著者:石田 麻琴

「改善をする」ということは「二度手間、三度手間を踏む」ということ【no.1326】

 「改善をする」ということは「二度手間、三度手間を踏む」ということです。もしかしたら、「四度手間、五度手間」どころではなく、「十度手間、二十度手間」かもしれません。同じものを何度も何度も見返して、より良いものに研磨していくのです。

一度手を付けたものが無駄になることを嫌がってはいけない

 ネットショップの場合、トップページのデザインやレイアウト、サイドナビの項目やくくり方・並び、商品ページの商品画像や商品説明文、メールマガジンのタイトルやテキストや項目、お客様とやりとりするメールのテンプレートなど、改善できるところがたくさんあります。たくさんあるからこそ、「自分たちだけの」個性的なネットショップをつくっていけるということでもあります。

 改善とは「二度手間、三度手間」ですから、手間を踏むこと、一度手を付けたものが無駄になってしまうことを嫌がってはいけません。どうしても「最初からこちらに気付いていればよかった・・」と思ったり、「この前改善したばかりだから、様子を見ておこう」と思ったりしがちですが、「変えること=改善すること」を回していった方が良い結果がでます。

 やってはいけないのは、「正解がわからないから、正解がわかるまで手を付けないでおく」ということです。たしかに「正解」を知ることができれば、改善は一度きりで済みます。「二度手間、三度手間」をかけなくてもネットショップが「売れる」状態に近づいていくように感じることでしょう。では、そもそも「正解」とは何なのでしょうか?

ネットショップの「売り方」は自社の中でしか見つけられない

 最初から「正解」わかれば苦労はしません。「正解」らしきことが本やセミナーやWEBサイトに紹介されていることもあります。WEBサイトの制作会社やインターネットの広告代理店にお任せすれば、自分の会社や自分の商材にあったWEB戦略を描いてくれ、「二度手間、三度手間」がなくて済む・・のでしょうか。

 そんなことはありません。あなたの会社と事例の会社は商品が違います、商品の見せ方が違います、会社が違います、会社の理念が違います、ネットショップを運営している人間が違います・・違うことばかりです。詰まるところ、自社のネットショップの「売り方」は自社の中でしか見つけることはできません。

 まずは同カテゴリ、同商材で「売れているネットショップ」を参考にして、ネットショップの体裁を整えること、ここまではEコマース事業のスタートラインとして競合他社と市場を大いに活用していきましょう。ただ「売れているネットショップ」の一時点を真似したとしても、「日々の運用」までは真似できません。どういった方向に進んでいくのかはわかりませんし、それを探し続ければ市場の流れから遅れていってしまいます。

一度目の手間があるからこそ、二度目の手間がある

 ここからは自社のネットショップとしての「勝ち筋」を探す旅です。商品数を増やす、検索キーワードを工夫する、コンテンツを増やす、画像のクオリティを上げる、日々ネットショップを運営してデータを分析し、自社だけの「仮説」を立てていきます。その結果、得られるものが自社だけのネットショップ運営ノウハウです。

 「改善する」ということは「二度手間、三度手間を踏む」ということです。最初から自社のネットショップ運営の「正解」を見つけられることはありません。改善をおこなうとデータが得られます。データを得ると次の仮説が生まれます。その仮説をもとに次の改善をおこないます。一度目の手間があるからこそ二度目の手間があり、二度目の手間があるからこそ三度目の手間があるのです。

 十度手間は九度手間があるからこそ生まれます。一度手間からいきなり十度手間分の改善を得られることはありません。「改善する」の真理です。改善は決してきれいな道ではありません。