五輪への「看護師500人派遣は困ります」愛知発の医療従事者“ツイッターデモ”  海外メディアも注目

2021年5月4日 18:01
東京オリンピック・パラリンピックで、看護師500人を派遣するよう大会組織委員会が求めていることに対し、医療現場の立場から「困ります」と発信したツイートが反響を呼んでいます。発信元は、愛知県の医療従事者らでつくる労働組合でした。
『看護師の五輪派遣は困ります』…こう書かれたツイートが反響を呼んでいます。

 ツイッター上で訴えたのは、看護師など医療関係者らで構成する労働組合「愛知県医労連」です。

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が、大会期間中に500人の看護師派遣を要請したことに反発し、「コロナ禍で看護師不足の現場にこそ派遣を」と求めます。

 “ツイッターデモ”は、医療関係者を中心に反響を呼び、あっという間にトレンドワード入りし、ツイート数は、4日午前10時現在で37万件を突破しました。

 

愛知県医療介護福祉労働組合連合会のツイッターから

37万件を超える反響 ニューヨークタイムズなど海外メディアから取材も
 発信した愛知県医労連は…。

Q.これほどの反響は予想していたましか?
「全然予想していなかったので、驚いてますね」
「現場の人の感覚からしたら、500人派遣というのは信じられないというか、本当に皆さん驚いていたので、なんらか意思表示をしたい・発信したいというところで、ツイッターでという形になったんですけれど」
「いま病院の現場の人たちは、集まってはいけないというのがあって、感染予防のために集まってアピールするというのが難しいので」(愛知県医労連 矢野彩子 書記次長)

 反響は海外からも…

「ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、あとカナダのラジオ局(から取材依頼がありました)」
「コロナの対応中にオリンピックへの派遣要請があったことについてどう受け止めていますかとか、看護師さんの声を聞きたいとかなど、英語で取材がきました」
「オリンピックは本当に国際問題なんだと、海外の方も注目していることなんだなと改めて思いました」(矢野 書記次長)



 

「今の医療現場の現状とそぐわないと思う」(愛知県内の総合病院に勤める看護師)

現役看護師も共感「要請が来ても行かないと思う」
 現役の看護師も愛知県医労連のツイートに共感しています。

「看護師500人派遣要請を間違っていると言い切るのはいけませんが、今の医療現場の現状とそぐわない部分が大きいと思いますので、ツイートの反応をみて、自分の考えも多くの人と違ってないと確信できる」(愛知県内の総合病院に勤める看護師)

 この地方の看護師にも派遣の要請が来る可能性がありますが…

「『人が足りないからどうしても』と言われても、感染者を増やす危険性がすごい高いところに自分も行きたくないし、自分の病棟も本当に人数がギリギリで、欠員もあるぐらいの状況なので」
「自分の職場に自分が行くことで穴をあけたくない、今の仕事をしっかり続けられるような環境を、自分で整えていくのが一番かなと思うので、オリンピック・パラリンピック派遣は、要請が来ても行かないと思います」(愛知県内の総合病院に勤める看護師)

 こうした声が上がるなか、菅義偉総理大臣は…

Q.看護師500人派遣は可能だとお考えですか?
「看護協会で現在休まれている方もたくさんいらっしゃると聞いているので、そうしたことは可能だと思っています」

Q.ツイッター上では反対の声が大きく広がっていますが?
「そうした声があることは承知しております。支障がないよう全力を尽くしたい、このように思います」(菅総理大臣 4月30日 総理官邸で記者団の質問に答えて)


 

国と自治体とで別れる意見

「看護師500人派遣」国と自治体で分かれる意見
 看護師の500人派遣については、国と自治体で意見が分かれています。

 菅総理は「休んでいる人もたくさんいると聞いている。派遣は可能だと考える』(4月30日の会見)と見解を示した一方、

 愛知県の大村秀章知事は「7・8月はワクチン接種の最盛期。通常の医療との両立は大変ではないか」(4月30日の会見)としています。

 

愛知県医労連が、看護師や保健師など約1500人に行ったアンケート結果より

70%以上の看護師が「仕事を辞めたい」と回答
 愛知県医労連は、看護師や保健師など約1500人に行ったアンケートを実施しています。

 「仕事を辞めたいと思うか?」という質問に対しては、70%以上が『仕事を辞めたい』と思っている結果が出ました。

 「人員が普段より減っているか?」という質問に対しては、48%が『現場は人が足りないと感じている』ことが分かりました。残業時間、夜勤の回数が増えているということです。
 

愛知県医労連が、看護師や保健師など約1500人に行ったアンケート結果より

「給与・待遇の改善」が国や自治体に求めることの1位
 「コロナ対応にあたる看護師らが、国・自治体に求めたいことは?」という質問に対しては、1位の回答は『給与・待遇の改善』、2位は『看護師の増員』、3位は『危険手当』となっています。

 看護師からは
「病床を増やせと言うばかりで、人員のことには触れていない。病床を増やしても人員が増えなければ何も変わらない」
「普段以上に働いているのに収入が減るのはモチベーションが下がる」
などの声が上がっているとのことです。

 また約7割が冬のボーナスが減っていると回答しています。
 

愛知県医労連が、看護師や保健師など約1500人に行ったアンケート結果より

「早く普通の医療・看護がしたい」
 またアンケートには、こんな声もありました。

「数時間で容体が急変する恐怖、疲労困ぱいです。早く普通の医療・看護がしたい」
「保育園や幼稚園に子どもを預けるのを断られる」
「なじみの喫茶店に入店を断られる」 

 医療現場の負担は高くなっているようです。使命感だけでは限界ということも考えられます。

(5月4日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)



 

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