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夫の遺言でボランティア続ける…「生け花」を40年以上も駅の構内に 84歳女性に届いた『1通の手紙』

04月30日更新

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 名古屋市営地下鉄の駅で「生け花のボランティア」を約40年にわたり続けているという、内藤弘子さん(84)から投稿がありました。内藤さんが飾っている生け花を「楽しみにしている」と匿名の手紙が駅に届き、「感動して思い切って投稿しました」と寄せてくれました。

 内藤さんは「感謝の気持ちを伝えたい」と、生け花に手紙を添えて今、送り主を探しています。

■「一瞬でも和んでもらえれば」…地下鉄の駅で約40年ボランティア 花を生け続ける女性

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 名古屋市営地下鉄・東山線の上社駅で生け花のボランティアをする内藤弘子さん(84)。この駅で生け花のボランティアをしています。

 駅の近くに住む内藤さんは、利用客の癒しになればと、季節に合わせた花や植物を、自己流で思いのまま構内に飾り続けてきました。

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内藤さん:
「みんなに喜んでもらえたらいいな、一瞬でも和んでいただければいいなという思い。みんながニコッと『わぁ、きれいだね』『お宅がやっていたんですか』と言われると、めっちゃうれしい」

 駅長も「駅に花があることで、心のオアシスのような存在だと思っています」と内藤さんに感謝しています。

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 飾りつけは簡単ではありません、2日間かかることもあると内藤さんはいいます。40年以上にわたり続けてきた駅の生け花。活動はずっとボランティア、無償です。

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 そんな内藤さんに、ある手紙が届きました。

■夫の「遺言」守り続けた苦労「報われた気が」…匿名で「楽しみに通勤しています」と駅に手紙

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内藤さん:
「これ、大事なもの。最初は上社の駅に届いたんだって。駅長さんから私に『手紙が届いたから送ります』と言って、送ってきたの」

「生け花を長年 上社駅で生けて下さった方へ」と書かれた封筒。中には…。

<手紙の内容>
「社会人になってからの朝の慌ただしい日々を、一服の清涼剤のごとく、生け花を楽しく拝見しておりました。ご準備は大変だと思いますが、毎月楽しみに通勤しています」

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内藤さん:
「一服の清涼剤のごとく…。すごい、すごいと思うより、涙ぐんでいた。いろんなこと思い出して、主人のことやら」

 20年前に他界した内藤さんのご主人。

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 当時、他にも花のボランティアを掛け持ちしていた内藤さんは、ご主人の看病のため活動をやめようと考えていましたが、亡くなる直前ご主人は…。

内藤さん:
「お父さんがあの時に『駅だけやったらどうだね』って言ったから、だから駅だけやっている。このお花は遺言になっているわけ」

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「駅の生け花は続けなさい」その言葉を、“遺言”として守り続けてきました。今回の手紙でその苦労が報われた気がして、涙が出たといいます。

内藤さん:
「世の中、本当にこういう方もおられることに感動した。会いたいねぇ。(会えたら)『お宅だったの~』ってまず言うね。すごくめっちゃうれしくって、とにかくありがとうどころじゃなくて、感謝感激だわって、そう言うと思う」

■手紙の男性に感謝の気持ちを伝えたい…生け花に添えて「ぜひ一度お会いしたい」と返信

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 駅へと向かった内藤さん。目的は手紙の送り主探しです。

内藤さん:
「分からんけどね、通ったらいいけど。ぜひお会いしたいです」

 しかし、手がかりは手紙の最後にあった「30代男性」の文字だけ。連絡先は分かりません。

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内藤さん:
「30代男性…どんな人だろうね。見当もつかないわ、私」

 構内を行き交う人を眺めますが、顔も名前も分からないため、雲をつかむような状態です。ちなみに内藤さん。今回作った作品にも、送り主へのメッセージを込めていたそうです。

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内藤さん:
「(手紙をくれた)男の人に対してお返しの意味で、清涼剤のごとくって書いてあるから、その方への返事として自然体で生けました」

 “感謝”を生け花で表現。願わくば、一目会ってその気持ちを直接伝えたい…。

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 そこで、駅長から情報収集することにしました。

内藤さん:
「この人ね、どんなような人だと思う?」

駅長:
「私の知る限りでは、いつも上社駅を利用されている、一般の社会人の男性の方だと」

内藤さん:
「分かっていることはいらない」

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 内藤さん、本気です…。

内藤さん:
「(Q.情報は入った?)入らない…全然」

 新たな情報をつかむことはできず、手がかりが少ない分、想像が膨らみます。

内藤さん:
「この人ね、すごく頭もよくて、仕事がよくできて、几帳面で、誰か家族がこんなようなこと(生け花)をやっておられるかもしれないなと思います」

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 その後も、想像した手紙の主を探しますが…。

内藤さん:
「いなさそう。何考えたってダメだって、空気つかむみたいなものだから」

 残念ながら見つけることはできませんでした。すると…。

内藤さん:
「じゃあここに貼っときますから、男の人持って行ってくださいね」

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 生け花の横に、何やら封筒を張り付けました。実は手紙の主を見つけられないことも想定して、奥の手を用意していました。

 遡ること2時間前、内藤さんは自宅でペンを片手に紙の前に…。

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内藤さん:
「一度ぜひお会いしたいんですけどって書こうかね」

 手紙には手紙で。まだ見ぬ男性に向け筆を走らせていました。

<書いた手紙>
「先日はお手紙ありがとうございました。ぜひ一度お会いしたいです。よろしくおねがいします」

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内藤さん:
「手元にぜひ届いてほしいです」

 生け花からつながる縁を求め、思いを込めた手紙を花の脇に…。

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内藤さん:
「縁っておかしなもんでね、ずっとつながりがあるんだね、クモの巣のように。お父さんがあの時にやめよって言わなくて、ずっと続けてきたから良かった。あの手紙を男の人が見つけて、取ってくださったらいいなと思うわね」

 内藤さんは、手紙の送り主に会って感謝の気持ちを伝えられる日を心待ちにしています。

  • 中日新聞

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