おもちゃのトレンドは、「脱・プラスチック」!? :おもちゃの設計とプラスチック(6)

この記事では…
プラスチック製おもちゃの開発についての連載。今回はおもちゃのトレンドと異素材との混合材についてのお話です。

(執筆:おりも みか/製造業ライター)

おもちゃのトレンドのつかみ方


おもちゃは流行の移り変わりが早い業界でもあります。キャラクターはもちろんのこと、どんどん新しい素材やトピックが出てくるため、常に「新しさ」が求められています。

2020年はコロナの影響で中止となってしまいましたが、毎年6月頃に開催される「東京おもちゃショー」では「日本おもちゃ大賞」(おもちゃ大賞)が発表されます。おもちゃ大賞にはさまざまな部門があり、新しい価値観を生み出した商品に贈られる「イノベイティブ・トイ部門」もあります。

またクリスマス商戦の前の時期には日本玩具協会によって「今年のクリスマスおもちゃのトレンド記者発表会」も開かれ、最新玩具がお披露目されます。

2月にはドイツのバイエルン州ニュルンベルクで世界最大のトイフェアでもある「ニュルンベルク国際玩具見本市」が開催されます。いまや、日本のおもちゃ屋さんでも海外製のおもちゃを見つけることは難しくありません。海外で開発された新素材のおもちゃを日本のメーカーが追随して発売し、ブームになることも珍しくありません。

そんな中で、1つのカテゴリーとして存在し、定期的に話題に上るものに「プラスチックと異素材の混合材料」があります。

異素材との混合材料とは


おもちゃや雑貨の材料として、プラスチック100%ではなく有機物を混合したものは、今や100円ショップでも見かけるほどメジャーになっています。原料はトウモロコシ、サトウキビ、木や竹といったものから、変わったところではお米などもあります。これらは生分解性のあるバイオプラスチックとは異なり、基本的にはPPなどのプラスチックと混合して用いられます。

これらの混合材料が用いられる理由としては、植物を原料とすることで二酸化炭素を発生させないカーボンニュートラルの考え方から「エコロジー」であるというイメージがあるためでしょう。

実際に二酸化炭素が発生しているかどうかについては意見が分かれるところではありますが、あくまで消費者のイメージとして「エコ」で「エシカル」(※)であるというイメージから、特に環境意識の高いヨーロッパをはじめとしてトレンドになっています。

※編集部注:エシカル(ethical)は、「倫理上」「道徳上」という意味の形容詞であり、最近は環境配慮製品などの話題の中でよく使われる。一般社団法人エシカル協会は「エシカル消費」として「地域の活性化や雇用なども含む、人や地球環境、社会に配慮した消費やサービス」と定義する。

混合材料の問題点


これらの混合材料が、多少なりプラスチックを含んでいる理由としては、強度不足があります。原料が自然のものであるため、原料のブレが大きく、強度や色などにばらつきが出やすいのです。

おもちゃは安全性が第一ですので、いくらエコロジーであったとしても、壊れやすい材料でおもちゃを作ることはできません。通常のプラスチック100%より強度が低いことを見越して設計する必要があります。

また成形性が悪くて、条件出しも難しいため、それに合わせた射出成形の技術が必要です。色のばらつきだけでなく、もともとの色が白でないことも多いため、おもちゃに求めるビビットな色合いを出すことが難しいこともあります。また成形品表面の肌がなめらかでなかったり、白もやがかかってしまったりすることもあり、試行錯誤しながらの開発には時間もかかります。

またこういった自然の素材は、原料の入手先に苦労することもあります。安定的に材料が入手できなくては、せっかく苦労して開発しても発売するほど材料の供給を受けることができないなどという問題も起こり得ます。

例えば、お米を原料としたプラスチックを成形する際はお米を炊いた時のようなにおいがしますし、木のプラスチックは木が焦げたようなにおいがします。製品をちょっとかぐだけではあまり問題にならないこのにおいも、1日中工場で成形していると、作業者の気分が悪くなってしまうということもあります。さらに、このにおいのために虫が寄ってきやすくなるなど通常のプラスチックを成形するのとは異なった難しさがあるのです。

「環境にやさしい」を強みに


「環境にやさしい」ことは、これからの社会では確実に強みになっていきます。プラスチックが目の敵のようにされてしまうのは、正直複雑な気持ちになりますが、環境負荷を減らすために何ができるのか、どうアピールしていくのかは課題であり、またチャンスでもあるのです。

次回へ続く)

プロフィール

おりも みか  新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。

Twitter ID;@jilljean0506

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PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。