二度目の慰み
第三話です
気力が続く限りがんばります
「何だよ・・・、何だって言うんだ・・・っ!」
冬哉は知らない間に泣きじゃくっていた。
(意味が分からない・・・!何で俺はあの女の人を助けただけで、こんな目に・・・?
それにそもそも、一ヶ月間も植物状態だったのに、理由が分からないだって?
そんなことがある訳が無い・・・!)
しかし、いくら考えようとも、冬哉の頭には解決法など浮かびはしなかった。
(こんな理解の出来ない理由で俺は・・・また・・・)
その時だった。
病室のドアが、またもや誰かに開かれた。
「冬哉・・・!」
紛れも無く、自分の父親竜一の声だった。
「よかった・・・!意識が戻って・・・!」
「・・・父さん・・・」
「冬哉、今の体調はどうなんだ!?どこか、変だったり・・・」
「止めて、父さん・・・。今は、放っておいてほしいんだ。」
「・・・冬哉・・・。」
それから竜一は、しばらく黙って病室のいすに座っていた。どうやら今の一言で、冬哉の悩みを察したようだった。
「・・・センター入試・・・、残念だったな。」
「・・・。」
「今は落ち込んでいるだろう。仕方が無い。でも、何をそんなにくよくよする必要があるんだ。
大丈夫だ。また、来年があるじゃないか。」
「・・・。」
冬哉にとって、この言葉を聞くのは、もう二度目だ。
そして、この二度目の父親からの慰めは、もはや冬哉にとって自分を痛めつけるものでしかなかった。
「父さん、もう、帰ってくれ。」
「・・・っ。」
「今は一人にしてくれって、さっきも言っただろ?
今はもう、何も考えたくない・・・。」
「・・・でも冬哉・・・。」
「帰ってくれ!!!」
「・・・。そうか、分かったよ。」
そういうと、竜一は病室のいすからゆっくりと立ち上がった。
そして彼は病室から出るとき、最後に一言声をかけた。
「・・・お前が眠っている途中。お前の友達の坂石君が、毎日のようにお見舞いに来ていたんだ。
少し、連絡を入れてやれ。」
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(坂石・・・?)
冬哉は困惑していた。
坂石は、高校時代の親友だった。今は家業を継ぐため、実家で修行をしているはずだ。しかも、坂石とはもう高校卒業後丸々2年間、話すことも無かった。
(来てくれていたというのは本当にうれしいが・・・。
なぜ僕が倒れたということを、知っていたんだ・・・?)
「・・・プルルルルル」
「・・・?」
ベッドの横のテーブルで、携帯電話が鳴っていた。
(誰からだ・・・?)
番号を見ても、電話帳に登録されていない番号だった。
「・・・もしもし。」
「おお冬哉、死んでなかったか!俺だよ、坂石だよ!!」