昼下がり、ひとつの用事を終え僕は駅チカのデパートに足を踏み入れた。
目的地を館内の地図で確認し、総菜や名前の分からない食品が並ぶデパ地下の食品街を通過しながら、僕は歩を進める。
何ひとつ迷いのない人生を歩んでいるかのような、他には目も暮れない力強い歩みでただ一点を目指して僕は前へ前へと進み続けた。
うさぎとかめの2択で推し量るなら僕はかめだ。しかしうんと足の速いね♪
さぁ、目的地はもうすぐだ。
寄り道をすることによって本来の目的以外のものを手に入れる、セレンディピティ的なことも世界にはあるのだが、今日はもう間も無く到着する目的地へ向けて、また一歩僕は足を踏み出した。
刹那、頭を鈍器で殴られたかのような、目の前のものに僕は狼狽せずにはいられなかった。
そこは出口だったのである。
そう。通り過ぎていたのだ。
誰に約束したわけではないが、間違ってねーし!と、見栄を張る自分がいる。子供の頃に憧れた26歳はもっと人格者であったような気もしないわけではないかもしれなかった。
しかし、迷った域には入らない程度だろう。そう見栄を張る自分にやれやれとため息をつく自分、その2人が僕の心の中で対話をしている隙に、僕は目的地に着いた。
そこは来るものみなが期待に溢れたまなこでつい童心に帰った心意気で見渡してしまう。コンビニエンスストアほどもなくある種レアキャラのような、稀有な存在でもあり見つけた時には嬉しくなる、とかくまぁいつ来てもハッピーになる場所である。
そう。ミスドだ。
例外なく僕もショーケースのその先に目を凝らした。が、そんなに時間を要することはなく、僕は迷わずに2つのものを選んだ。
お気に入りのものはいつも変わらない。だいたいが店では同じものをいつも頼む性格である。
ライオンのたてがみを模したような形のドーナツ、しかしそれは威厳や格式ではなく、柔らかさや親しみの印象を与えるもの。それをひとつ。
そしてもうひとつは、天使と名に冠されるクリームが入ったものだ。…僕はまだ天には召されたくないのだが。
2人の女性の後ろに並び時を待つ。
ふっ。
甘いものが好きな趣向は昔っから変わらないなと、我ながら少し苦笑してしまう。…勿論心の中でだ。
天使とライオンを手にした僕は店を後にし、そのまま電車へと向か……っても良かったのだが、今日はゆっくりとした休日だ。天気も良い。久しぶりに東京でののんびりとした1日を過ごしている今日、もう少しと、足が知恵の湖へと僕を連れて行く。
チエノミズウミ。
そこは誰しもを受け入れ浅瀬にも深海にも知恵と言葉が溢れ、深海に入り浸る玄人は"没入"という言葉でそこに浸る時間をしばしば形容する。容易に世界中のものを目に、手にすることが出来る、ある種、地球儀とも呼べる場所ではないだろうか。
そう。本屋だ。
本屋はいつ来てもその表情が同じということがないから人を魅了するのではないだろうか。
だからこそ、ついつい目的がなくとも立ち寄ってしまうものだ。
年齢制限もなければ入場料もかからない。とかく誰も拒むことがない。…本屋が人間でなくてよかったと心から思う。こんな器の広い人間がいたら僕は太刀打ちできやしない。黒船にまち針で挑むようなものだ。
そんな戯言を言う僕のマインドにはしおりをかけずに読み飛ばして目の前の本たちに意識を集中させる。
と、
1冊の本に手を止める。
僕が手に取るのはいつもタイトルへの直感でだ。
タイトルに引っかかると言うことはきっとそのタイトルに使われた言葉に何かしらの共感か、いま自分が直面しているものと通づるものがあったか、大雑把に言えばそういうことだろう。
そのロジックに従いハズしたこともないからおそらく正しいのだろう。
と、
知ったような言葉を吐いている僕のマインドにはしおりをかけずに読み飛ばして手に取った本を開いた。
面白い。
昔っから立ち読みは出来なかった性格なのでジャンプも10年以上毎週買っていた。
今もそうだ。立ち読みは苦手である。
しかしその本はページをめくる手を止めさせやしない。
買おうか。
その意思が芽生えることはごく自然のことだ。
しかし、
僕にはあと1/3ほどのページで読み終える小説が今部屋にはあった。
買うのはそれを読み終えてからでも遅くないのでは?いやしかし、ここで出逢ったこの一期一会も大切にするべきではないか?
保身か、縁か、
2人の自分が議会を開いた。
結果、保身が勝った。
負けた縁は放心状態だった。
は?
僕は教訓にする。手に余るほどのものを保持してはいけない。それ以上に素晴らしいものと出逢った時に、手がいっぱいだと掴めなくなるから。
たとえ人に羨ましがられるものだとしても、自分にとって必要のないものであるならば、さっと手を離してしまおう。
手に余るものを消費することにイニシアチブを取られてはいけない。常に今と未来を見てプライオリティを明確にしておくべきだ。
メリデリを鑑みても今このブックを買うべきではない、またバイするタイムはリスケしようとハートをロックしショップを後にDid。あ、した。
そうして帰路に着く。
「ミスドに寄って本屋に寄った」
ただそれだけなのに、
壮大な物語のようだった。
そんな、僕の1日。〜小説ver.〜
本屋で本読んでたら何かこういうモードになった。笑
書き終えるのに2時間もかかったよ。笑
そんな、僕の1日。
p.s
北村健人
9
健人くんそろそろ脚本家になる勉強も始めませんか
先生は菅野臣太朗さんで
面白くて素敵な作品が生まれる予感が‥‥‥
勿論役者も続けながら
けーこ
2020-01-11 11:00:14
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