三浦春馬氏の不自然死と報道の闇
三浦春馬氏の不審死に関する以下の3つの記事においては、社会の問題を考えるための一つの具体例として扱いました。
- 三浦春馬氏は自殺か他殺か
- 捜査機関による犯罪統計の偽計疑惑とテレビ報道を呪縛する放送法の問題
- 三浦春馬氏の死因が究明される可能性
- 死因究明制度の変革最終段階において、三浦春馬氏のケースが提起した問題
- 三浦春馬氏の遺憾
- 「社会の問題」に対し、三浦春馬氏のケースがインパクトを与える可能性
この記事では、三浦春馬氏の自殺報道を整理し、証拠を評価し、ささやかな推理を加えることにした。なお、この手順に、推理の裏付け捜査を加えれば、警察の捜査手順と同じだ。つまりこの記事は、告発への繋ぎとして機能するように作成しました。ただし、告発は、恐ろしく敷居の高い制度、あるいは、上辺を取り繕うための制度なので、安易に期待はしないほうがいい。
犯罪死の見逃しを防止するための基本
三浦春馬氏の不審死を個別具体例として扱う前に、殺人事件一般の統計に基づく傾向を確認しよう。
殺人の被害者と被疑者の面識率は、およそ9割
ここで、犯罪死の見逃しを防止するために、殺人事件の傾向を整理したい。
上の図は、2017年の警察統計から作成した。殺人の被害者と被疑者との面識率がおよそ9割であることを示している。つまり、殺人事件のほとんどが、顔見知りによる犯行なのである。
このことは、殺人事件において、家族や勤務先が、真っ先に捜査対象とされるべきであることを示している。
三浦氏のマンションに入った警察官は、本来、何をすべきで、実際、何をしたのか?
現場に来た警察官に犯罪死の見逃し防止に関する意識がある場合
もし、現場警察官に犯罪死の見逃し防止に関する意識があったなら、第一発見者でもある勤務先の関係者、つまり三浦氏のマネージャーを筆頭とするアミューズのスタッフらに対し、詳細な状況確認をしているはずだ。
とりわけ確認が大事な状況は「マネージャーが鍵を開けて室内に入室した時間」である。基本中の基本の情報なので、警察官がこれを聞いて書類に記録しないことはあり得ない。あり得ないことがもしもあったとしたなら、よほど仕事ができない警察官であったか、あるいは、“特別な理由”を想像するしかない。
現場に来た警察官に犯罪死の見逃し防止に関する意識がない場合
自殺(事件性の疑いのある変死体)の現場において、警察官は机の引き出しを開いて遺書を探すような、ものものしい作業はしない。三浦氏のマンションにいたアミューズの関係者に「自殺の動機に心当たりはありますか?」といった程度の質問を行ったはずだ。もし、アミューズの関係者が自殺を伺わせる何かを示せば、警察官は、それを自殺を裏付ける物証として扱う。
初期に報道された「遺書」「遺書のようなもの」「遺書とみられるもの」のうち、少なくとも「警視庁関係者」と「捜査関係者」をネタ元とするものは、この時にアミューズの関係者が警察官に示した内容であると断定してよいだろう。なぜなら、その警察官でなければ、メディアが「遺書」「遺書のようなもの」「遺書とみられるもの」と記した速報の取材源になり得ないからだ。
三浦春馬氏の不自然死を自殺として配信した記事
次に、各メディア自殺報道の推移を評価するため、報道の一部を時系列にリスト化した。
記事の内容は次のとおり。
配信日時 | 作成者 | 記事の主語 | 午前中の状況に関する報道内容 |
---|---|---|---|
7/18(土) 15:04 |
日テレニュース24 | 関係者によりますと、 | 18日午後1時頃、東京・港区の自宅で、俳優の三浦春馬さんが、首をつっているのが見つかり、搬送先の病院で、死亡が確認されました。自殺とみられています。 三浦さんは18日、仕事の予定でしたが、仕事場に現れず、関係者が自宅を訪れたところ、死亡しているのを発見したということです。 |
7/18(土) 15:37 |
NHK | 捜査関係者によりますと、 | 18日午後、東京・港区のマンションの1室で俳優の三浦春馬さん(30)が、首をつった状態で見つかり、搬送先の病院で死亡したということです。 三浦さんが仕事に来なかったことから、部屋に迎えに行った所属事務所のマネージャーが発見し、110番通報したということです。 |
7/18(土) 15:54 |
デイリースポーツ | 関係者への取材 | 三浦さんは17日までドラマ「おカネ-」の撮影に参加。この日朝から連絡がつかなくなっており、行方不明状態だった。このため、18日の撮影は中止となっていた |
7/18(土) 17:45 |
週刊新潮WEB取材班 | 警視庁関係者によると | 「18日午後、東京・港区のマンションの1室で、クローゼットの取っ手にヒモのようなものを結び、そこに首を引っかけた状態で亡くなっていたそうです。仕事現場に現れず、連絡が取れないことを不審に思った三浦さんのマネージャーが部屋を訪れて発見。部屋の中からは遺書のようなものも見つかっていると聞いています」 |
7/18(土) 18:30 | デイリースポーツ | 不明 | 18日もロケの予定だったが、朝から連絡がつかず、スタッフらが心配していた。ロケは中止となっていた。 |
7/18(土) 18:47 | ANNニュース | 関係者によると、 | 三浦春馬さんは午後0時半ごろ、港区の自宅マンションで首を吊った状態で見つかった。三浦さんは意識不明のまま病院に搬送されたが、その後、死亡が確認された。現場からは遺書も見つかっていて状況などから自殺を図ったとみられている。 |
7/18(土) 19:34 | デイリースポーツ | 関係者への取材によると、 | 三浦さんは17日までドラマ「おカネ-」の撮影に参加。18日朝から連絡がつかなくなっており、18日のロケは急きょ中止となっていた。 |
7/18(土) 19:39 | 中日スポーツ | 捜査関係者によると、 | 三浦さんが仕事に来なかったためマネジャーが自宅を訪ね、クローゼットの中で首をつっている三浦さんを発見。室内から遺書とみられるものが見つかっており、警視庁が慎重に内容を確認している。 |
7/19(日) 5:00 | デイリースポーツ | 不明 | 三浦さんは18日朝から都内で撮影に参加予定だったが、現場に現れず、不審に思ったマネジャーが港区内の自宅マンションを訪れたという。 |
デイリースポーツ | 不明 | 三浦さんは18日朝から都内で撮影に参加予定だったが、現場に現れず、不審に思ったマネジャーが港区内の自宅マンションを訪れたという。 | |
7/19(日) 12:48 | 文春オンライン | 捜査関係者によると、 | (午前中の状況の記述はない) |
9月4日 | アミューズ | 午後から予定されていた仕事に向かうため、約束の時間に担当マネージャーが自宅へ迎えに行きましたが、メール・電話等に返事がなかったので、部屋へ向かいました。インターフォンを鳴らしましたが応答がなかったため、管理会社の方に連絡し、部屋の鍵を開けていただき入室したところ、すでに意識のない状態でした。応急手当をするとともに、すぐに警察と救急に連絡を入れ、病院に搬送されましたが、懸命な救命処置も及ばず14時10分に永眠いたしました。 |
配信日時 | 作成者 | 記事の主語 | 遺書の有無に関する報道内容 |
---|---|---|---|
7/18(土) 15:04 |
日テレニュース24 | 遺書の有無には触れていないが、タイトルは「速報:俳優の三浦春馬さんが死亡 自殺か」 | |
7/18(土) 15:37 |
NHK | 捜査関係者によりますと、 | 室内からは遺書のようなものが見つかっているということで、警視庁は現場の状況などから自殺を図ったものとみて詳しい状況を調べています。 |
7/18(土) 15:54 |
デイリースポーツ | 警視庁三田署は | 遺書があったかなどについては、「お答えできません」と回答した。 |
7/18(土) 17:45 |
週刊新潮WEB取材班 | 警視庁関係者によると | 「18日午後、東京・港区のマンションの1室で、クローゼットの取っ手にヒモのようなものを結び、そこに首を引っかけた状態で亡くなっていたそうです。仕事現場に現れず、連絡が取れないことを不審に思った三浦さんのマネージャーが部屋を訪れて発見。部屋の中からは遺書のようなものも見つかっていると聞いています」 |
7/18(土) 18:30 | デイリースポーツ | 不明 | 遺書とみられるものがあったと伝えられている。 |
7/18(土) 18:47 | ANNニュース | 関係者によると、 | 現場からは遺書も見つかっていて状況などから自殺を図ったとみられている。 |
7/18(土) 19:34 | デイリースポーツ | 自宅からは遺書のようなものが見つかったと報じられているが、所属事務所は同日夜、「詳細に関しましては、現在確認中」(公式サイト)と説明した。 | |
7/18(土) 19:39 | 中日スポーツ | 捜査関係者によると、 | 室内から遺書とみられるものが見つかっており、警視庁が慎重に内容を確認している。 |
7/19(日) 5:00 | デイリースポーツ | 捜査関係者によると、 | 室内からは遺書のようなものが見つかったといい、警視庁は自殺を図ったものとみて調べている。 |
デイリースポーツ | フジテレビは | 同日、自宅から見つかった手帳に「死にたい」などと書かれていたと報じた。 | |
7/19(日) 12:48 | 文春オンライン | 捜査関係者によると、 | 「自宅からは『死にたい』と書かれた日記が見つかっている。自殺とみて捜査を進めている」という。 |
9月4日 | アミューズ | 警察の現場検証の結果、本人が日頃から役作りなど様々な思いを綴ったノートは自宅から発見されましたが、遺書はありませんでした。 そのノートにも、自死の動機や原因と直接結びつくような内容はなく、また、ファンの皆さま、スタッフ、アーティスト仲間などへ遺した文章や、遺書なども結果として見つかっておりません。 |
不自然な自殺報道/警察情報の垂れ流し/アミューズの変遷
死亡後わずか54分後の速報
緊急搬送先での死亡時刻は14時10分と発表され、そのわずか後の15時4分には、日テレニュースでは「速報:俳優の三浦春馬さんが死亡 自殺か」という見出しの速報が流れた。
三浦氏の死亡が確認されたのは14時10分。そのわずか54分後の速報は、死を待ち構えて、それを聞くや否やメディアにタレ込むほどのスピード感だ。もちろん、顔が効く者でなければ、メディアに取り合ってはもらえない。それゆえ、誰がタレ込んだのかを絞り込むことは、それほど難しい作業ではない。死亡をリアルタイムで確認でき、現場の状況を知り得る者は、数えるほどしかいないからだ。自殺を匂わせるように仕込んだのも、そのタレコミを密告した者の仕業と断言してよいだろう。
なお、この最初のニュースは抹消されている。報道する側か、タレ込んだ側、あるいは双方にとって、このニュースが不都合になったのだろう。
- 消されたニュース:https://news.livedoor.com/article/detail/18594308/
- Way-back Machineに記録されたアーカイブ:https://web.archive.org/web/20200718062552/https://news.livedoor.com/article/detail/18594308/
警察情報の垂れ流し
死亡から77分後、15時37分のNHKのニュースでは、ネタ元を捜査関係者と明記してある。”関係者”と記されたことから、一警察官が情報を流出した可能性が高い。16-18時台に、同程度の情報量のニュースが、一斉に配信されたことから、その警察官が複数のメディアにタレ込んだか、メディア間でネタをシェアする仕組みがあるか、あるいは、記者クラブが発表したのか、私には特定ができない。
いずれにしろ、「自殺か」「自殺とみられる」という言葉を含むニュースが、NHKの後にも大量に発生したことから、その捜査関係者が報道機関に流したネタに「自殺の推定」が含まれていたのだろう。
若手の人気俳優、三浦春馬さん(30)が東京・港区の自宅で首をつった状態で見つかり、搬送先の病院で死亡したことが捜査関係者への取材でわかりました。警視庁は現場の状況などから自殺を図ったものとみて詳しい状況を調べています。
捜査関係者によりますと、18日午後、東京・港区のマンションの1室で俳優の三浦春馬さん(30)が、首をつった状態で見つかり、搬送先の病院で死亡したということです。
三浦さんが仕事に来なかったことから、部屋に迎えに行った所属事務所のマネージャーが発見し、110番通報したということです。
捜査関係者によりますと、室内からは遺書のようなものが見つかっているということで、警視庁は現場の状況などから自殺を図ったものとみて詳しい状況を調べています。
15時37分のNHKのニュース
病院で死亡が確認されてから、わずか77分後、しかも、検視前、それどころか、事情聴取と現場検証さえ書類にまとまらない時間帯に、捜査関係者(警視庁の警察官)が「首吊り」による「自殺」で「遺書(のようなもの)」があった、とメディアにリークすることは、犯罪死の見逃し防止の意識など微塵もない所業であり、死者の尊厳を冒涜するものだ。
問題の根源はテレビと警察の癒着
大メディアの記者は、警察と「良い関係」を築き、いち早く情報をもらうことを重んじてきた。また、警察をネタ元とする情報は、社内で信頼され、社外で信用される。そのなかでも、芸能人に関連するネタは、楽して視聴率のとれるおいしいネタの筆頭だ。芸能人ネタを欲しがるメディアに、タレコミのアルバイトをする警察官もいることだろう。
「ビッグニュースです!」
タレ込む警察官とタレコミ電話を受ける記者との興奮したやり取りが目に浮かぶようだ。
警察官は、”首つり+遺書=自殺”の単純処理ばかりを目にしているので、そのタレコミによる自殺報道がどんな反響を受けるか、想像できなかったのだろう。
タレコミを受ける記者も、警察情報という安心感から、”首つり&遺書=(推定)自殺”を安易にそのまま使ったのだろう。
警察とメディアの蜜月関係はさておき、死者の尊厳を鑑みれば、安易な情報提供は慎まなければならない。それなのに、警察官が、状況把握さえ不十分な段階で、「首つり」「遺書」「(推定)自殺」をリークしたのだとしたら、それは問題だ。
警察は、いつもの情報提供ではなく、情報漏洩として、誰がリークしたのかを捜査し、しかるべき処分をすべきだろう。誰が情報を漏洩したのかは、報道したメディアに「警視庁関係者(捜査関係者)とは誰か?」と聞けば、すぐわかることだ。
安易な報道をしたメディア側の問題も大きい。
「警視庁関係者(捜査関係者)によれば」と但し書きを添えれば、何でもそのまま報道してよいわけがない。
16-18時台に配信されたニュースのうち、警察を取材源(ネタ元)とすることが明記され、「首つり」「遺書」「(推定)自殺」を含むものについては、メディアは取材源を明らかにすべきだろう。
「取材源の秘匿」という報道の哲学がある。しかし、取材源は公共機関である。また、メディアは、取材源が「警視庁関係者」あるいは「捜査関係者」であることが明かにしているどころか、記事の信用性確保と、報道する側の責任転嫁に利用していることが明らかなので、「取材源の秘匿」を盾にする理由はない。
情報が不十分な段階であるにもかかわず、各メディアによる自殺を決め付けた報道は、死者の尊厳を踏みにじるものである。松本サリン事件の反省をまったく顧みず、報道被害を発生させたといえる。
- 松本サリン事件
- 警察の杜撰な捜査と、それら警察発表を情報源とする偏見を含んだ報道により、無実の人間が半ば公然と犯人として扱われてしまった冤罪未遂事件。
異例のスピード葬
アミューズは、すでに密葬が終わっていることを、三浦氏が死亡した2日後の7月20日に発表した。密葬(火葬)は、時間も場所も発表されなかった。多くの人が証拠隠滅を疑うほど異例のスピード葬は、とうぜんアミューズの意向が反映している。
なお、法律上の手順としては、警察が検視で「事件性なし」と判断し、その次に検案が行われることになっている。実務上、検視と検案を一緒くたにされているとしても、警察が検案(=死体検案書の発行)の依頼をするのは、警察が「事件性なし」を判断した場合に限られる。
つまり、例のスピード葬が可能となったのは、警察が早々と「事件性なし」を判断し、検案(=死体検案書の発行)を依頼し、そして、本来は遺族に渡されるべき死体検案書がアミューズに渡されたからだ。
初期の報道をアミューズが訂正
7月20日のニュースは、それまで「仕事現場に現れず、連絡が取れないことを不審に思った三浦さんのマネージャーが部屋を訪れて発見」と報道されていたことを、アミューズの担当者が否定したと、報じた。
これに対し、三浦さんの所属事務所アミューズは「弊社マネジャーは当日朝、三浦の自宅に直接向かいました。報道されている事実の中には誤りもあります」(担当者)と否定する。
日刊ゲンダイDEGITAL「三浦春馬さんとマネジャー “現場待ち合わせ報道”の違和感」
しかしながら、「仕事現場に現れず、連絡が取れないことを不審に思った三浦さんのマネージャーが部屋を訪れて発見」との報道は、警視庁関係者をネタ元としている。
警察官が、午前中の経緯を、そこまで詳しく事情聴取していたのなら、マネージャーが入室した時間のほか、それまでの経緯についても、時間を記録したはずだ。
だから、もし警察に、犯罪死の見逃しを防止する意識があるのなら、死亡当日に聴取したはずの記録を使えば、多くの人が疑っている本当の死亡理由に近づくことができるはずだ。
四十九日にアミューズは時間をあいまいに訂正
アミューズは、四十九日を迎えた9月4日になって、「三浦春馬に関するお知らせ」に追記した。そこには当日の状況が綴られているが、警察あるいは報道機関がアミューズをネタ元して報道された内容と比べると、事件当日午前中の状況があいまいにされている。
午後から予定されていた仕事に向かうため、約束の時間に担当マネージャーが自宅へ迎えに行きましたが、メール・電話等に返事がなかったので、部屋へ向かいました。インターフォンを鳴らしましたが応答がなかったため、管理会社の方に連絡し、部屋の鍵を開けていただき入室したところ、すでに意識のない状態でした。応急手当をするとともに、すぐに警察と救急に連絡を入れ、病院に搬送されましたが、懸命な救命処置も及ばず14時10分に永眠いたしました。
三浦春馬に関するお知らせ(2020年9月4日)
多くの人たちが指摘する通り、7月20日の報道で、アミューズに向けられた疑惑に対し、何ら具体的な説明が加えらえていない。それどころか、あえて時間を曖昧した文章校正となっている。言葉の選択の仕方は、つまびらかに明らかにするのではなく、可能な限り抽象的に留める書き方だ。とくに、当初発表や関係者の証言とされる情報で、午前中とされた撮影の開始時間を明記せず、「約束の時間に担当マネージャーが自宅へ迎えに行き〜」で濁しているように見える。
衰退するテレビと報道タブーの闇
テレビ局が使う『衝撃映像』のほとんどは、YouTubeなどの動画投稿サイトから借用されている。『衝撃映像』に限らず、『おもしろ映像』や『かわいい動物映像』などなど、やらせや演出のない映像に関し、テレビ局は、クリエイターの裾野が広い動画投稿サイトに、勝ち目はない。そしてテレビ局は、動画投稿サイトの作品に芸能人がコメントを重ねるだけの『2次利用番組』を多数制作している。
テレビ局の収益面をみると、広告収入は下落する一方で、2009年にインターネットに追い越された。これはネットの広告特性が支持された結果だといえる。この傾向が逆転する可能性はない。
テレビ局にとって、広告費の減少は、とうぜん製作費の減少となる。そして、『2次利用番組』のほか、芸能人頼みの無難でコストの安いバラエティ番組が乱立することとなっている。
そうした昨今のテレビ事情をかんがみれば、芸能プロダクションの立場が強くなることは容易に予想できる。
芸能プロダクションの立場が強くなる一方、ある程度の知名度を獲得した芸能人の流出は、芸能プロダクションにとって、頭の痛い問題だろう。その流出が好調期であるなら、芸能プロダクションが何とか阻止したい、と欲するのは当然だ。
警察がまともな死因究明に背を向ける理由
三浦春馬氏の死因が究明される可能性に示したとおり、日本の死因究明制度には欠陥があり、警察が死体の表面を視た(検視した)だけで安易に自殺や事故を判断してきた。そうして警察は、殺人事件の分母を減らし、検挙率100%をアピールしてきた。一方、分母に取り込まれた殺人事件においては、数々の冤罪が発覚している。
こうした死因究明制度の欠陥は、10年以上にわたって、厚生労働省の所管分野である医師らが中心となって議論を行い、ようやく改善されたのである。2013年に制度化された『調査法解剖』は、事件性の疑いのある死体に対し、科学的な死因究明を実施する手段として導入された。ただし、『調査法解剖』は、警察官が直前の『検視』で「事件性なし」と判断したら行われることはない。
警察の『検視』の段階における「事件性なし」の乱発は、死因究明制度の改善を、水泡に帰すのである。
三浦春馬氏の不自然死において、警察官が『検視』で「事件性なし」と判断したのは、自殺の定番イメージのある「首つり」という手法と、アミューズ担当者への事情聴取において、遺書の存在をそそのかされたからだろう。
だから、後にアミューズが「遺書はなかった」と声明を発表することは、警察にとって「梯子を外された」ことになる。
ただし、梯子を外されようが、外されまいが、警察は、一度、自殺を判断したことを撤回することはない。なぜなら、これまで自殺で済ませてきた多くに対し、殺人を認定し、分母を増やすわけにはいかないからだ。
分母の増加を容認すると、これまでの検挙率100%が崩れ、「警察の自画自賛はいったい何だったんだ!?」という、警察にとって好ましくない批判が発生してしまう。
上の表のうち、黄色の棒グラフと赤色の折れ線グラフは、徐々に現実に近づける為政者的の細工を想定したうえで作成した。誇張されているように感じる人がいるかもしれないが、右端の棒グラフの示す殺人事件の件数6000件は、かなり控え目に書いた。殺人天国に示した通り、殺人事件の件数は、1万件を超えても不思議はない。
死の重さvs警察組織のメンツ
疎遠な親族の死より、関係の深い他人の死のほうが重いものだ。それが芸能人とファンという一方通行的なものであっても、思いを寄せる者たちにとって、その重さに変わりはない。
違和感だらけの自殺速報、つづく自殺の刷り込み報道、証拠隠滅を疑わせる異例の早期密葬(火葬)、ネット上から消される記録、あえて時系列を曖昧にしたように見えるアミューズのお知らせ(9/4)と、続く恫喝声明(9/14)。
人がどう死んだかよりも組織のメンツが大事な警察は、これを自殺のままで終わらせるかもしれない。もし警察がそちらを選択したなら、「偽装殺人って、簡単なんだ」と、犯罪の裾野はもっと広がることになるだろう。
事後検証のための証拠を何ら残さぬまま遺体が焼かれた結果、もはや死因を科学的に解明することはできない。しかしながら、「殺人の被害者と被疑者の面識率は、およそ9割」に示した統計的傾向、相手(警察/メディア/広報)と時間で変遷するアミューズの説明を鑑みれば、アミューズの関与を疑うのは当然である。
そして、科学的な死因究明なしでも、次の点の証拠能力を補えば、立証は可能であると思われる。
- 死亡当日の予定、撮影は午前だったのか、アミューズが訂正したとおり午後からだったのか。
- 関係者の聞き取りを行い、それが午前中からなのであれば、アミューズ供述のほころびが明らかとなる
- 遺体に傷があったという病院関係者の証言に証拠能力を与え得るか
- 匿名のタレコミに証拠能力はない。
- 「他殺を疑わない」という誓約書なるものが本当に存在するのか。それに証拠能力を与え得るか
- 匿名のタレコミに証拠能力はない。
- 個人的な予想として付け加えると、誓約書などは存在せず、放送ガイドライン、あるいは、放送法に基いて、放送の仕方に配慮を求める通知か何かがあったのかもしれない。 もしそれがあったなら、その根拠は、放送法第4条第1項(公安上の禁止規定)である。
- 詳細は三浦春馬氏は自殺か、他殺か?「放送法の呪縛」の項を参照ください。
- 三浦氏の契約更新拒絶に関する事実
- 誰もが納得する殺害動機は、公判となった際、冒頭陳述に説得力を与えることができる。
証拠不十分で、法の制裁を与えるに至らないかもしれない。それどころか、起訴さえままならないのかもしれない。それ以前に。犯人を特定することさえできないのかもしれない。さらには、捜査関係者が事件に深く関与している可能性も否定できない。
それでも、他殺が自殺として扱われるよりは、はるかにましだ。
次の記事では、犯罪死の見逃し防止制度の瑕疵を明らかにしたい。
コメントは暫定的なものです。スパムを含めたコメント状況によって、予告なく閉鎖する場合があります。
クローゼットのレール(洋服を吊るすポール)の高さが、2メートルこれが標準だと思います。春馬さんの身長は1.78メートル。その差は僅か22センチ。それで亡くなったというのですか?信じられません。春馬さんは10代の頃から懸垂機を使って腕力を鍛えておられました。それは、キンキーブーツのローラ役で先刻ご承知のことと思います。動転した発見者が、身を伏せて 相手の鼓動を聞くとき、自分の鼓動と間違えることがあるそうです。
2;死亡時間は、通常脳死をもって決定されるはずです。動転した発見者が、相手の胸によく自分の鼓動と勘違いすることがあるそうです。正式には脳死をもって死亡と断定するのではないでしょうか。3;検屍、解剖の際、胃の内容物から何を食べていたかとかアルコールはなどとともに死亡時間も割り出せるはです。また住居内外のエレベータ、非常階段階に残された靴跡や指紋の検出などもしらべたのでしょうか?食べ物から何処で食事をしたかも割り出せるはずです。外食か自宅かコンビニかも調べることで、生前の足取りをたどることによって、誰と一緒だったのか一人だったのかもわかるはずです。検察はもっと詳しいことを公表するべきです。もっとも、アミューズがもみ消しを計ったかもしれません。第一発見者のマネジャーは、警察よりも先にアミューズに連絡したのですから。
全くを持って同感です。電話履歴に関しても夜に誰かと長電話をしていたた、とか、発見時の服装が前日と同じだったと言われたりもしています。そこらへん、本当に不可解。同日の細かい時間も公開してない!
でも、アミューズは契約上、国の法律上言えないみたいな雰囲気で詳細を明かさない。春馬君はアミューズの所有物ではない!なんとかしてあげたい。
カネ恋の4話の最初のシーン。春馬君がお布団の中から手を出してる所です。春馬君の目、薬をもられたように焦点があっていません。足も変です。それに、17日は夜10時過ぎに、春馬君1人だけ残されたという事です。あのお布団のシーンが春馬君の最期だったのではないでしょうか。眠らされて、運ばれて。妄想が過ぎるかもしれませんが、あのシーン、パジャマじゃないんですよね。まさか、亡くなった時前日の服装だったそうですが、あの服???
春馬君の無念を晴らしたいです。
はじめまして。
お伺いしたいのですが亡くなった前日の洋服なのでしょうか?
私は亡くなった時の報道で前日と同じ服とは聞いておりましたが4話で着ていた服だったのでしょうか?教えて下さい。
2話にも着ていたので衣装と思っておりましたが。
もし現実に前日きていたとすると2話撮影後に亡くなったと考えられますが如何でしょうか?
すごくよくまとめてある内容は素晴らしいの一言!
トンプソン真理子さんもそれについて、鋭い洞察でブログを書いてましたが、
さらに深く見入ってしまいました。
彼女は世界に発信するため、英語、中国語も掲載して、様々なメディアに出していくようです。
https://www.marikothompson.com/
あとこれも関連あるかもしれないので、貼っておきます。https://ameblo.jp/sacredokinawa/entry-12628480016.html?fbclid=IwAR2n_B8pDw3gm3lMtFKjVMYfW_seODPPBuWegCSUXnzH5iOjCcoI4tFkMlE
好意的な評価と参考情報ありがとうございます。
私もトンプソンさんの記事は、興味深く読んでいます。
私の専門は社会問題なので、三浦氏らの連続不審死については、今後も社会の問題を知るための一具体例としての扱いになると思います。
だから、「真の犯人は〇〇だ!」といった記事には、なり得ません。しかしながら、もし犯罪死の見逃しが皆無で、そのことが抑止力になっていたなら、三浦氏らも死なずに済んだかもしれません。
事後の活動で、失われた命が戻ることはありませんが、同じような不幸を減らすことができると思っています。
悲しみが癒えません。絶対に自殺ではありません。18日に何故マネージャーは救命を第一にしなかったのでしょう!そこに警察や消防車?同時に呼んでおかしいでしょう!救急車だけで良くない!また病院で骨折があったとか言われていたのに、何故自殺で処理されたのか?そして簡単な検案で済まされており、事件性を疑う司法解剖はされていません。最後のお別れも、何故アミューズが行うのか、家族が普通しますよね。特にアミューズはその日から契約更新してないと言ってましたからなおのこと、どうしても事件性にしたくなかったとしか言えません。だから早く証拠隠滅しなくてはならない為、火葬を早く進める必要があったのでしょう。しどろもどろの時系列、綻びだらけでしょ!やはり春馬君の無念を晴らしてあげたい!《それは自殺ではない!》それを明らかにしたいです。それは他の俳優さん達の為でもあると思ってます。
春馬君は役に悩ませられて心を病んだと、思われて、役者やっている事に不安を抱いている俳優さんもいるからです。
春馬君は未来をちゃんと生きようとしていました。俳優としてもエンターテイメントとしても、夢を繋ごうとしていた。それをみんなも信じて、真実を明らかにして行けたら嬉しいです。
私は春馬さんは実は生きてるのではないかと思っています。あの日7月18日の午前中に春馬さんは今までの心労が重なり精神的に病んでしまいこれ以上俳優は続けることができない状態になってしまった。そんな状態の春馬さんを発見したマネージャーが、事務所に連絡して色々対策を模索しているうちに、いっそのこと自殺にしてしまおうということになった。自殺にすれば派手に報道されることはないと思ったからだ。今ごろ春馬さんは回復してどこかでひっそりと暮らしているのかも知れない。事務所の思惑は大正解で、主演映画や、ドラマ、歌まで大ヒット。
あくまでも私の妄想ですが、春馬さんがどこかで生きていたら、嬉しいです。
仮に犯人が在日だったりしたら警察は動きませんね。二重国籍の人も多いですし。日本はもう日本国民のものではないのだと思います。政府はコロナ対策で外国人の入国を規制したことを発表しましたが、陰で中国人だけは「特段の事情」で何万人も受け入れていましたよね。日本にコロナを持ち込んでいるのは中国人です。在日の人たちは帰化しても日本ではなく母国のために働くことが問題なのだと思います。政治家や芸能人は家系図を発表できない人が多いと思います。