東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が企業に業務委託する際の人件費単価について、丸川珠代五輪担当相は19日の衆院決算行政監視委員会で、「守秘義務で見せてもらえない資料がある」と述べ、担当閣僚でさえ詳細を把握できていない実態が明らかになった。毎日新聞が報じた。膨大な税金が投入されているオリンピックで不透明な人件費の動きは今後大きな問題となりそうだ。
東京五輪の人件費問題に丸川大臣「守秘義務」
衆院決算行政監視委員会で質問に立った立憲民主党の斉木武志氏は独自に入手した資料に基づき丸川氏を追求。
人材派遣会社のホームページで、「ディレクター」と呼ばれる職種が日当1万2000円程度で募集されている一方、委託先への支払いの算出根拠となる人件費単価が最大20万円に上ると指摘した。
そのうえで、斉木氏は「95%も中抜きして業者に渡すのは放漫だ」などと丸川氏に迫った。
丸川氏は「守秘義務で見せてもらえない資料がある」と述べ、「国民に歓迎される五輪でないといけないので、組織委には透明性を高めるための説明を尽くしてもらいたい」と答えた。
組織委員会の人件費単価を巡って、毎日新聞は日当以外に諸手当や賞与相当額などを含め1日最高30万円のケースがあると、組織委の内部資料を基に報じている。
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人材会社「95%中抜き」に竹中平蔵の影
担当大臣でさえ把握できていない東京オリンピック・パラリンピックにまつわる人件費。
大会を開催するにあたり、さまざまな業務に従事する人材が必要となるが、組織委員会はそれを企業に業務委託している。
斉木氏は具体的な企業名を明らかにしなかったが、五輪スタッフの募集や研修に携わっているのは人材派遣会社の「パソナ」だとされ、これまでにも多くの不可解な契約が結ばれている。
日刊ゲンダイによると、2017年5月30日に実施された五輪ボランティアの研修業務では、A社が100万円、B社が770万円で応札したが、落札したパソナは8万3000円とあり得ない金額を提示。最初からパソナがありきの出来レースにみえる。
そんなパソナグループの会長を務めるのは竹中平蔵氏。菅内閣の成長戦略会議メンバーでもあり、自民党議員との交流も盛んなだけに、今回の人件費中抜き問題の闇は深い。
オリンピック開催を3カ月後に控え、金銭を巡って多くの問題があることが浮き彫りとなった。
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