▼行間 ▼メニューバー
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
石碑 作者:ナポレ
2/3

病室

第二話です。

ファンタジー物なのに全然ファンタジーに持っていけない・・・(´・ω・`)


気が付くと、冬哉は病室のベッドの上にいた。


「・・・ここは・・・?」


すると、病室のドアが誰かによって開かれた。


「失礼しま~す。さぁて、今日も回診始めますよ・・・っと。」


入ってきたのは、まだ若々しいナースだった


「・・・あの・・・」


「はぁい・・・ってえぇ!?」


「・・・何を驚いているんですか?」


「せっ、先生!!先生!!大和田さんが!!意識を!!!」


何が起こっているのかさっぱりわからなかった。


(一体何が起こったんだ・・・!?僕は、あの女の人を助けて、それから・・・?)


しばらくして、40半ばほどの男性が、息を切らしながら病室に入ってきた。


「きっ、君!!意識は!?」


「いえ、普通ですけど・・・」


「信じられん!!これは驚いた・・・!おい、何をぼさっとしとる、多田君!さっさと家族に連絡をしたまえ!」


「あっ、ええ、分かりました!」


ナースはあわただしい様子で、またもや病室を駆け出していった。


「・・・あの、すいません。僕、全く状況が掴めないんですけど・・・」


「おお、すまなかったすまなかった。大和田君・・・、と言ったね?

君は、約一ヶ月間、植物状態になっていたんだ。」


「・・・えっ?」


「君は、推名さんという女性と共に倒れているところを発見され、この病院に救急搬送されたんだ。

しかし、君にも椎名さんにも何等外傷は無い。君達が今まで寝ていた理由も、分かっていない。」


「いや、ちょっと待って下さい。今、一ヶ月って言いましたか・・・?」


「ああ、言ったが・・・。何かがあるのか?」


「・・・」


「・・・お、おい。どうしたんだね。」


冬哉の中で、何かが崩壊した。

あの日、試験までの残り日数は一週間だった。そして今、その日から一ヶ月もの月日が過ぎている。

冬哉は、またしても目標を達成できなかったのだ。


「・・・嘘ですよね?

大体、一ヶ月も植物人間だった人が、突然復活するなんて話・・・。聞いたことがありません。」


「それが、本当なんだ・・・。意識が戻ったのは、本当に幸運なことなんだよ。」


そんなことが。


そんなことがあってたまるものか。


「ふざけるなぁッ!!」

冬哉は、思い切り、ベッドから起き上がろうとした。

しかしその瞬間、冬哉の野頭に強い痛みが走り、起き上がることはできなかった。


「ダメだ!!大和田君!まだ安静にしていたまえ!!」


「僕の・・・一年間が・・・!努力が・・・!」


「落ち着きなさい、大和田君。貴方、そんなに暴れていては、家族の方に申し訳が立たないわよ。」

見ると、騒ぎを聞きつけた何人かのナースが、そこに立っていた。


「貴方、どれだけ貴方のことを、皆が心配してくれていたのか、知らないの?

妹さんは、学校帰りに毎日お見舞いに通っていたし、お父さんも高い入院代を必死に稼いでいたのよ。

貴方のお友達だってお見舞いに来ていたし・・・。

気持ちは分かるけど、それでは皆悲しんでしまうわよ。」


「うるさい!貴方に僕の、何が分かるって・・・!」


「大和田君!!」


病棟全体に響き分かるほどの声で、ナースは怒鳴った。


「貴方、一緒にいた椎名さんは知っているわね。椎名さんはここに搬送された直後・・・お亡くなりになったのよ。」


「えっ・・・?」


「貴方もそうなってもおかしくなかったの。それが、貴方は生き残って意識も回復したのよ。

貴方は、恵まれているの!!」


「こ、こら!太田君!そんな言い方をするんじゃない!!」


「・・・、すみません、興奮してしまいました。」


「・・・大和田君、君が動揺するのも当たり前だ。しばらく一人になって、物事を整理したほうがいい。

君達、一度出て行こう。」


そう言うと先生達は、病室を去っていった。


  • ブックマークに追加
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

― 感想を書く ―

1項目の入力から送信できます。
感想を書く際の禁止事項をご確認ください。

※誤字脱字の報告は誤字報告機能をご利用ください。
誤字報告機能は、本文、または後書き下にございます。
詳しくはマニュアルをご確認ください。

名前:


▼良い点
▼気になる点
▼一言
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。