防衛費を増やすためには景気回復がマスト
日本の基準では「防衛費倍増」になるが、相手は中国だ。自己採点で「倍増など無理だ」と言ったところで、中国は今や日本の四倍の防衛費をかけている。そして「量より質」で軍隊全体のハイテク化も進んでいる。甘い相手ではない。
防衛費をかけようと思えば、経済力の強化が必要だ。今の我が国の経済力は、世界第三位ではあるが慢性化した長期デフレ不況に苦しんでいる。とうてい「防衛費倍増」など言い出せる空気ではないのは、確かだ。ならば、簡単な話だ。景気を回復させればよい。
そもそも安倍前政権は、「さっさと2年で景気回復する」が公約だったはずだが、いつのまにか反故にされていた。菅内閣とて条件は同じはずだ。菅首相は、景気回復の天王山である日銀人事で野口旭委員を送り込み、政策決定会合の9人中4人をリフレ派(景気回復派)で占めた。安倍前首相も3人までだったのだから、快挙だ。菅首相が決心すれば、黒田東彦日銀総裁とリフレ派で即座に過半数だ。大規模な景気回復策も可能となる。
皇室問題の有識者会議でのヒアリングも順調のようだし、規制改革も進んでいる。景気回復さえ成し遂げれば選挙も乗り切れるし、国民は菅内閣に政策を実行する基盤を与えるだろう。
菅さん、小池百合子に負けっぱなしで、悔しくないのか?
だが期待するからこそ、批判すべきは批判する。
またぞろ小池百合子都知事が「緊急事態宣言を」などと言い出す。菅首相の外遊中に、二階俊博幹事長が「オリンピックはやめるとなればスパッとやめるべきだ」などと言い出した。最近の菅首相は麻生太郎財務大臣(と、その背後の財務省)に接近して政権運営しているのが、気に入らないから「小池カード」で牽制しようとの魂胆か。
菅首相はあっさり屈して、またもやの緊急事態宣言の発出を受け容れた。はっきり言う。菅さん、小池百合子に負けっぱなしで、悔しくないのか?