過日、本学の財政状況についてある方々が文科省に訴え、また一般の新聞社にも情報提供がなされ、記事になりました。お読みの方々から本学を心配する声やお励ましをいただいておりますが、これは明らかに事実誤認による一方的な訴えですので、ここに要点を絞って事情を説明させていただきます。
2017年大住雄一学長時代に、証券会社からより利率のよい債権を勧められ、買い換えをいたしました。債権には時価があり、変動しますが、そもそも債権は株式とは異なり、時価の変動で売買をして稼ぐものではなく、あくまで利息収入を得ることが目的です。肝心なことは、債権の売却と同時にまったく同額で金利のよい債権を購入しているということです。すなわち、二つの債権合わせて6億円のものを5億1000万円で売却し、同時に二つの額面6億円の債権を同額の5億1000万円で購入しています。つまり等価交換です。確かに決算においては、額面より安く売却したため、9000万円の処分差額が生じましたが、あくまで「差額」であり「損失」ではありません。この処分差額9000万円が減少したため、第3号基本金に別の資金から繰り入れる必要が生じ、流動資産から4000万円、減価償却引当特定資産から5000万円を振り替えました。この9000万円は償還時に額面通りの額が戻った場合、相殺されるものですが、2017年度の決算書類には処分差額として記載されています。
また、基金の取り崩しについても、文字通りキャンパス整備計画に用いられることを目的としており、処分差額9000万円の減少と関連付けて行っているものではありません。
本学は公認会計士の方々より毎年会計監査を受け、本取引はデリバティブ取引に該当せず、適正との評価を得ております。また理事会・評議員会の承認のもとで予算・決算を執行しております。先の債権からも毎年1830万円の利子が収入として得られております。
皆様からの尊いお献げものが神学教育に活かされますように、細心の注意を払いつつ、伝道者の養成に当たって参りたい所存です。今後ともご支援のほど、よろしくお願いいたします。
2021年5月15日
東京神学大学
学長 芳賀 力