デジタル化の対応を迫られた“一人情シス”の決断は
デジタル化の波はあらゆる産業に押し寄せている。日本が世界に誇るコンテンツを生み出すアニメ産業も例外ではない。紙とペンに代わってPCやタブレットを使った作画、CG/3DCGの活用による演出のデジタル化に加え、ネットメディアでの視聴ニーズが高まり、配信スタイルのデジタル化も進んでいる。デジタル化は表現の幅を広げ、作品の流通先も拡大する。業界内の多くの企業がデジタル化への対応に力を入れ始めている。
1998年に設立したアニメ制作会社のボンズもその1社だ。ハイクオリティな制作力には定評があり、少女漫画系からロボット、SF、ファンタジーなど幅広いジャンルの作品を手掛ける。「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」「交響詩篇エウレカセブン」「僕のヒーローアカデミア」などヒット作も数多い。
デジタル手法の浸透とともに、制作環境のシステムの重要性はより高まっていく。システムが動かなければ、現場の作業は進められないからだ。工程の1つでも作業がストップすると、全体の進行スケジュールに大きな影響を与えてしまう。
デジタルの制作環境において、作業を快適に行える高性能、制作を止めない高信頼性は譲れない条件である。それだけにシステムの運用管理を担う情報システム部門は重責を担う。しかし、デジタル化の流れとは裏腹に、多くのアニメ制作会社は慢性的なIT人材不足だ。ボンズの武井 良幸氏は次のように語る。
「本来の所属は撮影部/作画部ですが、以前から会社の情報システムの運用管理を兼任で担当しています。増員できるとよいのですが、今のところ私一人で全体の運用管理を担っている状況です」
そんな中、ボンズは撮影部の制作環境を拡張し、デジタル化への対応強化を実現した。撮影部は各部署やクリエイターが制作した素材を集めて動画化したり特殊効果などを入れたりする、アニメ制作の最終工程を担う重要部署である。
システムの性能を向上させつつ安定稼働を確保し、なおかつ運用も効率化する。この“難題”を成功させたボンズのアプローチ手法とその効果を紹介する。
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