職業別犯罪率ワーストランキング 土建、無職、飲食の首位争い グラフつき

犯罪を犯す人が多い職業、少ない職業って気になりませんか? 知りたくてもテーマがテーマだけに確認しにくいし、そもそもそんなデータどこにもありません。

そこで、ここでは警察などの公的機関の公開データにもとづいて、さまざまな犯罪の職業別犯罪率を分析してランキングにしました。このランキングを見ればどんな職業の人がどんな犯罪を犯しやすいのか一目瞭然です。

ふだん薄々感じていたことを確認できたり、意外な発見ができたりするかもしれませんよ!

  • 検挙人数(認知件数ではありません)を当該職業人口10万人で割った数値で比較しています。
  • 15歳以上の人を対象としています。
  • 代表的かつ分かりやすい職業のみをピックアップして掲載しています。
  • 便宜上、無職は「無職(非求職者)」、「失業者(求職者)」、「学生」、「主婦(主夫)」に分けています。

参照

  • 平成29年罪種別犯行時の職業別検挙人員(警察庁)
  • 平成30年10月1日現在人口推計(総務省統計局)
  • 平成27年国勢調査(総務省統計局)
  • 労働力調査(基本集計)平成31年(2019年)2月分(総務省統計局)
  • 文部科学統計要覧(平成30年版)(文部科学省)

刑法犯の検挙人数が多い職業ランキング

なにはともあれ、すべての刑法犯を対象に検挙人数の多い職業ランキングを見てみましょう。数値はその職業に従事する人口10万人あたりのうち、検挙された人数です。

刑法犯(検挙人数/職業人口10万人)
0 600
1土建業 545人
2無職(非求職者) 448人
3飲食業 361人
4労務作業者 244人
5学生 226人
6失業者(求職者) 221人
7ドライバー 209人
8管理的職業 143人
9全職業 131人
10遊技場等店員 127人
11保安従事者 118人
12営業・販売 94人
13医療・保健職 75人
14技能工 74人
15事務員 42人
16教員 40人
17主婦(主夫) 32人
0 600

ワースト1位は土建業の545人、2位は無職(非求職者)の448人、3位は飲食業の361人という結果になりました。

一方、犯罪率の低い職業は主婦(主夫)(32人)、教員(40人)、事務員(42人)となります。

犯罪率のもっとも高い土建業ともっとも低い主婦(主夫)ではなんと17倍もの違いがあるのですね。

なお、「管理的職業」とは会社、団体、行政機関等での課長以上の役職者、役員のことです。「全職業」は15歳以上の全人口と同義です。「保安従事者」とは警察・消防・自衛官・警備員などです。

また、ここでの「無職」は求職していない人のことをいい、求職中の「失業者」とは分けています。

退職された方のほか、昨今話題になることの多い「引きこもり」や「ニート」も無職に区分されます。

ではつぎに、犯罪の種類ごとにもう少し詳しくみてみましょう。

検挙人数の多い犯罪の種類ランキング

犯罪ごとの検挙人数はこのようになっています。

犯罪ごとの検挙人数(人口10万人あたり)
0 80
1窃盗関連 74.41人
2暴行 17.75人
3傷害 14.35人
4その他 9.76人
5知能犯 6.77人
6性犯罪関連 3.99人
7脅迫 1.64人
8恐喝 0.87人
9強盗 0.83人
10殺人 0.43人
11賭博 0.42人
12放火 0.27人
13凶器準備集合 0.00人
0 80
刑法犯の検挙人数割合

刑法犯の検挙人数

窃盗関連だけで5割以上になるのですね。なお、ここでは窃盗関連を「窃盗」と「占有離脱物横領」としています。

凶悪犯の検挙人数は土建業、無職、飲食業の3トップ

では具体的に犯罪の種類ごとにランキングを見てみましょう。

まずは凶悪犯です。凶悪犯とは「殺人」「強盗」「放火」「強制性交等」をいいます。

凶悪犯(検挙人数/職業人口10万人)
殺人強盗放火強制性交等
0 20
1土建業 14.52人
2無職(非求職者) 9.60人
3飲食業 7.40人
4労務作業者 5.20人
5失業者(求職者) 5.06人
6遊技場等店員 4.73人
7ドライバー 3.25人
8学生 2.78人
9管理的職業 2.63人
10保安従事者 2.46人
11全職業 2.18人
12営業・販売 1.41人
13技能工 1.29人
14医療・保健職 1.03人
15教員 0.93人
16事務員 0.66人
17主婦(主夫) 0.42人
0 20

ワースト4までは刑法犯全体のランキングと同じです。上位3職業は土建業(14.52人)、無職(9.6人)、飲食業(7.4人)となっています。

「殺人」と「放火」は2位の無職のほうがトップの土建業よりも多いのですね。

順番が違うもののベスト3も刑法犯全体ランキングと同じです。主婦(主夫)(0.42人)、事務員(0.66人)、教員(0.93人)となっています。この3職業は優秀ですね。

ただ、全体的な検挙数の少なさの割に、教員による「強制性交等」の多さが少し目立ちます。教員による「凶悪犯罪」のなかで「強制性交等」は4分の3以上を占めます。

最上位の土建業と最下位の主婦では35倍もの検挙人数の差があります。

粗暴犯ではドライバーがワースト3にランクイン

粗暴犯とは「凶器準備集合」「暴行」「傷害」「脅迫」「恐喝」のことです。

粗暴犯(検挙人数/職業人口10万人)
凶器準備集合暴行傷害脅迫恐喝
0 260
1土建業 221.30人
2飲食業 120.08人
3ドライバー 96.64人
4労務作業者 78.47人
5無職(非求職者) 74.80人
6管理的職業 61.71人
7失業者(求職者) 41.67人
8保安従事者 36.42人
9全職業 34.61人
10遊技場等店員 30.51人
11営業・販売 27.00人
12学生 25.37人
13技能工 25.26人
14医療・保健職 19.96人
15教員 14.86人
16事務員 12.83人
17主婦(主夫) 3.15人
0 260

上位から土建業221.30人、飲食業120.80人、ドライバー96.64人となります。

ここへきてドライバーが初のワースト3入り。しかし、土建業はドライバーのダブルスコア以上と圧倒的な存在感です。

下位3職業は主婦3.15人、事務員12.83人、教員14.86人。特に主婦が超優秀です。次点の事務員の4分の1です。トップ(土建業)との差はなんと70倍!

グラフでは分かりづらいですが、どの職業も「凶器準備集合」はほぼゼロです。

窃盗犯が多いのは圧倒的に無職

窃盗犯のランキングです。窃盗犯には「侵入盗」「乗り物盗」「非侵入盗」があります。よく似た犯罪に「占有離脱物横領」がありますが、このランキングでは対象外です。このあとにでてくる「その他の刑法犯」に分類されています。

窃盗犯(検挙人数/職業人口10万人)
0 300
1無職(非求職者) 278.43人
2土建業 179.70人
3飲食業 132.76人
4学生 127.33人
5失業者(求職者) 121.09人
6労務作業者 102.36人
7全職業 63.82人
8ドライバー 56.77人
9遊技場等店員 43.28人
10保安従事者 41.72人
11営業・販売 39.18人
12医療・保健職 35.36人
13技能工 29.56人
14主婦(主夫) 26.16人
15管理的職業 22.18人
16事務員 15.00人
17教員 11.43人
0 300

無職278.43人、土建業179.70人、飲食業132.76人となり、無職がほかを圧倒しています。学生がトップかと思っていましたが、4位というのは少し意外な気もします。

下位(ベスト)は教員11.43人、事務員15.00人、管理的職業22.18人となります。主婦が26.16人で、唯一ベスト3から脱落した犯罪となりました。

知能犯は案の定管理的職業がランクイン

知能犯のランキングです。知能犯には「詐欺」「横領」「偽造」「汚職」「あっせん利得」「背任」があります。

知能犯(検挙人数/職業人口10万人)
0 40
1土建業 30.72人
2管理的職業 28.75人
3無職(非求職者) 27.95人
4失業者(求職者) 22.37人
5飲食業 20.44人
6労務作業者 11.95人
7ドライバー 11.04人
8営業・販売 8.56人
9遊技場等店員 8.04人
10全職業 6.77人
11保安従事者 6.57人
12学生 5.41人
13医療・保健職 4.13人
14技能工 2.98人
15事務員 2.61人
16教員 1.93人
17主婦(主夫) 0.83人
0 40

知能犯では土建業30.72人、管理的職業28.75人、無職27.95人となります。

管理的職業とは会社や行政機関などの役職者や役員のことで、業務を管理する立場にある人たちのことです。社会的ステータスが高かったり頭脳明晰であるという印象が強いのではないでしょうか。そのため、一般の人には手の届かない特殊で複雑な利権にアクセスしやすいのかもしれません。知能犯は管理的職業ならではの犯罪ともいえるでしょう。

一方で土建業はここでも安定してトップの座を譲りません。なかなか手ごわいですね。

下位は安定の3職業、主婦0.83人、教員1.93人、事務員2.61人です。

風俗犯では遊技場等店員が初ワースト

風俗犯ランキングです。風俗犯とは「賭博」「わいせつ」のことです。

風俗犯(検挙人数/職業人口10万人)
賭博わいせつ
0 20
1遊技場等店員 16.32人
2飲食業 12.88人
3土建業 11.75人
4ドライバー 8.93人
5労務作業者 8.24人
6保安従事者 8.12人
7管理的職業 6.63人
8学生 6.04人
9無職(非求職者) 5.64人
10失業者(求職者) 5.13人
11教員 4.79人
12全職業 3.76人
13営業・販売 3.61人
14技能工 3.10人
15医療・保健職 2.85人
16事務員 2.29人
17主婦(主夫) 0.06人
0 20

遊技場等店員が初のトップ登場で16.32人、2位が飲食業の12.88人、3位がかろうじてトップ3に踏みとどまった土建業の11.75人です。

下位は主婦が0.06人、事務員が2.29人、初登場の医療・保健職が2.85人となっています。主婦はほぼゼロといっていいでしょう。

「賭博」と「わいせつ」では質的にも受ける印象もかなり違いますよね。

多くの職業では「わいせつ」が多数なのに対して、遊技場等店員は賭博が圧倒的に多数となっています。

店で賭場を開くケースが多いのでしょう。ある意味わかりやすいですね。

注目すべきは、賭博犯では警察官などの保安従事者が遊技場等店員に次いで多いという点です。保安従事者の皆さん、ストレスの多い仕事だとは思いますが、しっかり街の安全を守ってくださいね!

一方、下位常連だった教員がここへきて大きく順位を上げてしまいました。「賭博」はゼロにもかかわらず「わいせつ」が多いため全職業(平均)よりもランクが上となってしまう事態に。なんという不名誉! なお、教員はわいせつのなかでも「公然わいせつ」よりも「強制わいせつ」の比率が目立って高いという特徴もあります。

参考までに、凶悪犯の「強制性交等」と風俗犯の「わいせつ」を合算し、性犯罪関連としてランキングにしました。

性犯罪関連(検挙人数/職業人口10万人)
強制性交等わいせつ
0 20
1飲食業 14.10人
2土建業 13.70人
3労務作業者 9.27人
4ドライバー 8.04人
5学生 7.06人
6管理的職業 6.98人
7保安従事者 6.39人
8無職(非求職者) 5.73人
9教員 5.50人
10遊技場等店員 5.44人
11失業者(求職者) 5.19人
12全職業 3.99人
13営業・販売 3.81人
14技能工 3.37人
15医療・保健職 3.21人
16事務員 2.22人
17主婦(主夫) 0.05人
0 20

やはりほかの犯罪では検挙人数の少ない教員ですが、性犯罪に関しては飛び抜けて多くなっています

一方、ほかの犯罪ではおおむね上位にランクインしている無職がランキングを大きく下げています。

そのため全体としては高犯罪率の無職と低犯罪率の教員が、性犯罪にかぎってはほぼ同じ犯罪率となっています。

占有離脱物横領が多い学生

その他の刑法犯ランキングです。その他の刑法犯は「占有離脱物横領」「公務執行妨害」「住居侵入」「逮捕監禁」「略取誘拐・人身売買」「盗品等関与」「器物損壊等」などです。なかでも「占有離脱物横領」が多くの割合を占めます。

その他の刑法犯(検挙人数/職業人口10万人)
占有離脱物横領その他
0 100
1土建業 87.35人
2飲食業 67.70人
3学生 59.51人
4無職(非求職者) 51.32人
5労務作業者 37.39人
6ドライバー 32.28人
7失業者(求職者) 25.90人
8遊技場等店員 24.12人
9保安従事者 22.27人
10管理的職業 21.42人
11全職業 20.35人
12営業・販売 14.75人
13医療・保健職 11.80人
14技能工 11.65人
15事務員 8.86人
16教員 5.93人
17主婦(主夫) 1.66人
0 100

土建業87.35人、飲食業67.70人、学生59.51人です。

唯一学生がワースト3にランクインした犯罪です。「占有離脱物横領」に限れば、トップと僅差でワースト2位です。窃盗でも学生は4位に入っており、やはり学生は盗む系の犯罪をしやすい傾向にあるといえるでしょう。

下位は主婦1.66人、教員5.93人、事務員8.86人です。

参考までに、「窃盗」とその他の刑事犯の「占有離脱物横領」を合算し、窃盗関連としてランキングにしました。

窃盗関連(検挙人数/職業人口10万人)
窃盗占有離脱物横領
0 350
1無職(非求職者) 303.29人
2土建業 208.89人
3飲食業 173.38人
4学生 167.59人
5失業者(求職者) 132.88人
6労務作業者 119.43人
7全職業 74.41人
8ドライバー 68.45人
9遊技場等店員 59.84人
10保安従事者 51.58人
11営業・販売 47.39人
12医療・保健職 39.42人
13技能工 35.43人
14主婦(主夫) 26.98人
15管理的職業 25.91人
16事務員 20.55人
17教員 13.51人
0 350

職業別犯罪率ランキングのまとめ

総合的に犯罪率の高い職業はダントツで土建業といえるでしょう。たしかに土木作業員や配管工などの犯罪をニュースでみることが多いような気もします。

しかし、「殺人」や「放火」などの凶悪犯罪の一部や「窃盗」では無職が土建業よりも高い犯罪率となります。

また犯罪の種類によってもさまざまな特徴が見えてきます。遊技場等店員は賭博飲食業やドライバーは粗暴犯管理的職業は知能犯が多いことなどです。

一方で、主婦(主夫)、教員、事務員は安定して犯罪率が低く優秀な職業ということも分かります。しかし、教員は「性犯罪関連」が平均より多いなどの点も見えてきました。

あまり目立ちませんが、警察や消防など、治安を維持するための保安従事者が全体をとおしてやや犯罪率高めというのが少し気になるところですね。

さて、ここまで職業別犯罪率ランキングを見てきたわけですが、そもそも日本では職業にかかわらず犯罪率が低いといえます。なので、むやみに職業に対する先入観や偏見を持たないように気をつけましょう。

とかくストレスの溜まりがちな現代社会、つい魔が差してしまいそうになることもあるかもしれません。でも一時の気の迷いで取り返しのつかない事態にならないように気をつけたいものです。それぞれの仕事を精一杯こなしつつ、清く正しく楽しく暮らしていきたいですね!

こちらの記事もおすすめです。

【若者 VS 団塊】世代別の殺人検挙率を徹底比較! 自殺率ランキング 都道府県、職業、年齢、男女などで徹底比較

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。