iDeCoの退職控除と所得控除の魅力と出口のワナ
iDeCoは払い出しに工夫が必要です。なにも知らずに行うと退職金が多くて老後の収入も多い人は控除が使えず、払う税金が増えてしまいます。
いろいろな方法がありますが、税理士さんと相談しつつ、不具合を避ける最適解らしきものにたどり着きましたので、ここでご紹介します。ただ、iDeCoは制度設計上の古さは否めず、いろいろな制限がありますね。
まず、関連してご質問の紹介です。
退職金が多く、老後の収入が多い人のiDeCoの受け取り方
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現在35歳で、2018年からiDeCoを始めました。iDeCoの払い出しや退職金の税制については不勉強だったので調べたのですが、「退職金は受け取る前年以前4年内に他の支払い者から支払われた退職金がある場合は、それらの勤続年数の重複期間を含めずに退職所得控除を計算する」というルール があり5年たてば再度、退職控除が受けられるとの認識で間違いはないでしょうか。
例)60歳で確定拠出年金を、65歳で退職金を受け取ると両方控除が受け取れる。
しかし逆に65歳で退職金、70歳で確定拠出年金を受け取るのは「確定拠出年金の資金に限り、前年以前14年内に受けた退職金があれば、退職所得控除の重複分は差し引く」というルールがあり、控除がとれない部分があるとのことでしたのですが、合っていますでしょうか。
退職控除を重複して受けるには順番が大事
ご認識に間違いないですね。質問者さんのおっしゃる通り、確定拠出年金の資金に「限り」退職控除を重複して受ける事ができるということです。
例えば、65歳定年の企業ならば、60歳でiDeCoの払い出しをすればよいわけですね。定年が70歳などであれば、多少フレキシブルに払い出し年を指定できますが、65歳定年だと、60歳で固定されてしまいます。5年おかなくてはいけないからです。
- 60歳でiDeCoを払い出す
- 65歳以降で勤め先から退職金を受け取る
これにより、5年がすぎることになり、退職控除を重複させて受け取る事ができるようになります。この順番が逆ではダメです。「確定拠出年金の資金に限り」という但し書きがありますね。これに触れてしまうからです。
つまり、勤め先から退職金を受け取り、その後イデコを受け取ると、この退職控除重複の適用をうけることができません。例えば、50代後半で退職して退職金を勤め先から受け取り、60歳以降でイデコの払い出しを受けると、ダメということです。
まとめておきましょう。
- 先にiDeCoの払い出しを受ける
- その後、5年おいて退職金を受け取る
これで、退職控除が2度ほど活用ができるわけですね。
しかし、この方法だと65歳定年と決まっている職場だと、相場環境が悪くても、60歳で払い出さなくていけないというデメリットがありますね。
iDeCoは60歳以降での受け取りと決まっています。そのため、退職控除の重複をしようと思ったら、65歳以降の退職となります。仮にiDeCoが今後延長され、65歳以上での受け取りとなると、退職は70歳となることになります。
ある意味ではiDeCoにより職場に束縛される流れになるわけですね。所得控除、退職控除は非常にメリットがあります。しかし、人生設計に大きな影響を及ぼしますので、資金拘束も含めて自分がどのような資産運用をしていくのか、考えた上で取り組むのがベストですね。
退職金が少ない場合、あるいは出ない場合は全く悩む必要はありません。
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素直に同年で受け取ろうとすると、退職控除枠を超えてしまい、自分の積立投資をした元本までも課税されるという憂き目に遭うことになります。行政制度は申請主義ですから、正しい知識を得て行動したいですね。
イデコの特別法人税についてです。ある意味では金融資産税のようなもので、これが発動ということになると、かなりメリットは薄くなりますね。いずれにせよ、もろもろに制度設計の古さが感じられる制度ではあります。
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