2戦目は前半カットで途中からです
序盤、悪くない滑り出しで試合を進めていたがフーディンの仕掛けにより状況は一変、形勢はグリーンに傾いていた。
フーディンの使った“トリックルーム”……これはフィールドにかける技で、5ターンのあいだ素早さの上下関係を反転させ、遅いポケモンほど先に行動できるようにする。基本的に速めのポケモンで固めている俺には弱点となる技だ。
さらに“アンコール”により、ウインディに“へんしん”しているメタモンは技を“しんそく”で縛られている。
この状況で出てくると最悪なポケモンは素早さが遅く、積み技があり、“しんそく”が半減以下のポケモン。
「いくぜ、出てこいバンギラス!!」
「まぁそいつだよな」
やはり出てきたのは俺にとって1番ネックになるバンギラス。いわタイプ鈍足をトリルで展開されるという最も俺がやられてはいけないことをグリーンにされてしまった。ナッシーとかなら“トリックルーム”の警戒もしただろうがフーディンでされると思わないから仕方ない。
こっちは“しんそく”で縛られている以上本来は引くしかない。だがこのバンギラスに受けは効かない。……みゅーを諦めるしかない。
幸いといっていいかわからないが縛られた技は“しんそく”だから相手の出方を見てからで回避は間に合う。積み技を使われるならそのターンにアカサビに引いて“バレットパンチ”で倒せるからそれはおそらくされないだろう。
「ストーンエッジ!」
「“しんそく”で避けろ!」
「連続では使えねぇ! バンギラス、追撃しろ!」
「モン~」
「メタモン戦闘不能!」
ごめんなみゅー。メタモンをあっさり失うことになったのは痛いが、1体で清算は済んだ。これで勝ちだ。
「アカサビ!」
「ッサム!」
「バレットパンチ」
「かえん……戻れ! 出てこいウインディ! なんとか耐えてくれ!」
グリーンは思いとどまってウインディへ交代したか。今ステータスを見て概算した感じだとやはりバンギラスのままなら倒せていた。“ステルスロック”と毒がかさんだな。カンだけで正しい判断ができているのはさすがだ。
「ウインディ戦闘不能!」
『ハッサム恐るべし! 苦手なはずのほのおタイプを鎧袖一触! そしてここでトリックルームの効果も切れてしまった!』
「いかくがあってもダメなのか。だが能力が下がったこの瞬間が甘い! 次はお前だ! ねっぷう!」
ピジョット Lv70 @いのちのたま
ほのおタイプは4倍。考えるまでもなく交代だ。ピジョットはでんきタイプで相手する。ピジョットを読んで温存していたイナズマの出番だ。
「1」
「チッ! ならこっちも交代だ!」
イナズマ Lv53 @じしゃく
143-65-70-169-117-211
1.10まんボルト
2.ボルトチェンジ
3.あくび
4.バトンタッチ
5.まもる
6.みがわり
7.でんじは
8.めざめるパワー
9.こうそくいどう
相手も不利な対面を嫌って交代。俺は読みはなしでここは素直に“10まんボルト”を使い、グリーンはそれをドサイドンで受けた。
この場面、“10まんボルト”を読むのはそこまで難しくない。めざ氷なら裏のドサイドンにも一貫するが威力が足りず、ピジョットを倒せない。しかもドサイドンはねむり状態。交換読みはしにくい。
ただ、読めたからといってじめんタイプで受けるのが最善とは限らない。“10まんボルト”が読めていてもここはおとなしくピジョットを捨てておくのが無難だろう。
「……zzz」
「6,4」
無効にして受けたのはいいがもちろんまだ眠っている。“みがわり”と“バトンタッチ”が決まりアカサビが出てきたところでドサイドンが目覚めた。
「ギャオギャーオ」
「よく起きた! ロックブラストでみがわりごとぶっ潰せ!」
「アカサビさんを舐め過ぎだ。1」
飛び上がったアカサビに“バレットパンチ”で横っ面を殴られたドサイドンは地面に叩きつけられ気絶した。“ハードロック”ってのはあくまで弱点を和らげるだけ。弱点は弱点だ。自分のポケモンを過信している。
無効にできるからといってドサイドンに交代したのは悪手。眠ったまま引くに引けなくなりアカサビに繋げられるのが最悪なんだ。ピジョットはおとなしく“おいかぜ”でも使って退場すればよかった。切り捨てるには惜しい戦力だったのはわかるけどな。
「……カメックス、頼む!」
「5」
やっぱりカメックスだな。もうそいつしかアカサビを止められないから当然想定通り。まずは“まもる”で時間稼ぎだ。カメックスは“みずのはどう”を使ってきた。
「チッ……もっかいみずのはどうだ!」
「2」
“まもる”が来ると読めていてもカメックスでは攻撃しか手がないのはわかっている。当然しない理由はない。グリーンはイライラしている。いい兆候。
次は“みがわり”を盾にして“とんぼがえり”を当てながら控えと交代する。後攻とんぼを活かしてユーレイを召喚。ダメージよりもユーレイ召喚が重要だ。
「ゲェーンガ」
「さぁ、どうくる?」
ゲンガーは体を少し地中に潜めている。攻撃と回避どちらにも対応できる状態。それに……地面についていれば音に反応しやすくなる。
「戻れ!」
「ならこっちも」
「……と見せかけてアクアジェット!」
トントンッ
「ガァー」
「ガメッ!?」
ユーレイの影が伸びてカメックスにまとわりついた。一夜漬けにしては上出来だな。
「両者戦闘不能!」
『これはゲンガーの“みちづれ”か?! まるで四天王キクコのような見事な技運び!! カメックスとゲンガーダブルノックアウト!!』
「バカな!? こっちは先制技なのに先に“みちづれ”をきめられたのか!? しょ、初見殺しじゃねーか!」
だから何だっていうの? そういうこと言う奴は注意が足りてないだけ。俺は見てなくてもキクコに先制技使ってアカサビ爆死なんてことはしなかったし、勝つべくして勝つトレーナーは引っかからないんだよ。……口には出さないけど。
「イヤになるだろ? キクコには散々苦しめられたがいい勉強になったよ」
「四天王の特技を盗んだのか。この短期間で……」
本来先制技で倒せる相手も一々“ちょうはつ”してからでないと倒せなかったから本当に厄介だった。しかもバグが発生してるのか知らないがはがねタイプにゴーストタイプが半減じゃなくなっているようだし。さすがにゴーストタイプ強過ぎない?
「さぁ、仕切り直しだな。それとも降参?」
相手は残りがピジョットとバンギラスのみ。こっちはアカサビ、イナズマ、グレンの3体。そして数の差以上にグリーンは消耗が厳しい。全てアカサビの圏内にある。すでに勝負あった。
「冗談言うな! トレーナーがポケモンより先に諦めるわけにはいかねぇだろ! バンギラス!」
「アカサビ、ケリをつけろ!」
「まもる!」
なるほどね。“いのちのたま”が弱点と見たのか。反動ダメージはガードされようが避けられようが発動する。だが先制技はそうそう避けられないし、“まもる”を連続で使うことも……
「まもるを続けろ! 成功すると思いこめ! そしてきめろ!」
「げっ、こいつ……平気で犯罪行為をっ!」
2連続“まもる”……おいおい急にマズイことになってきたぞ?
「7」
「戻れ!」
「ジョットー!」
グリーン、ここで交代か。勝ち筋を拾いに来たな。ピジョットとアカサビが相打ちもしくはその後の“まもる”で戦闘不能になりバンギラスが残れば俺はイナズマとグレンではほぼ勝てない。この状況で最も勝つ可能性の高い選択だ。
ファサッ……
「回復技!?」
『ハッサム、ここで“はねやすめ”を使い擦り減った体力を回復した!』
「いのちのたまを使うからって回復技を使わないとは限らないだろう? 今かえんほうしゃでもくらったらヤバかったよ」
「ふぅーーっ。やっぱりあんたと読み比べするのは分が悪いな」
重々しく息を吐くグリーン。もちろんここで“かえんほうしゃ”を選ぶのは難しかっただろう。アカサビがあと何回攻撃できるかグリーンにはわからない。“まもる”の直後は攻撃されやすいし、それをわかっていたからこそ交代したはずだ。
だがはっきり勝てる道筋があったと見せつけられるとショックを受けてしまうもの。だからわざわざ教えてあげた。俺って親切だな。グリーンはまだ戦えるかどうか……。
「バレットパンチ」
「耐えろ! 耐えてねっぷう!」
アホめ。ピジョットは何回“ステルスロック”を受けた? フィールド補正がついてんだ、残り半分の体力では耐えねぇよ。折れずに最後まで戦い抜く姿勢は評価するけど、最後の一手がただ祈るだけとはね。ちょっとがっかりだな。
「ジョォォーーッ!!」
「ハッ……ッサム!?」
「えっ……耐えた!?」
「キタッ!! オレは信じてたぜ! そいつは今動けねぇ! ねっぷうぶち当てろ!」
おい!? どう計算しても確1なんだが!? んん??
「ハッサム戦闘不能!」
「きたっ! キタキタキタキターーッッ!! レイン、あんたの悪運もここまでだな!」
『ハッサム倒れた! いよいよこれでお互い2匹を残すのみ! さぁこれでどっちが勝ってもおかしくありません!』
そういやこいつはサカキを倒したんだったな。その時も乱数が上手く噛み合ったのかもしれない。こういうことが起きてしまいそうだから怖いんだよな。
ただ、四天王と違い俺はこの事態をあらかじめ予測できた。念には念を……グリーン対策は万全を期して臨んでいる。
「アカサビご苦労さん」
「さぁレインよぉ、あんたも年貢の納め時だな? サンダースとウインディじゃどうやったってピジョットとバンギラスは倒せねぇよ。観念しやがれ!」
そう、俺にとってバンギラスはかなりネックになる。特殊技はほぼ効かない。グレンは“インファイト”がないから弱点をつけず物理技も半減され有効打なし。さすがに“インファイト”がないのはマズかったか。トーナメント期間中では覚える時間がなかった。グリーンにはやっぱりバレてるし。
「トレーナーってのは諦めたらダメなんだろ? なら最後までやってやるさ。イナズマ!」
「おもしれぇ。6体倒して参ったさせてやる! さわぐ!」
「催眠対策か。2」
イナズマはもう残りHPは少ないが何か起きて“あくび”でも受けようもんなら最悪だからな。まさに今の逆になる。それを避けたのだろう。どのみちピジョットは反動で倒れるし。あるいは死に出しでバンギラスを出すことも織り込み済みか。
「ピジョット戦闘不能!」
“ボルトチェンジ”が先に決まりピジョットが倒れ、イナズマは帰ってくる。
さて、最後の大仕事は任せたぜ。出てきな、マスターズリーグ最強のポケモン。
「ヴゥゥ……」
ウインディ Lv80 @パワフルハーブ
“いかく”はもちろん不発。だがその矛先はトレーナーの方へ向いたようだ。珍しく低い唸り声を出している。
「見間違いか……!?」
「張り切り過ぎて、つい奮発しちゃったんだよな。だいぶ減ったよ」
「わけのわからねぇことを! とんでもねぇ誤算だが、レベルだけで勝負が決まるわけじゃねぇ。それは他ならぬあんたが証明してる! その上相性は圧倒的に有利! 負けるわけねぇ! いけバンギラス、ストーンエッジ!」
空元気だな。グリーンは今グレンを恐れた。最も威力の高い技で攻めるのは基本だが、状況が頭に入っているかは怪しいな。鈍足の上命中難とくれば回避は難しくない。グリーンが痺れを切らすまで待つ。
「じっくり見てとにかく躱せ」
「なんとか隙を見つけて当てろ! とにかくストーンエッジ!」
「グレン、相手は遅い。お前なら余裕で躱せる」
これだと勝負がつかない?……いいや、条件は対等ではない。相手はどく状態……悠長なことはできない。
グリーンが平常心なら最初の攻防ですぐ方針を改めただろうが、今のグリーンはレベルに恐れるあまり勝ち急いでしまっている。この試合初めて隙らしい隙を見せた。
「くっ……ならじしん!」
「まもる!」
「ならここだ! ストーンエッジ!」
「戻れ!」
毒ダメージに気づいてようやく攻めを変えてきたが甘い。こっちはイナズマが残っている。“まもる”後の隙を狙ってもまだ時間はかかる。
「サンダース戦闘不能」
「ダァァ……」
「あとでけづくろいするから許してくれ。さ、グレン、仕上げだ」
「ヴォウ!!」
“すなあらし”は時間経過により収まった。“いかく”もある。毒ダメージも十分過ぎるほど入っている。今度こそ終わりだ。何もできないからといって安易にピジョットを切り捨てたのは甘かったな。
「ストーンエッジ!」
「ソーラービーム!」
「ソーラービーム!? しまった、パワフルハーブか!」
道具は懐に隠してあるから気づかないのは無理ないし、予測も難しいだろう。“ソーラービーム”は対みずタイプ・いわタイプのための切り札。互いの技が交差し、各々にぶつかる。今回はダブルノックアウトじゃない。
「バンギラス戦闘不能! 勝者レイン!」
『決着ゥゥ!!』
完璧。今回は危なげなく勝てた。
「ガウガーッ!」
「おっとっと。ありがとさん」
勝利と同時にグレンが“しんそく”でこっちにきた。レベルが上がってもかわいいまんまだな。感謝を込めて頭を撫でてあげた。
まずは1勝。残すは決勝のみ。やっとここまで来たか。あっという間だったようにも思えるが、長かったような気もする。
「レインッ!」
「ん? どうした緑」
こっちまで走ってきて、息乱れてるぞ? どうかしたのか?
「ありえねーだろ!? どんな天変地異がありゃ1日でレベルを20や30も上げられるんだよ?! しかも10や20から上げるんじゃなくて50台からだぞ? わけぐらい教えやがれ!!」
なんだ反省会か? もう次を見据えて……いや、悔しいだけだろうな。
「企業秘密だってさっき言っただろ? 別に俺はトーナメントの最初からレベル80にもできたんだけどな。でもいきなり上げた方がびっくりするだろ?」
「ったく最後まで本気かどうかわかんねぇようなこと言いやがって! くっそーっ! ピジョットでハッサム倒して勝ったと思ったのによ! なんで後から出てくるのがレベル80もあるんだよ!」
切り札っていうのはギリギリまでとっておくもんだからな。
「お前だってバンギラスなんか隠し持ってたじゃないか。レベル68なんて新たにどうやって育てた?」
「あいつは7のしまのぬしだ。元々レベルが60以上だった。じゃあソーラービームはなんなんだ? あんなの元々覚えてねーだろ! 新しく覚える時間なんてなかったはずだ。どうしていきなり……」
「わざマシンってご存知ない?」
練習不要、一瞬で覚えて即戦力。“パワフルハーブ”と合わせて上手く不意をつけたな。
「あっ、その手があったか! じゃあやっぱオレ対策ってことか。くっ……いや、ここまであんたにさせたこと自体進歩ではあるか。なぁ、これで最後だが、あんたまだ奥の手はあんのかよ? もうウソつく必要はねーよな?」
そうだな。ウソつき認定は心外だし、グリーンには敬意を込めてちゃんと答えてやろう。
「あと少しレベルを上げる余地はあるにはあるが、もうこの大会で上げるつもりはない。今の俺が掛け値なしの全力だ。四天王と違って、お前には油断できないからな。実際出し惜しみしていれば負けていたわけだし」
「……へへ。あんたとの勝負、なんだかんだ悪くなかったぜ。一応言っとくが勝ち逃げはなしだ。わかってるよな?」
「そうか。俺も楽しかったよ、ありがとう。……いい思い出になった」
「え? 今なんて……」
グリーンに返事はせず背を向けて立ち去った。
◆
『一進一退の攻防が続くブルー選手とレッド選手! 互いに残りは3匹、先手を取るのはどちらだ?』
「ばちばちアクセル!」
「ソォォォナンッ!?」
「ソーナンス戦闘不能!」
“みちづれ”が間に合わない! どうやら先制技みたいね。せっかく“かげふみ”で捕まえたのに……。
レッドのやつ、リーグの頃と比べて見違えるほど強くなった。先制技なのに確定きゅうしょなんて聞いたことない。とんでもない技編み出してくれたわね。
「頼んだわよ!」
「バナァァーッ」
「ボルテッカー!」
「引きつけてギガドレイン!」
あのピカチュウの恐ろしい火力が仇になったわね。“しんりょく”圏内に入った。ピカチュウは持ち物が“でんきだま”だから“きあいのタスキ”とかはないし1発で倒せる。
「ピカチュウ戦闘不能!」
「よっし! レッド、あんたらしくもない無謀な攻めね。いくら強いからってむちゃし過ぎよ」
「……」
『レッド選手無言でリザードンを繰り出した! すでに体力は残り僅かです!』
あのリザードンの特殊火力は舐めない方がいい。控えにあとラーちゃんがいるけど受けだしは危険。ラーちゃんは万全の状態でリザードンと勝負したい。
「ヘドロばくだん!」
「……ブラストバーン!」
え!? そんな無茶よ!? 本気で言ってるの?! こっちの攻撃ごと飲み込んで倒された!
「フシギバナ戦闘不能!」
「……ラーちゃん! れいとうビーム!」
「リザードン戦闘不能!」
反動で動けないリザードンをあっさり倒せた。なんなの? なにかヘンだわ。
「あんたなに企んでるのよ?」
「交換する必要がない。むしろ交換して隙を作る方が負ける可能性が高まる」
わからないわね。いつにも増してレッドの発言は謎に包まれてる。でも勝つためにしていることだけは間違いない。
「あんたはピカチュウとリザードンが切り札でしょ? その2体を差し置いてそれより強いポケモンがいるとでも言うの?」
「ブルーかグリーンと戦うまで温存していた。とっておきってやつだ」
レッドが笑ってる。本当にまだ何かいるの? 今までそんなのいなかったはず。少なくともレベルは大したことないに決まってる。新たにポケモンを用意して、あの2体を超えるような強さまで育てるヒマは絶対にない。
(ブルー、私がついてます。負けませんよ)
(ラーちゃんありがと。わかってるわよ)
わたしは最強のポケモンが残っているんだ。しかも体力満タン。ラーちゃんには全幅の信頼を置いている。負けることはありえない!
「……」
レッドがゆっくりとボールを投げる。ドキドキして思わず呼吸が荒くなり、放物線を描くボールがひどくスローモーションに見える。そこから出てきたポケモンは……
「ミュゥゥーーッ」
「……ポケモン屋敷の銅像!?」
「伝説のポケモン……ミュウツーだ」
『なんだあれは!? 見たことのないポケモンです!! 離れた場所にいても凄まじいプレッシャーを感じます!』
あれがミュウをオリジナルにして造り出されたっていう最強の遺伝子ポケモン……でもみゅーちゃんほど強くはないはず!
「れいとうビーム!」
「ラァーッ!」
素早く強烈な一撃。しかしミュウツーは一瞬で移動して回避し、いきなりラーちゃんの真横まで来ていた。テレポートか! 驚く間もなくレッドは非情に攻撃指示を下す。
「サイコブレイク」
「ラァァ?!」
吹き飛んだラーちゃんは一撃で致命傷を負った。技の威力がみゅーちゃんの比じゃない! 特防なら絶対的な数値のラーちゃんをここまで……化け物過ぎる。
「ハイドロポンプ!」
「ねんりき」
現時点で出せる最大火力の攻撃。それを超能力で捻じ曲げて何事もなかったかのようにいなされた。攻撃力比べでは勝てない……だったらっ!
「ぜったいれいど!」
ピキピキピキ……
「当たった!?」
勝った! これでシショーをわたしが……。
バキバキ、パキンッ!!
「ミュゥゥーーッ」
「出てきた!?」
「ララァッ!?」
「伝説のポケモンにレベルが格下のポケモンの一撃必殺は通用しない」
「うそ……」
それじゃどうしようもない。これじゃあの時と同じ。みゅーちゃんに成す術もなく倒されたあの時と……
「ラッ!!」
「サイコブレイク!」
「……ラァァッ」
ラーちゃんは独断で“れいとうビーム”を放つもののあっさりとそれ以上の攻撃で反撃されダメージを受けた。体はもう限界のはず。でもラーちゃんは倒れなかった。震える体に鞭打って必死に耐えていた。
「ラーちゃん!」
「次でトドメだ。サイコ……」
「待って! 降参よ! もうラーちゃんは戦えない!」
「ラーーッ!!」
ラーちゃんは鳴き声で反対した。でもこれ以上はできない。絶対に負けたくなかったけど、それでもわかってる。これは負け勝負。ギアナの時のような光景を繰り返すわけにはいかない。
「いいの……戻って」
「ブルー選手の降参により、勝者レッド!」
負けた……完全に負けた。本当にあっけなかった。ここまでなんとか勝って来たのに、なんとか勝ち続けて、ようやくあと1歩、すぐそこまで見えていたのに、わたしからシショーが遠のいていく。こんなやつ相手に勝てっこない。こんな幕切れなんてあんまり過ぎる。
何もかも終わってしまった。もう取り返しがつかない。絶対に負けちゃいけなかったのに、なんで……どうして……
めのまえがまっくらになった……
ミュウツー……カントー編としては出さないわけにはいかないですよね
殿堂入り前にフライングの上レッドが使うのは暴挙という説はあります
ある程度、育成・戦術・技構成というような基礎が完成されてきた時、次にどこで相手と差別化するか
1つはレベルであり、もう1つは種族値ですね
そういうことです
“ぜったいれいど”については仕様変更で、「ぜんぜんきいてない!」は伝説だけとしました
理由は伝説ポケモンに箔をつけたかったから……
はい、うそです
ホントはラーちゃんが零度でカメックスを倒しちゃったからです
レベルは明記してませんがカメックスが上という体で書いてました
バグです
グリーンとレッドはどうやってレベル上げたか一応書いておきます
グリーンはバンギラス大量発生で2章のようにがっつりレベル上げ
レッドはミュウツーから大量のアメをかっぱらってレベル上げ
これなら破格のレベルアップにも納得ですよね
あと今更ですが仕様の統一に関して、流星群とかの威力は昔のままですとか言ってた時期もありますが、最近は130とかで合わせてます
といっても、そもそもダメ計をするときはツールに入力が面倒なので電卓で手計算なんですよね
なので概算で一致流星200×特攻……みたいな扱いなのでそんなに支障はないという感じでした
レインは乱数の誤差と思ってる感じでセーフ?
レアコイル麻痺させた件とかは修正しにくいので悩み中です
可能な範囲で最新に合わせて、無理なところは目を瞑る感じにして貰えるとありがたいです