続いて、各事業部の説明をシュナイダーエレクトリック インダストリー事業部 バイスプレジデントの角田裕也氏、同セキュアパワー事業部 バイスプレジデントの多田直哉氏、同パワーシステム事業部 バイスプレジデントの青柳亮子氏の3者が行った。
インダストリー事業部の施策
まずは、インダストリー事業部の角田氏は製造業が直面する課題に関して「IIoTシステムを構成するエンドポイント数は58億以上、Fortune 1000の企業の94%がサプライチェーンに課題を抱え、CO2排出量の削減、労働人口の不足がある」との認識を示す。
そのうえで同氏は「こうした課題に向けてデータドリブンかつソフトウェアベースのオートメーションが必要になる。製造現場からのデータを簡単に収集・分析できるソフトウェア・サービスやリモート環境を、オープンな形でさまざまなパートナーと提供できるかにかかっている」と述べた。
データドリブンかつソフトウェアベースのサービスを実現していくために、同社ではHMI(プログラマブル表示器)の「Pro-face by Schneider Electric」(Pro-face)を提供しており、今回IoTブランドとしてユーザーのデジタルトランスフォーメーション(DX)活動をサポートするという。今年1月にエッジコンピューティングに適したFA基準の「PS6000」シリーズ、同2月には「ST6000/STM6000」シリーズをそれぞれリリースし、容易にデータの収集を可能としている。
さらに、Ecostruxure Machineで集めたデータの可視化・分析を行うほか、2019年に買収した産業オートメーションのソフトウェアを提供するアヴィバのSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)やBIツールを駆使して、データをいかに簡単に取得・分析し、価値を提供するトータルソリューションの提供を可能としている。
セキュアパワー事業部の戦略
次に、セキュアパワー事業部の多田氏が登壇。はじめに同氏は「データセンター(DC)の定義はエッジまで含めると、より広義になっており、エネルギー効率化とDXの中枢だ。IoTやビッグデータ、AI、制御技術(OT)へのIT活用が進み、データ生成は驚異的なスピードで増加している。DCはクラウド型の超大規模DCから中規模DC、エッジコンピューティングに至るまでハイブリッドアーキテクチャが必要不可欠である」と語る。
DCにおける電力使用量はデータの生成に伴い増大が見込まれ、今後の課題としては将来を損なうことなくビジネス要求に対応し、コスト・スピード・資本の最適化することで投資対効果の増加を図ることが求めらている。また、将来に備えた新しいテクノロジーに対応できる設計や、予期せぬダウンタイムの原因になる脆弱性の低下させる必要があるという。
このような課題に対してはUPS(無停電電源装置)やPDU(Power Distribution Unit)、サーバラックなどDC向けに幅広製品を持つAPCブランド、統合ソリューションの「Ecostruxure for Data Centers」、統合ソフトウェアとデジタルサービスを提供する「Ecostruxure IT」により、解決手段を提供していく。
同氏は「広義となったDCを限られたリソースで運用していくことを踏まえると、各拠点を統合的に監視・管理していくことが必須だ。運用面の課題は高い効率性と可用性の両立となり、多様なデバイスの管理や複数サイト・ドメインからのデータ収集、データを解析して適切なアクションを取れる具体的なアドバイスの提示、データ分析に応じた適切なフィールドサービスの派遣が必要だ」と強調した。
こうした状況を鑑みて、白幡氏も言及したようにEcostruxure ITのサービスである、Ecostruxure IT ExpertとEcostruxure IT Advisor、Ecostruxure Asset Advisorを提供し、ITインフラの監視と管理にメリットを生み出すとしている。
多田氏は「すべてのデータはEcostruxure ITに格納され、利用者はWebブラウザ、スマホアプリでアクセスし、データの参照やプランニング、モデリング、環境分析、オペレーションができる。また、マルチテナントに対応しているため、パートナーは複数の顧客に対してプラットフォームを用いたサービス提供も可能だ。さらに、API連携すれば既存システムへのシステムインテグレーションができる」と説明した。
これにより、DCに提供する価値として、迅速にインフラをデジタル化するとともに、高い運用効率と持続可能性を担保し、可視化とデータ分析にもとづいた可用性を提供するという。
パワーシステム事業部の取り組み
そして、最後にパワーシステム事業部について、青柳氏が説明に立った。2021年度におけるパワーシステム事業部の注力ポイントとしては「マイクログリッドをはじめとしたデジタルグリッド」「グリーン&デジタルな配電機器のSM AirSeT」「洋上風力」に取り組む。
デジタルグリッドは、昨今電力業界においてこれまでの大型発電所→高圧送電→中圧/低圧配電→需要、もしくは化石燃料や再生可能エネルギーによる自家発電という既存のバリューチェーンから電化、デジタル化、脱炭素化、分散化による変革が起きているという。
同氏は「太陽光発電や風力発電などの分散型電源→送電→配電(マイクログリッドコミュニティ)→プロシューマ、もしくはクリーンな発電による自律型マイクログリッドという新しいバリューシチェーンの中で、配電においてマイクログリッドコミュニティが再生可能エネルギーによる発電され、プロシューマー(生産者と消費者が一体化したもの)も自ら発電しながら使うというものに変化してきている。また、再生可能エネルギーは自然の影響を受けるため、従来のように安定した発電が担保されるわけではなく、現状の課題はデジタルソリューションのサポートなしでは解決できないと言っても過言ではない」と指摘する。
マイクログリッドの定義と導入メリットとしては、多様な電力消費(負荷)がある需要家が複数の分散型電源と電力貯蔵システムを持ち、電力系統に連携することができ、自律運転運転することにできる電力系統であるため、環境にやさしく、災害に対するレジリエンスの強化や電力消費の最適化が図れるとしている。
日本では2022年に配電事業制度の施行が見込まれていることから、マイクログリッドへの注目が高まっており、Ecostruxure Microgridの電力消費や生産、貯蔵、販売の際にモニター、予測、最適化を行うクラウドベースのツール「Ecostruxure Microgrid Advisor」、オンサイト施設などでのリアルタイム制御を可能とする「Ecostruxure Microgrid Operation」をはじとした各種サービスの提供で対応していく方針だ。また、NECネッツエスアイとマイクログリッドに関する協業を締結しており、今年に実証を開始し、3年間で国内と東南アジアで30件の受注を目指す。
スイッチギアのSM AirSeTは、温室効果がすであるSF6ガス(1kgのSF6ガスは2万3500kgのCO2に相当)を使用せずに空気絶縁と真空技術により、サステナビリティを実現。日本政府主導のICEF(Innovation for Cool Earth Forum) 2020のトップ10イノベーションに選出されており、他国でも評価を受けている。
洋上風力については、傘下のアヴィバと電力シミュレーションを手がける米etapと共同で建設からオペレーション&メンテナンスまで、すべてのライフサイクルにおいてデジタルソリューションの提供が可能になり、デジタルツインやモバイルによる運用監視などを提供していく。すでに、北海で30以上の洋上風力向けに配電機器とデジタルソリューションを供給している。
最後に青柳氏は「パワーシステム事業部では、電力をはじめとしたエネルギーに携わるお客様にサステナビリティと効率化をIoTや新製品でサポートしていく」と力を込めていた。
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