R45 ALL THAT 補足 (文&画 柳田光司)
「R45オールザットらじヲ」を担当しています「柳田光司」です。
「柳田?!? 誰やねん?」というクレームを少しでも解消するため
「長~い 長~い自己紹介」をさせていただくことになりました。
第52回「お札アーティストソング」(2018年10月26日 OA)
ブラック企業が問題視。
クローズアップされる昨今、なかなかの覚悟がいる話ですが…
これも私の人格を形成する上で欠かせない20代の実話??
すべて時効がすぎた 作り話だと思いながら…お楽しみくださいませ。
「あなたは、人間(ヒト)が壊れる瞬間を見たことがありますか?」
「私は、何度かあります。」
その昔、私たちが生きるテレビ業界の世界では「ヒトが壊れることを」=「とぶ!」って呼ぶんです。おそらく、電圧や機械の回路がパーン!と弾けて一瞬で消える感じが由来なのかな??
人間誰しも 強い者ではないようです。
人間が、肉体的・精神的な窮地の極限に追い込まれると…
何の前ぶれもなく、電気のブレーカーがストンと落ちる“あの感じ”
一瞬にして スイッチが「OFF」に切り替わるようにできている。
人間が壊れる瞬間、「恐い」という感情は起こりません。
嘘のような話ですが… とてもよくできた「シュールなコント」に似ています。
しかも、演者の表情は真顔(まがお)。
「今から おもしろい事を言いますよ!」という邪心が全く見えないんです。
思いもよらぬタイミングと 独特の間(ま)で とつぜん始まる掴みどころのない会話。
恐怖の何ものでもありませんでした。
『柳田さん!俺って“マグロ”ですか?』」
「… … …???」
『柳田さん!!! 柳田さん!!!俺が、マグロだったとすれば… お前は、お前は、…お前は…(強く)』
ト書き{沈黙… … 涙…}
『イワシっすかぁ!!』
『それとも… … … … … … …それとも… … …』
ト書き{沈黙…}
『それとも… 俺は、明日から“ブリ”っすかぁ!!!!(激怒&絶叫!!)』
恐怖です。今すぐ逃げ出したいのですが…まったく動けないんです。
「何やねん… 急に…??」そのひとことを返すのが精いっぱいでした。
文字に起こすと、とてもシュールなコントのようですが…(笑)
実際は、この時点では 全く何の事かわからないんです。
「アレっ? ちょっとおかしいなぁ?…コイツ」と思う程度。
こんなパターンもありました。
『フィヨルドって見た事あります〜〜〜か!!!!柳田!!』
「… … …???」
いきなり敬語の使い方も間違いだし、軍隊並みの高圧的な態度。
全くの別人格なんです。
『フィヨルドですよ!フ・ィ・ヨ・ルド!!』
ト書き
{ルドのみ、強めのアクセント}{
柳田、困惑&出口を捜す}
『あぁ〜ぎゃゃ〜〜いやぁ〜〜あぁ〜〜あぁ〜〜!!(擬音?) (いきなり爆笑)フィヨルド。フィヨルド。フィヨルド…(この間連呼)』
『(急に真顔)…フィヨルド フィヨルド(大声&大絶叫!)フィョ⤴⤴るど⤵⤵』
… コレが 彼との最後の会話でした。
おそろしいもので、「あのフィヨルドの大絶叫」と
最後の「つぶやきにも似たフィヨルド」は 今なお 耳から離れません。
そういや、こんなスケールのでかい野郎もいました。
『宇宙って… どこまで 広がるのだろうか??いや、宇宙って本当に広いのだろうか?
… どう思う?君!』
いきなりの“君”あつかい(笑)…でも、そんな事はいっさいお構いなし。
彼の独自の宇宙論は 永遠と続く。
『そもそも、なぜ? 宇宙の事を 宇宙って言うのだろうか…!??』
これは、かなり恐ろしい。
『私(わたくし) 寿司が食べたくなってきたでゴざる。」
「ゴざる?????」
『寿司!寿司!巻き寿司!いなり寿司…
中国にいる ジャイアントパンダのウンチは臭くないんだよ。』
…この最後の豆知識。
私は、生涯忘れる事はないでしょう。
ここが プロのテレビ屋として育ててくれた原点。
作家というより、現場のディレクターとして叩き込まれました
もともと、内向的で恥ずかしがり屋。
図書館の資料管理を任されているハズだった私は…ココで人格を??半ば強引に改造手術。
痛みを感じる「神経」を抜かれました。
…あれは、20代半ばの秋。東京渋谷区恵比寿での できごとでした。
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