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 防衛省が2021年5月17日に開設した新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場向けの予約サイトが、「0000000000」といった架空の接種券番号で予約を受け付けることが分かった。加えて、何度でも予約できる状況になっている。防衛省は日経クロステックの問い合わせに対し「不具合かどうかを含めて状況を確認中」(報道室)としている。

自治体番号は「000000」、接種券番号は「0000000000」、生年月日は年齢が対象外の51歳となる「1970年1月1日」で認証を通過し、予約まで完了した
自治体番号は「000000」、接種券番号は「0000000000」、生年月日は年齢が対象外の51歳となる「1970年1月1日」で認証を通過し、予約まで完了した
(出所:防衛省)
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 大規模接種会場向けの予約サイトは、地方自治体が対象者に郵送した接種券に記載された「自治体番号」(6桁)と「接種券番号」(10桁)に加えて、接種を受ける本人の生年月日を入力して予約する。現在の接種対象者は65歳以上の高齢者だ。

 日経クロステックが実際に予約サイトで確認したところ、2つの番号とも実在しないとみられる番号と、かつ65歳未満の生年月日を入力しても、大半のケースで認証画面を通過し、会場や接種日を選択する画面に遷移した。例えば自治体番号は「000000」、接種券番号は「0000000000」、生年月日は年齢が対象外の51歳となる「1970年1月1日」で認証を通過し、予約まで完了した。幾つかのランダムな接種券番号を試したところ、認証時にエラーを返したのは「1234567890」だった。

 実在しない番号などで予約しても、実際に会場でワクチンを打てるのは自治体が配布した接種券を持参した人に限られる。このため予約サイトの構築において、認証・確認する情報を大幅に減らした可能性がある。ただ実在しない予約番号や同じ予約番号で何度も予約ができてしまう現在の状況は、空の予約でワクチンを無駄しかねない。

 また防衛省は同日、予約枠の設定の誤りにより今回の予約対象期間である5月24~30日ではない、6月12~18日でも予約できるようになっていたと発表した。同期間の予約(772回分)は有効とするという。

 予約サイトは防衛省から委託を受けて、健診などの予約受付システムを提供するマーソ(東京・港)が運営している。同社は日経クロステックの取材に対し「防衛省に聞いてほしい」との旨を回答した。