厚木市内の住宅で昨年2月、当時7歳の長女と5歳の次男を殺害、11歳だった長男を殺害しようとしたとして、殺人と殺人未遂の罪に問われた母親の被告(40)=同市=の裁判員裁判で、横浜地裁小田原支部(安藤祥一郎裁判長)は15日、「突発的でなく確固たる殺意に基づく残酷な犯行」として懲役9年(求刑10年)の判決を言い渡した。
判決理由で安藤裁判長は、被告はうつ病で心神耗弱状態にあり、意思決定で著しい影響を受けていたとしながらも「自己による判断で行った」と指摘。子どもを守りたかったとする動機については「被害者らにとっては理不尽かつ身勝手で、くむにも限度がある」と非難した。
一方、「被告は自首し、反省と悔悟の情を示している」などとし、「くむことのできる事情はある」と述べた。
判決言い渡し後、安藤裁判長は「(長女と次男の)冥福を祈り、(長男の)健やかな成長を願ってほしい」と説諭した。被告は13日の最終意見陳述で「今は混乱しており、償い方が分からない。アドバイスを頂けたらありがたい」と話していた。
判決によると、被告は昨年2月13日、厚木市の自宅で寝ていた長女と次男の首をベルトで締めるなどして殺害。長男の首を絞めるなどしたが、「死にたくない」と言われ、殺害しなかった。
2021年 4月 27日 (火)