効果をしっかり自分で確認して、不要な薬を整理していく気力を持ちたい。
個人的にもデパスとワイパックスは後味が悪いからのまなくなった薬(ソラナックスは知らない)。

2  スルピリド(ドグマチール)

 新薬の前の非定形の薬かと思っていました。

 札幌でビル管理の仕事をやっているときに処方されてたかな。

 うーん、最近ゼプリオン注射の後太ったかなあ?? 着れる背広がなくなりました。ある意味死んでる?
 緊張感とか無くなって陽気になったのかなあ??

 プロ野球が始まったので、一日がてきめんに違いますねえ。
 酒量が減っていいです。(ばきっ)

 エビリファイ24mgよりお嫁さんが欲しいがなあ。
 遺産等、2千万円程度は保証できると思うのだが。
 NISA始まりましたね。(^_^)

1  ベゲタミン

ベゲタミンが眠剤として分類されるのは、強引という感が否めませんね。そこまでして制限したがる理由は、濫用対策というより、医療費対策ではないかと疑いたくなります。
フェノバールを眠剤だというのなら、コントミンだけ取り出して、例えば【マイスリー+サイレース+コントミン】という併せ技は成立するかもしれません。
中途覚醒・早朝覚醒対策として、中間型睡眠導入剤に足して使える薬は、メジャートランキライザーくらいだと思います。今後は、コントミンやヒルナミンの処方が増えるのではないでしょうか。

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