STだけじゃない! まだまだある基準や法令:おもちゃの設計とプラスチック(7)
(執筆:おりも みか/製造業ライター)
ST基準だけじゃありません
日本で発売されるおもちゃの安全基準として、日本玩具協会が定めるST基準があることは、第2回の記事でお話しました。ですがプラスチック製おもちゃの発売に関わる基準はSTだけではありません。まず代表的なものとして挙げられるのは、食品衛生法です。
食品衛生法では、乳幼児が口にする可能性のあるおもちゃに重金属やヒ素などの有害物質が含まれていることを禁じています。これはすでにST基準に含まれている内容ではありますが、こちらは法令ですのでST基準を取得しない場合にも順守しなければなりません。
スーパーマーケットやコンビニのお菓子売り場で発売されている、ラムネやガム等のお菓子と一緒に販売されているおもちゃは、おもちゃ業界ではキャンディトイと呼んでいます。このキャンディトイは、販売分類上「おもちゃ」ではなく「食品」扱いとなります。そのため、こちらも食品衛生法の適応対象となります。実際の梱包工場では、作業員は白衣を着用したり賞味期限を管理したり、など一般的なおもちゃにはない配慮が必要となります。
おもちゃの中には、実際に食べることのできるお菓子などをつくることのできるクッキングトイというカテゴリーもあります。クッキングトイに必要なのは、食品衛生法の中でも器具及び容器包装規格です。これは上記と同様、材料に有害物質が含まれていないことに加え、耐熱温度や、アルコール・酢酸などの使用によって有害物質が溶出しないなどの試験が必要になります。
その他、ラジコンなどの無線や電波を使用するものは電波法など、おもちゃの種類によって関わってくる法令が異なります。
海外で必要な基準
少子化の現在、おもちゃの販路は国内に限りません。海外販売を視野に入れたとき、海外の基準を知っておく必要もあります。
まず代表的なものとしては、ヨーロッパ諸国向けのEN71・EN62115です。ST基準では矛盾が出ないよう改訂されていますが、改訂のタイミングによっては基準が異なっていたり、新たな基準が追加されていることもあるので注意が必要です。
アメリカでは大規模な製品リコールなどが続いたため、CPSIA(消費者製品安全改善法)が制定されました。アメリカは法令が制定されたのが比較的最近のため、販売する州や販売会社などによっても用いている基準が異なる可能性があります。
中国でもCCC(中国製品強制安全認証制度)が必要となるなど、アジアでも各国で対応が異なっています。これらの基準や認証制度は輸入・販売の際に必要となってくるため、販売代理店との情報共有を緊密に行う必要があります。
どのような法令がかかわるのか、確認しよう
これらの法令に関わる基準は、外部検査場での試験が必要になります。必要サンプル数や検査日程が異なるため、開発スケジュール作成の際に考慮しておく必要があります。どのような法令がかかわってくるのか、どのような試験・認証が必要なのか、予め試験場の担当者に確認しておくことが大切です。
(次回へ続く)
参考Webページ:STC( https://www.stc.group/jp )
おりも みか 新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。
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