国民投票法改正案、今国会成立へ 衆院憲法審で可決
自民・立民が成立で合意
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憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案が6日の衆院憲法審査会で自民、公明、立憲民主各党などの賛成多数で可決した。立民が示した修正案を反映した。採決に先立ち自民党の二階俊博幹事長と立民の福山哲郎幹事長が国会内で会談し6月16日までの今国会の会期中に改正案を成立させると合意した。
修正案は立民が求めていた国民投票運動に関するCM規制への対応に言及する内容だった。「法施行後3年をめどに、検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」との付則を改正原案に盛った。
自公と立民、国民民主党は改正の原案と修正を加えた案の両方に賛成した。日本維新の会は原案のみに賛成し、共産党は原案、修正を加えた案の両方に反対した。改正案は5月11日にも衆院本会議で採決し参院に送付する。
国民投票は投票日の14日前からテレビやラジオのCMに制限があるが、それより前に関しては規制がない。立民は資金力がある組織が大量にCMを流せば公平性を欠くと主張してきた。
二階氏は6日午前、国会内で維新の馬場伸幸幹事長と会談した。馬場氏は立民の修正案に関して「提案通り可決することに強く反対する」との文書を手渡した。
改正案は憲法改正の国民投票をする際に有権者の投票機会を増やすのが柱。すでに国政選や地方選で導入している公職選挙法の規定に国民投票もあわせる内容だ。
地域をまたぐ「共通投票所」を駅や商業施設に設置できるようにする。洋上投票や期日前投票を拡充する。親とともに投票所に入れる子どもの対象を幼児から18歳未満に広げる。
自公と維新などが2018年6月に国会に提出し、今国会まで8国会で継続審議となっていた。二階氏と福山氏が20年12月に、21年の通常国会で「何らかの結論を得る」と合意していた。
憲法は96条で改憲の手続きを定める。衆参両院の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票で過半数の賛成を得る必要があると規定する。
07年に成立した国民投票法はより詳しい手続きを示している。国会発議後、60日から180日以内に国民投票を実施すると明記している。14年の改正では投票できる年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に変更していた。
改正案の実質的な審議に入ったのは菅政権発足後の20年11月だった。自民党は改正案が成立すれば、本格的な改憲論議につながると期待する。今秋までに実施する衆院選に向けて各党が選挙公約などで改憲への姿勢を示す可能性がある。
菅義偉首相(自民党総裁)は3日に配信したビデオメッセージで改正案に関し「(改憲に向けた)最初の一歩として成立を目指していかなければならない」と主張した。
自民党はすでに自衛隊の憲法への明記や、大災害時に一時的に国の権限を強める緊急事態条項の創設など改憲4項目をまとめている。公明党は環境権やプライバシー権を必要に応じて憲法に追加する「加憲」の立場で改憲自体には積極的でない。
野党では維新や国民民主が改憲に前向きだ。立民や共産は改憲に慎重な姿勢を示す。