今週の「再春館製薬所 健康一直線」は、東海大学名誉教授、大櫛医学情報研究所・所長の大櫛陽一先生に、『コレステロールの誤解』と題して伺いました。
■LDLが血管の炎症を修復する■
*「悪玉コレステロール」と言われる「LDLコレステロール」の値が高いと言われて気にしている人は多いでしょう。
*「LDL-Cの値が高いと動脈硬化が起きやすくなる」とされる点には疑問がある。
*血管の壁にコレステロールが付くのが動脈硬化の原因と言われてきたが、実際は逆。動脈硬化で起きた炎症を修復するためにコレステロールが集まる。
*私が神奈川県伊勢原市の男女約25,000人を対象に追跡調査・分析したところ、「血中LDL濃度が高い方が、むしろ死亡率が低い」との結果が出ている。
*男性について言えば、LDL-Cが高くても死亡率に変化はなく、むしろ100以下は死亡率が上がるという結果が出た。女性も120以下で死亡率が上がった。
*心筋梗塞の発症率は、500人に1人いる家族性高脂血症といわれる人を除けば、コレステロール値が高くても上昇しないことが分かっている。
■コロナ患者はコレステロール値が低かった■
*新型コロナウィルス感染症(COVID-19)患者について調べたところ、感染していない人よりコレステロール値が低いことが報告されている。
*LDLの働きは、肝臓から全身の末梢組織へ細胞修復のために必要な栄養素であるコレステロールを運ぶことにある。値が低いのは、組織修復機能が低下している印。
*コレステロール値が低いために感染したのか?それとも、新型コロナの感染に伴ってコレステロール値が下がったのか?今後の研究が必要である。
■恐れるべきはむしろ薬の副作用■
*悪玉と言われてきたLDLコレステロールについて、米心臓病学会は190以上を精密検査が必要な基準」としており、日本で考えられているよりも高め。
*日本の健康診断では、~119までが正常、120~139は生活指導、140~以上は受診勧奨とされている。
*受診をすると、すぐにスタチンという薬剤が処方される。しかし、この薬剤には強い副作用があることが知られている。筋肉融解、糖尿病、肝臓障害、認知機能低下、睡眠障害が出る恐れがある。