Making of 風間千景

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僕は、自分に回ってくる役というのは僕にその役の要素が少なからずあるからだと思っていて、

ビショップ、コロンバス、山都、八神巴…

兄弟に特別な想いを持った役が多いのは、きっと僕が3兄弟で更にこれまでに色々あり過ぎた3兄弟だからだと思います。笑


しかし、薄桜鬼SSLで演じさせて頂いた風間千景という役は、正直それを覆されるくらい僕自身全くイメージがなくて、

やはり掴むのに沢山時間がかかったし、途中出口のないトンネルに迷い込んだりもして。

さらにそんな時に限って、関係のないところでいくつかの悔しい出来事と向き合わなきゃいけなかったり。


でもそんな時にこそ心の支えになったのは他でもない、風間千景役でした。



「こんなことで彼はメンタルをやられないだろう」



…この言葉を何度も心の中で唱えました。


誰よりも真っ直ぐで誰よりもピュアでそれが度を超え過ぎているせいで、

誰よりも偏屈な言葉に乗せて発してしまっている…なんて自分では到底思っていないけど、

とにかく決してナルシズムではない、底なしの自信。

相手から発せられる言葉も、自分が発した言葉にリアクションする相手の反応も、全てが風間千景フィルターによってスーパーポジティブに変換される超メンタルの持ち主。

演じる側としては、相手のリアクションを素直な意味で取れないところも、反応速度が常人より遅くて、全ての感情を風間タイムで行き来させなきゃいけなかったところも、

芝居的にもとても挑戦的な役柄でした。



役を掴んでからは心の支えになってくれたけど、1番悩ませられたのも彼自身。


特に台詞のニュアンスにはシビアにならなければいけなかったし、

作品の構成からしてきっと風間千景はお笑い担当。(これを僕が言うのはあまり嫌いだけど)

その点、馬鹿になれればきっともっと単純な笑いを狙えただろうけど、

"茶道の家元"というお家柄、ベースにある育ちの良さ、品の良さは失くしてはいけなかったし、

そこを踏み外すと風間千景ではなくなる。


そのキャラクター性の中で役割を担うには、笑わせる、ではなく意図的に、笑われる。

という方向にしなければいけなくて、

ここが今回本当に難しかったです。




ゲームを初めてやった時に感じた、風間千景は格好いいキャラクターだという第一印象が、その後も僕の中に根強くあって、

終わったいま僕個人としても面白いキャラクターですよね。ってみんなと同じ気持ちでブログを書きたかったのですが、まだ風間千景が抜けなくて、一緒になって彼を笑うことが出来なくて、

千秋楽の翌日からいつものようにブログを書こうと何度も挑戦してみるもなかなか書けなかった理由はこれでした!!

みんなが笑ってくれた思い出を、僕の勝手な思いで濁したくなくて、なかなか上手い着地点が見つかりませんでした。

ごめんなさい!!

キャラクター的にも、多くは語らず取られた印象が全て。例えそれが誤解だったとしてもそれを解くことはせずひたすら己の道を突き進む。

みたいなキャラクターだったから、あの2時間でみんなが思った感想を全てに今回はいつもみたくここに書かない方がいいのかな。なんてことも思ったりしました。

でもやっぱり向き合った分想いが募って、ここに書くことで一旦昇華していく気がします。

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苦しんで苦しんで掴めたからこそ、半端な形では終わらせたくない。

そしてこの千秋楽後のブログはそのキャラクター性を大事にしたブログにしたい。

そんな風にいつも思います。













今回、特に関係者の方々にも有難い意見を沢山頂きまして、

とある舞台制作会社の社長さんの奥様は、普段舞台はあまり観に来ないけど、今回は3回も観に来てくださったそうで、

風間千景がとにかく面白い面白いと言って来てくださったそうです。





原作を知らない方に、このキャラクター及びこの作品の良さが伝わったのであれば、それはとても嬉しいことです。

この作品を舞台化したことによって、普段触れることのない層の方達がこの作品を楽しんで下さったのなら、舞台化する意味はきっとあったのだと僕は思います。

好きな作品が実写化された時には僕も少し難しい気持ちになるけど、どんな作品も役も、精一杯の愛情と誇りを持って、1人でも多くの人に楽しんで頂けるようこれからも臨んでいきたいと思います。




薄桜鬼SSL 

この作品に関わる全ての方に、

少しだけ遅くなりましたが、

ありがとうございました。


そして、風間千景と出逢えたことに心からの感謝を込めて。



風間千景役 北村健人


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