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この作品「お寿司と兄貴」は「けろ卓」のタグがつけられた作品です。
お寿司と兄貴/🥀の小説

お寿司と兄貴

658 文字(読了目安: 1分)

喜一郎と湊

2021年2月16日 15:33
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「みーくん、外で食べていこうか。」
人の賑わいを感じる休日。
久々の二人での街への買い出し。普段外食の機会が少ない兄貴からの唐突な提案。
俺は二つ返事で了承し、兄貴が行きたい所へ着いて行った。
着いたのは回転寿司チェーン店。昼時のややズレた時間帯だからか、お店の中は家族連れや複数人客が疎らにいる。店員に案内されてテーブル席に座ると、兄貴は湯呑みを二つ出す。こういう気が回るところが兄貴らしい…。
設置されてるタッチパネルで食べたいものを見ていく。
「あ…。」
徐ろに目に付いたもので手が止まる。そのままそれ以外に何皿か選び注文をする。レーンに届いた数皿の中にお目当てのものと目が合う感覚がした。
鉄火巻。小さい頃の記憶が思い出される。

あれは八歳くらいの頃か。
兄貴に連れられて結と一緒に初めて回転寿司に来た時だと思う。色んなお寿司が回ってて、心が踊った記憶が残っている。
玉子、海老……結は食べたいものをレーンから取りパクパクと食べていく。そんな時に取った一皿に俺は固まった。
赤い身、白いシャリ、巻かれている黒い海苔。何となく見たことあるこの色合い…。俺は兄貴を見つめていた。
『どうした、みーくん。食べないのか?』
『………うん。』
あぁ。今ならその時の考えが言葉に出来る。
鉄火巻と兄貴…色合い…。あれは親近感を感じていたんだ。

「ふっ…。」
「ん?どうした、みーくん。」
唐突に吹き出した笑いに兄貴は首を傾げて俺を見る。「なんでも…」と言って、注文した鉄火巻を口に入れた。うん、今なら食べられる。

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