病室
第二話です。
ファンタジー物なのに全然ファンタジーに持っていけない・・・(´・ω・`)
気が付くと、冬哉は病室のベッドの上にいた。
「・・・ここは・・・?」
すると、病室のドアが誰かによって開かれた。
「失礼しま~す。さぁて、今日も回診始めますよ・・・っと。」
入ってきたのは、まだ若々しいナースだった
「・・・あの・・・」
「はぁい・・・ってえぇ!?」
「・・・何を驚いているんですか?」
「せっ、先生!!先生!!大和田さんが!!意識を!!!」
何が起こっているのかさっぱりわからなかった。
(一体何が起こったんだ・・・!?僕は、あの女の人を助けて、それから・・・?)
しばらくして、40半ばほどの男性が、息を切らしながら病室に入ってきた。
「きっ、君!!意識は!?」
「いえ、普通ですけど・・・」
「信じられん!!これは驚いた・・・!おい、何をぼさっとしとる、多田君!さっさと家族に連絡をしたまえ!」
「あっ、ええ、分かりました!」
ナースはあわただしい様子で、またもや病室を駆け出していった。
「・・・あの、すいません。僕、全く状況が掴めないんですけど・・・」
「おお、すまなかったすまなかった。大和田君・・・、と言ったね?
君は、約一ヶ月間、植物状態になっていたんだ。」
「・・・えっ?」
「君は、推名さんという女性と共に倒れているところを発見され、この病院に救急搬送されたんだ。
しかし、君にも椎名さんにも何等外傷は無い。君達が今まで寝ていた理由も、分かっていない。」
「いや、ちょっと待って下さい。今、一ヶ月って言いましたか・・・?」
「ああ、言ったが・・・。何かがあるのか?」
「・・・」
「・・・お、おい。どうしたんだね。」
冬哉の中で、何かが崩壊した。
あの日、試験までの残り日数は一週間だった。そして今、その日から一ヶ月もの月日が過ぎている。
冬哉は、またしても目標を達成できなかったのだ。
「・・・嘘ですよね?
大体、一ヶ月も植物人間だった人が、突然復活するなんて話・・・。聞いたことがありません。」
「それが、本当なんだ・・・。意識が戻ったのは、本当に幸運なことなんだよ。」
そんなことが。
そんなことがあってたまるものか。
「ふざけるなぁッ!!」
冬哉は、思い切り、ベッドから起き上がろうとした。
しかしその瞬間、冬哉の野頭に強い痛みが走り、起き上がることはできなかった。
「ダメだ!!大和田君!まだ安静にしていたまえ!!」
「僕の・・・一年間が・・・!努力が・・・!」
「落ち着きなさい、大和田君。貴方、そんなに暴れていては、家族の方に申し訳が立たないわよ。」
見ると、騒ぎを聞きつけた何人かのナースが、そこに立っていた。
「貴方、どれだけ貴方のことを、皆が心配してくれていたのか、知らないの?
妹さんは、学校帰りに毎日お見舞いに通っていたし、お父さんも高い入院代を必死に稼いでいたのよ。
貴方のお友達だってお見舞いに来ていたし・・・。
気持ちは分かるけど、それでは皆悲しんでしまうわよ。」
「うるさい!貴方に僕の、何が分かるって・・・!」
「大和田君!!」
病棟全体に響き分かるほどの声で、ナースは怒鳴った。
「貴方、一緒にいた椎名さんは知っているわね。椎名さんはここに搬送された直後・・・お亡くなりになったのよ。」
「えっ・・・?」
「貴方もそうなってもおかしくなかったの。それが、貴方は生き残って意識も回復したのよ。
貴方は、恵まれているの!!」
「こ、こら!太田君!そんな言い方をするんじゃない!!」
「・・・、すみません、興奮してしまいました。」
「・・・大和田君、君が動揺するのも当たり前だ。しばらく一人になって、物事を整理したほうがいい。
君達、一度出て行こう。」
そう言うと先生達は、病室を去っていった。