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コロナ対策は「大阪モデル」が政府よりも東京よりも断トツで優れている

補償も出口戦略も明確にしている

基準が明確でわかりやすい

大阪府は5日、「第15回新型コロナウイルス対策本部会議」において、休業要請の再開などを判断するための独自の基準「大阪モデル」を発表した。

この大阪モデルの基準は数値基準であり、わかりやすい。しかも達成度を府民に知らせる方法として、吉村洋文知事は、太陽の塔、大阪城や通天閣などのシンボリックな場所で青、黄色、赤の色分けライトアップというアイデアを披露した。

数値基準は、(1)感染経路不明の人数10人未満(直近1週間の平均)、(2)PCR検査の陽性率7%未満(直近1週間の平均)、(3)重症者の病床使用率60%未満で、この3項目とも7日連続で達成できたら、自粛を段階的に解除するという。解除していくかどうかについては、今月15日に判断が行われる予定だ。

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ちなみに海外では、米国やEU、個別EU加盟国が「出口戦略」を公表している。米国は4月16日に「アメリカ再開ガイドライン」、EUは4月15日に「封じ込め措置の解除に向けたロードマップ」を公表した。

米国の基準は、(1)新規感染者・検査の14日間連続減少、(2)病院での危機対応の解消、(3)医療従事者の抗体検査を含めた強固な検査体制確立、など数値目標を含む基準だ。

EUでも、加盟国が科学的根拠に基づいてそれぞれ判断するとした上で、(1)「疫学基準」として新規感染者、入院患者、集中治療患者等の持続的減少、(2)「医療提供体制」に関して集中治療室の占有率、病床数、検査従事者の数、(3)「検査・監視機能」として大規模な検査機能、接触履歴を追跡する機能、患者隔離能力などの数値目標を含め、決めるよう定めている。

安倍政権は緊急事態宣言の延長を5月4日に発表したが、解除の基準をまだ示していない。

西村康稔経済再生担当大臣は、大阪府が決めた解除の基準は営業自粛などに対する解除の基準であり、国の緊急事態宣言の解除とは違う、という。

これは形式的には正しいが、霞が関官僚の省庁間の「縄張り争い」のレベルで、政治家の発言としては情けない。西村大臣が口を滑らせたので、吉村知事は形式的に謝罪し、すぐに納めた。と同時に、大阪の方針に国は口を挟まないように釘を刺した。

国民は先行きに不安を覚えている。それを解消するのが政治の役目であり、「出口戦略」の明示である。西村大臣と吉村知事のやりとりは、政治的には吉村知事が上手だった。

 
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