------------------------------------------------------------------------------ 星の煌き Episode 02 -弱点- ------------------------------------------------------------------------------ <河原> チルドレンショーの第1回戦を開催しているアルファドーム目指し、旅を始めたシンジ は、次の町へ向かう途中の広い河川敷で、初めてアスカの訓練をやっていた。 「やーーっ!」 カキン。 プラグスーツを着、アクティブソードとアクティブシールドを手に、アスカが切り掛か って来る。ソードの交わる高い金属音が響く。 「やーやーっ!」 カキンカキン。 「たーーーーっ!」 「ちょっと待って。」 「やーーーーっ! えっ!?」 「ストップ。ストップ。」 「どうしたの?」 「駄目だよ。本気でやらなくちゃ。練習にならないよ。」 「やってるわよ?」 「ソードに切り付けてるだけじゃないか。体狙わなくちゃ。」 「そんなのできるわけないでしょ。」 「心配しなくていいよ。ぼくを切るつもりで来なくちゃ。」 「だって・・・。」 押し黙ってしまうアスカ。自分のことを心配しているのだろうが、しっかりと訓練をし ておかなければ、使徒との戦いで死ぬことになる。 「いい? 本気でやるんだよ。」 「うん・・・。」 再び訓練が始まる。アスカのアクティブソードと、シンジが護身用に持って来た幅の広 い大きなソードが交わり火花が散る。 「駄目だよっ! まだ本気でやってないっ!」 「やってるわよっ!」 「手加減してるじゃないかっ!」 「やってるって言ってるでしょっ!」 「・・・・・・。」 カキンカキン。 今まで散々英雄加持に訓練を受けて来たシンジだ。言われるから仕方なく訓練をしてい たところもあったので、その腕は一流とまではいかないが、相手を殺す気になった人間 が、こんな戦い方をしないことくらいはわかる。 「アスカのヘタクソっ!」 「えっ!?」 「デブっ! ブスっ! バカっ! ズンドウっ!」 「ムムム・・・!」 「悔しかったら、ぼくを参ったと言わせてみろよっ!」 「むぅぅぅっ! でやーーっ! でりゃーーっ!」」 カン! カキン! カキン! カキン! ようやく自分を守る為にソードを動かす必要が出てきた。ひとまずは、これでいいかと 相手を続ける。 カン! カン! カン! 「そろそろ休憩しようか。」 「はぁはぁ。うん。」 ぶっ続けで訓練を続けているので、そろそろアスカも限界。シンジと違い無駄な動きも 多く、疲れ方も激しい。 「はい。ジュース。」 「ありがとう。」 シンジは買ってきておいた缶ジュースを1本手渡し、自分の分もプルトップを開けてゴ クゴクと飲む。 「はぁはぁ・・・。美味しいー。」 「剣持ったの初めてなんだろ?」 「そりゃ、武器なんて持たせて貰えないもん。」 「それにしちゃ上手いよ。動きをシャープにしたら、かなり上達するんじゃないかな。」 「ほんと?」 「うん。また明日も訓練しよう。」 「えーーー。続けてやりたい。今。」 「チルドレンショーのメインはマジックだからね。そっちの練習もしなくちゃ。」 「そっか・・・。じゃ、早速やりましょ。」 「えーー? もう?」 「大丈夫っ! アタシは元気よっ!」 「はいはい。」 急かされてしまい、マニュアルを見つつマジックリングをアスカの腕にはめる。リング という名前ではあるが、幅の広い重厚な腕輪だ。 「いい? 心の中でぼくのことを考えるのが最初のステップだって書いてあるよ。ぼく と1つになろうって考えるみたい・・・。」 「うん。わかった。」 「1度やってみようか。」 シンクロなどシンジにとっても初めての経験。受信用のインタフェースヘッドセットを 頭に付けて、神経を集中していく。何が起こるのかわからず不安と戸惑いはあるが、興 味や期待も高い。 あっ! これがシンクロなのかな? なにか感じる・・・。 暖かい・・・。 「もういいのかなぁ? アスカ? 両手を前に出して・・・えっと・・・。」 図解付きのマニュアルを見ながら、指示を出す。 「こうやってさ、構えてみて。」 「うん・・・。」 初めてのシンクロの為か、アスカも少しぼーっとしている様子で、言われた通り両手を 前に出す。 「うん・・・これでいいんだよな。ぼくが買ったのは炎系のマジックだからぁ・・・。 これからやってみよう。」 ペラペラとマニュアルを捲って適当に見つかったマジックを確認すると、アスカが技を 出しているイメージを思い浮かべる。 「アスカっ! ファイヤーボールだっ!」 ドガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!! 「キャーーーーーーーーーーーーーー!」 ゴロゴロ。 「いやぁぁぁ、いったーーーーいっ!」 「いっ! いってーーーっ!」 シンジがファイヤーボールを念じた途端、アスカの両手の間から巨大な火の玉が飛び出 し、対岸の土手に大きな穴を開けてしまった。 また、その反動で不意を付かれたアスカは、後ろに吹っ飛び地面に叩き付けられる。シ ンクロしていたシンジも、アスカが打ち付けたお尻と同じ所に強烈な痛みを覚えた。 「いたたたた・・・。アスカ大丈夫?」 「び、びっくりしたぁぁぁぁ。ん? シンジ、あれ・・・。」 「うわっ!」 アスカが指差した方に目を向けると、土手がガラガラと崩れている。見つかったら、怒 られるくらいでは済まないだろう。 「はは・・・。に、逃げようっ!」 慌ててアスカの手を引き、周りに置いていた荷物を抱え込むと、荷馬車に乗り込み急い でその場から離れて行くのだった。 <荷馬車> アスカに馬の手綱を持って貰ったシンジは、ブツブツ言いながらマジックのマニュアル を読む。 「あんなに威力あるんなら、書いといてよ。びっくりしたじゃないか・・・。」 確かにマニュアルの注意書きに、”人により破壊力に差がありますのでご注意下さい。” とは書いてあるが、それだけである。 「他にどんな技があるんだろう?」 荷馬車に揺られながら、ページを捲りマニュアルを詳しく読んでいると、ファイヤーボ ールがレベルの高い技であることがわかってきた。 「ははは・・・。さっきの高等技らしいや。どうりで凄いわけだ。」 「そうだったのね。びっくりしちゃった。」 馬の手綱を持ちながら、首だけ振り返ったアスカが返事をしてくる。 「訓練に数ヶ月から1年かかるって。よく読んでなかったよ。え?」 「・・・・・。」 「なんで、出たんだろう・・・。」 マニュアルの記述も雑なので、何がなんだかさっぱりわからないシンジだったが、とに かくファイヤーボ-ルは危険だということだけはわかった。 その他、ファイヤーボールの亜種にファイヤータイガーやら、ファイヤーフェニックス などいろいろあるが、火の形が違うだけらしい。 厳密には、炎の幅や長さなどで使い分けができるのかもしれないが、あくまでショーと して見ている人に、変化と刺激を与えることを主目的としている様だ。 <宿場町> 駐馬場に荷馬車を預かって貰い、貴重品だけ持って町の中を歩く。聞いた話では、この 町には奴隷と食事ができる飲食店が1件あるらしい。それなりに値段も高いらしいが。 「銀行行って来るよ。ちょっと待ってて。」 「はい。ご主人様。」 「すぐ戻るね。」 懐が寂しくなってきたので、銀行の前でアスカに待っていて貰い、金を下ろしに中へ入 る。 いろいろ買ったからなぁ。 ちょっと多めにおろしとこう。 ん? ふとパネルを見ると、シンジのID当てにメールが届いているという表示が出てきた。 なんだろうと開いてみると、父親の腹心である冬月からのメッセージ。 ”もう1度話し合いの場を設け様としてるんだが、碇も頑固でな。必ず機会を設ける故、 帰って来てみてはどうか?” そのメッセージを直ぐに削除し、自分の口座からお金を降ろす。 父さんがぼくの話なんか・・・。 それよりぼくは旅して、国の本当の姿をもっと見るんだ。 父さんみたいに、頭の中で考えてるだけじゃ駄目なんだ。 手続きを全て終わらせ銀行から出ると、それまで外で待っていたアスカが笑顔で迎えて くれた。 「終わりましたか?」 「うん。行こうか。」 「はい。」 突然のメールに父親のことを思い出してしまい、不愉快な気持ちで銀行を出てきたが、 アスカの笑顔を見ると心がなごむのだった。 <飲食店> 町の人に尋ねつつ、ようやく奴隷と一緒に食事ができる飲食店に辿り着く。外見は高価 な高級レストランといった感じ。 「ここだよ。今日は美味しいのをいっぱい食べよう。」 「ありがとうございます。御主人様。」 公の場所だと、アスカが気を遣わなければならないというデメリットもあるが、一緒に 入れる飲食店や宿は少ないので、たまにはいいだろう。 「いらっしゃいませ。その奴隷はチルドレンですね。」 「はい。」 アスカのインタフェースヘッドセットを見ながら、店の入り口に立つ店員が声を掛けて 来た。 「リングなどは、持ち込みできませんので、もしお持ちでしたら預けて下さい。」 「持って来てないよ。」 「かしこまりました。では、こちらへどうぞ。」 店員に導かれ中へ入ると、大勢の人達で賑わっており、その中の半数近くは頭にインタ ーフェイスヘッドセットを付けた奴隷達。 「どうですか? わたしのは?」 「なかなか良い奴隷ですなぁ。でも、わたしのも負けちゃいませんよ。」 しかし、その雰囲気はシンジの予想とは大きく違っていた。男の奴隷を連れて来ている 者は、力比べをさせたりしている。女の奴隷を連れて来ている者は、服を脱がせてプロ ポーションの見せ合いなどをさせていた。場合によっては、交換や売買も行われている 様だ。 「なんか・・・嫌だな。」 店に入った途端、しかめっ面になってしまう。 「よくあることです。」 「でも・・・。やっぱり止めよう。今日も、荷馬車でのご飯になっちゃうけど、いいよ ね。」 「楽しみにしてらしたじゃないですか。アタシは構いません。」 「ぼくが楽しみにしてたの、こんなんじゃないから・・・。」 店の雰囲気が気に入らず、直ぐに店を出て行こうとする。その時突然、行く手を遮るか の様に、17,8歳くらいの女性の奴隷が走り寄って来た。 「あ、あの・・・。あちきの御主人様になって下さいませんか?」 「えっ?」 突然のことに、目を丸くして驚く。横に付いていたアスカには、その奴隷がどういう状 況にあるのかすぐにわかった。捨てられたのだ。 「お願いします。なんでもしますから。」 「ど、どうしたの? いきなり?」 「この人、捨てられたんです。」 土下座してくるその女性のインターフェイスヘッドセットを指差し、アスカがそっと耳 打ちする。言われてみると、主人がいる印が出ていない。 「どうして・・・捨てられたりなんか・・・。」 「はい・・・。性奴としてお仕えしていたのですが、もう飽きられたとかで・・・先程。 このままでは、わちきは・・・。」 「そ、そう・・・。」 今はアスカのことで手一杯。無責任なことはしたくなかったが、話を聞いていると可哀 相に思えてくる。 「どうしよう・・・アスカ。」 「ア、アタシに聞かれましても・・・。」 同情するシンジを前に、少し嫌そうな顔をするアスカだったが、それ以上何も言わず黙 ってしまう。 「うーん・・・。」 困った顔をするシンジ。これ以上、自分には余力が無いのが本当の所だ。 「あ、あのさ。ここなら他にたくさん人もいるから、もっと立派な人に頼んだ方がいい んじゃないかな?」 「できれば、年を召された御主人様より、貴方様の方が・・・。あちきは・・・。」 「へ?」 「精一杯のサービスをさせて頂きますので。どうか・・・。」 「ちょっと・・・何を言ってるの?」 「この奴隷の女も顔がいいから、お買いになられたんでしょ? なら、あちきだってそ れなりに・・・。」 「!」 シンジは、思わずムッとしてしまい、土下座をする女の奴隷を見下ろすが、身分の違い を傘にきて叱咤する様なことになり兼ねないので、この場は堪える。 「あんたからもお願いしてよ。毎晩御奉仕するなら、1人より2人の方が楽よ?」 今度はアスカに助力を乞う女の奴隷。それまで、自分が口を出すことではないと我慢し ていたアスカだったが、さすがにその言葉に感情が限界に達してしまった。 「いい加減にしなさいよっ!」 「どうしたの? あんたも、毎晩じゃもたないでしょ?」 「ウルサイっ! アタシのことはともかく、シンジをそんな目で見るなんて許さないっ!」 「シ、シンジって・・・。あんた、御主人様に向かって何ってことをっ!」 主人を呼び捨てにする奴隷など見たことがないので、顔を青くしてアスカを見返す。し かし、アスカはそのままの勢いで襟首をぎゅっと締め上げ、廊下の壁にその奴隷を押し 付けて。 「シンジ、いえ御主人様に謝んなさいよっ! アンタの元の御主人様と一緒にしないでっ! この人はっ! この人はねっ!」 しかし、騒ぎになっては人が寄ってくるので、シンジは2人の間に入り、感情の高ぶっ てしまったアスカを止める。 「もういいよ。アスカ。行こう。」 「だってっ! コイツっ! コイツがっ!!!」 「もういいんだ。ぼく達はぼく達。この人はこの人だよ。」 「・・・・・・。うん。」 なんとかアスカをなだめると、主人になってくれと乞うてきた名も知らぬ女の奴隷に向 き直る。 「ぼくとは縁が無かったみたいだけど。君も頑張ってね。必ず君にも希望はあると思う から。」 「え・・・。」 生まれて始めて掛けられた、まさかの優しい言葉に、声も出せず唖然とする女の奴隷。 肩を並べて去って行く同じ女の奴隷のアスカを見ると、その表情は自分の知っている奴 隷のそれとはとても思えない程、輝いて見える気がする。 「フン。なにさ。」 シンジ達がいなくなると、悪態をついて再び新しく主人となってくれる人を探しに店の 中へ戻る女の奴隷。その瞳には、悔し涙が光っていた。 <河原> アルファドーム目指して旅を続けながらも、人気の無い広い場所を見つける度に、荷馬 車を止めて訓練を繰り返すシンジとアスカ。 最初にファイヤーボールで大失敗しているので、あれ以来ステップを踏んで基本的なマ ジックから訓練している。 「なんだか、シンクロって癖になりそう・・・。」 シンクロする度に、暖かく優しいものに包まれる気持ちになる為、アスカはうつろな目 でその感覚に酔う。 「いくよっ!」 「ええ。」 「ファイヤーウォール!」 ファイヤーウォールを出そうとしたシンジに対して、アスカはさっきマニュアルで見て いたファイヤーフレイムを出そうとしてしまった。 互いの意志のズレから、ボンと音をたてて不発に終わるマジック。場合によっては爆発 することもあるので、注意しなければならない。 「あ、ごめん。間違えちゃったわ。」 「何を出すか言っとくの忘れてたよ。ぼくの失敗かな。」 「ううん。だって出す瞬間、シンジが何をしようとしてるかわかったもん。」 「そうなの? そんなことわかるんだ・・・。」 「シンジのイメージが沸いてくるの。」 「そうなのか・・・。ぼくにはわかんないよ。どうしてだろう?」 どうして自分にはわからないのか気になり、マニュアルに目を通してみると、送信と受 信の違いから、そういう仕組みになっているらしい。 「一方通行の命令なのか・・・。」 ただし、奴隷が感じた痛みは、主人にフィードバックされてくる。勿論、リミッター付 で、奴隷が死んだ場合も主人はそこまで衝撃を感じなくなってはいるが。 「今度はちゃんとするから。もう1回お願い。」 「わかった。」 再びイメージを膨らませ、マジックの訓練を続行。今度思い浮べたのは、ファイヤーア ロー。このマジックも同じ様なのが他にも多数あるが、単に言い易く見た目も悪くない ”アロー”が気に入った。 ズバッ! 今度は注意して意識を集中していたアスカが即座に反応し、シンジがマジックリングに に働き掛けたイメージ通りの炎の弓を綺麗に打ち出す。 「うーーーん。」 「どうしたの? 上手くいったじゃない?」 「ファイヤーボールと何が違うんだろう? 威力が弱いだけの様な・・・。」 「そうねぇ・・・。」 再び、マニュアルに目を通す。 「ん? なんか、簡単に連射できるんだって・・・。ファイヤーボールを連射するのっ て、かなり訓練がいるみたい。」 「そうなんだ。他にどんな技があるの?」 「たくさんあるからなぁ。必要そうなのだけ、いくつか練習したらいいや。」 「アタシ、これがいい。」 アスカが指差したのは、ファイヤードラゴンという技だ。これも、ファイヤーボールの 亜種だが派手さでは1番だろう。 「でも、これ難易度高いからまた・・・。ここじゃ止めとこう。」 「そうね・・・。ははは。」 ここでまた派手なことをして土手でも潰したら、今日も特訓を中止して逃げなければな らなくなる。 「フフフ。」 「クスクス。」 その時、2人の後ろから笑い声が聞こえてきた。頭を突き合わせてマニュアルを見てい たシンジ達が振り返ると、蒼い髪の奴隷の少女と、その主人らしき銀髪の少年がこちら を見て微笑を浮べている。。 「君達は、チルドレンショーに参加するのかい?」 「うん・・・そうだけど。」 同じ年くらいの少年が話し掛けてきたので何気なく返事をすると、微笑を浮かべて近づ いて来る。 「僕は、カヲル。渚カヲル。君は?」 「ぼくは、シンジだけど。」 「シンジ君だね。」 「君もチルドレンショーに出るの?」 「興味無いね。それより、この娘を見てごらん。綾波レイというのさ。最高の戦士さ。」 なんとなく自慢気に自分の奴隷を見せるカヲル。あまりそういうことをしたくないシン ジは、何も言わずただ肯く。 「君の戦士もなかなか良さそうだね。どうだい、勝負をしてみないかい?」 「え? 勝負?」 「試合だよ。100ゴールドを掛けてってのは、どうだい?」 「そ、そんなのやだよ・・・。」 「怖いのかい?」 「違うよ。でも、ぼく達はそんなことする為に、訓練してるんじゃないから。」 「ふーん。」 「そんな風に、その娘を奴隷として扱ったら可哀相じゃないか。」 「そうかい? 奴隷は、好意に値する身分さ。戦っても罰せられない、最高の身分だね。」 「戦うって・・・。奴隷同士で?」 「そうさ。僕達は2人で1人の戦士なのさ。」 その言葉を聞いて頭の片隅にあった記憶を、シンジは思い出した。昔加持が、奴隷と主 人の2人一組で掛け試合をして賞金を稼ぐプロがいると言っていたことを。 シンジとカヲルが話をしている中、レイと呼ばれた奴隷の少女が、アスカの元へ近付い たかと思うとそっと耳打ちする。 「あなたの御主人様。臆病ね。」 「なっ!」 「あなたが私と戦わないと、そう思われるわ。」 以前行った飲食店でもそうだった。アスカにとって言ってはならないことを、偶然口に することになった蒼い髪の少女。 「!」 「あなたのせいね・・・。クス。」 「このっ!」 アスカの目が吊り上る。 「フフっ。」 レイは余裕の笑みを見せると、戦闘態勢に入る。 シンジは、カヲルと会話をしている最中。2人の様子に気付いていない。 ジャギーン! 鞘からアクティブソードを抜き取ったアスカは、次の瞬間レイ目掛けて切り掛かってい た。 To Be Continued.作者"ターム"へのメール/小説の感想はこちら。