Another Trainer   作:りんごうさぎ

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長かったなぁ


7.ポケモンリーグへの道

 不戦勝のモヤモヤ気分は“きりばらい”してポケセンに戻ることに。そこですぐにポケモンリーグの参加登録を行った。登録はすぐに完了。その後リーグについて説明を受けた。

 

 普通はやっぱりこういう説明があるのが当たり前みたいだ。説明書なしでゲームスタートはおかしいよなぁ。自分のことだけど。

 

 しかもその説明は初っ端から知らないことばかりで面食らってしまった。

 

 まず驚いたのは登録の期限が年内で締切だったこと。そもそも締切というものが発想になかった。ジムバッジさえあればすぐ挑戦できるという認識は過ちだった。ちょっと危なかったか。ギアナで長居し過ぎたらアウトだった。

 

「あんまり余裕はなかったんだな。偶然だけど早めに来ておいて良かった良かった」

「え? まさか締切日程把握してなかったわけじゃないわよね?」

「……お前は知ってたのか?」

「トレーナーなら常識だと思うんだけど……本気で言ってるの?」

 

 これは常識なのか。なんでそんなこと知っているんだ。いや、本気で目指しているなら知ってない方が変か。そんなもん元々はなかったんだから仕方ないだろ。

 

 次の話、リーグの方式もゲームに慣れている身としては衝撃だった。なんとチャレンジャー四天王勝ち抜き戦ではなく普通に全てトーナメント方式らしい。

 

「じゃ、マスターリーグの方とかで四天王勝ち抜きっていうのはないのか? 4連戦に勝たないとチャンピオンに挑めないみたいな」

「はぁ? シショー何言ってんの? リーグと同じに決まってるでしょ。だいたい、そんなんじゃ四天王はチャンピオンに挑めないじゃない。そもそもチャンピオン含めて四天王だし。ホントにどうしたの? 大丈夫? 考えたらわかるでしょ?」

 

 確かに言われてみればそうだ。なんで気づかなかったんだろうか。そういや昔リーグはトーナメント戦ってどっかで聞いた気もする。イメージが先行し過ぎて記憶がごちゃごちゃになっていた。考えたらわかるでしょは言われる側になるとダメージあるな……。

 

「もう説明はいい。あと、場所は?」

「……もちろんセキエイ高原ですよ。セキエイ大会ですから」

 

 ジョーイも何聞いてんだこいつって目に変わった。そのセキエイ高原の場所が知ってる通りか確認しようとしただけなんだけど。みんな知ってるもんなのか? もうこれどうしろっていうの?

 

「そこへはどうやっていくかを知りたいんだ。チャンピオンロードを勝手に越えていけばいいのか?」

「……? タウンマップで場所はわかると思いますが、ここから北西に進んで道標を頼りに行けばまず迷うことはないと思います。もし飛行ポケモンがいれば建物は目立ちますし距離的にも本当にすぐそこです」

「えっ。ふふっ、何それチャンピオンロードって……ふふ」

「いや、こう、チャレンジャーの試練の洞窟みたいな……」

「そんなのあっても空飛んだら終わりじゃない……だいたいそのネーミング……やっぱシショーはシショー……ふふはは、もうダメッ。真顔でボケるのやめてよ、シュール過ぎて笑っちゃう、お腹痛い!」

 

 知らないんだからどうしようもないだろ! もう絶対なんもいわねー!

 

 みゅーがポンポンと背中を叩いてなぐさめてくれたのだけが救いだった。

 

 勝手に説明だけ続いた。トーナメントの対戦者はギリギリまでわからない仕様らしく、試合の前日まで不明のままらしい。年明けるとトレーナーはセキエイに集まり始めるらしい。細かいルールとかの説明は本部でしてもらえるそうだ。それまで早めにリーグに来た者はこの辺で勝負したり、依頼をしたり、情報をやりとりしたりするらしい。この前勝負したエリートもリーグを控えてここらを徘徊していたということだろう。

 

 会場では人気選手のグッズとかもあり、本部だとポケモンの専用道具とか売ってたり選手間でも道具などの売り買いやトレードとかもあったりしてにぎわうらしい。戦闘用の道具はそろそろ欲しいな。

 

 選手はだいたい200人、観客はカントー中からたくさん来るらしい。一年で最大のビッグイベントになるようだ。テレビ放送があるって聞いていたから盛り上がっているとは予想していたがここまでか。やっぱりここではポケモンバトルが人々の中心にあるんだな。

 

 説明もだいたい聞いて、これからのことについて考えた。ここらのトレーナーを狩りまくってレベル上げをしてもいいが、話の中で出て来た情報というのが気になった。

 

 情報が何のことなのか詳しくはまだ聞けなかったが、あんまり目立つことは避けた方が無難かもしれない。大会は200人だから7,8回戦う計算だしどのみち対策はされるだろうが、無闇に手の内を晒す理由もない。

 

 そもそもレベル的にもトレーナー狩りはあまりおいしくないし、みゅーがいるから身内で競い合った方が経験値は入る。ふしぎなアメを解禁して1匹レベルを上げまくればそれを倒して他の奴もレベル上げしやすくはなるが、そいつだけサンドバッグになるのでなつきが下がりそうだしかわいそうだから自重した。そんなことしてみゅーが見たら泣きそうだし。

 

「ねぇ、これからどうしよっか。まだ始まるまで時間があるけど、シショーのことだしここらで経験値稼ぎ?」

「それは色々な面で微妙かなぁ。最悪ギアナに戻ってレベル上げするのも手だが」

「ねぇねぇ、みゅーはもっといろんなところ見てみたい。どっか他のところも行こうよー。この町なんにもないから飽きたの」

「そうか。もう見て回るところもないけど、じゃあトキワの森方面へ行く? ジャングルにいたから森は好きだろ。どう?」

「んみゅ、そうするの」

「シショー……みゅーちゃんに甘過ぎ。まさかと思うけど、これからずっとなんにもしないつもり? さすがにあの2人に置いてかれるわよ」

「まさか。これからは俺達同士で勝負して経験値を稼ぐことにしよう。自分達ならバレるもんもないし、下手な奴より経験値も遥かに多い」

 

 せっかく近くにレベルの高いトレーナーがいるのだから利用しない手はない。今までは周りに自分達より強い奴ばかりがいたが、もうそういうレベルは終わった。マスターのトレーナーとかもレベル上げには同じマスターのトレーナーと戦うしかないんだろうな。

 

「ちょっとっ! それはわたしが困るわよっ! わたしだけ負けてばっかじゃ強くなんないじゃない!」

「格上との勝負には慣れておいて損はない。お前にとっては俺の研究をするチャンスにもなる。それに、みゅーがいるからいくらでも回復できる、心配するな。経験値に関しては多少のハンデをやるから、それでバランスをとれば文句ないだろ?」

「そっか、みゅーちゃんがいれば回復はし放題なんだ。そうするとすっごく効率良さそうね。ハンデくれるならわたしでも経験値稼げるかな。ちなみにじこさいせいといたみわけを同時に覚えるポケモンっているの?」

「いないことはないけど、いたみわけを覚えさせるのはしんどいし、体力がみゅーみたいに多いポケモンはいないな」

「……やっぱ特別なんだ」

「みゅみゅ、みゅーはすごいの」

 

 “いやしのはどう”とか回復させる専用の技もあるから必ずしもみゅーだけの特権というわけでもないが、FRLGではラッキーの“タマゴうみ”ぐらいだろうな。その使い方自体あんまり知られてなさそうだし。

 

 とにかくこれからはゆっくり旅しながらレベル上げをすることに。とりとめもない毎日が続いた。バトルは俺だけ交代なし。常に相性の悪い戦いとなり、これでほぼ五分になった。

 

「いやおかしいわよ! なんでこれで勝率が五分なのよ!」

「まだ考えが浅いんだよ。能力自体も互角だからな」

「みゅー、また勝てたの。ほめてー」

「よーし、みゅーはえらいな。あとでご褒美あげよう」

「やったー!」

 

 バトルでポケモンが疲れたらその間に先へ進む。時間が経てばまたバトル。町と町の間には距離があるからいい休憩にもなる。人もポケモンもいくら体力を回復しても疲れは多少残るからな。

 

 何日も経たずにトキワの森に差し掛かった。森は広く、迷いの森の名にふさわしい入り組んだ地形だが、サーチがあり、みゅーもいて迷うわけもなく、問題なく抜けてニビに到着した。何となく真っすぐ進んできてしまったな。

 

「面積はけっこう広かったな。マサラの新人にとっては最初の試練ってやつなのか?」

「まぁね。でも洞窟とかが最初の試練の町に比べればマシよ。レベルも低いし。わたしの場合、割と近くだからよく遊びにきていて地理もわかっていたし。と、言っているうちにポケセンについたわね。なんかここ懐かしいわねー」

 

 ニビのポケモンセンターか。ここから色々始まったもんなぁ。

 

「そうだな。お前がストーカーになった記念すべき場所だもんな」

「違う! ホント、思い返せばあの頃のシショーはエスパー拗らせて意地悪でいけずで頑固でわからずやだったから大変だったわねーっ!」

「そんなに大声で言わんでもいいだろ。性格悪いことばっかしてた自覚はあるけど。あれ最初はともかく、つきまとうようになってからはある程度わざとお前に嫌われるためにそっけなくしてたんだからな」

「え、そうだったの?」

「……気づいてなかったのか。こうかはないようだ……」

「みゅみゅ、もしかしてレインってみゅーより人見知りじゃないの?」

「……たしかに。一理あるわね」

「別に違うからな。おい、ブルーなんだその面!」

 

 ほっぺをぐにぐに制裁してからポケセンに入って受付にいくと、ジョーイが目を輝かせて身を乗り出して俺に握手してきた。そういえばここのジョーイってこんなんだったっけ。頭くさタイプだったのは覚えてる。

 

「レインさん!? あなた、ボスゴドラキラーのレインさんですよね!? いいところに来てくださいました! なんて巡り合わせっ! 実は今また大変なことになっていて、凄腕のトレーナーがいないかと探していたんですよ!! ここまではなかなか人が来なくって! いやぁ、これぞ天の助けですね!」

 

 いきなり面倒事の予感がするんだけど何の騒ぎ? しかも拒否させる気がないらしく勝手に話を進めて依頼書の書類らしきものまで出していた。

 

「ちょっと待て。まだすると決まったわけじゃ…」

「もしかしてあの事件以来のガチのSランク?! 任せて! ボスゴドラキラーことレインと、その1番弟子のブルーがパパッとどんな事件でも解決してみせるわ!」

「ホントにーっ!? ブルーちゃんありがとう、助かるわ! よし、書類あったあった。依頼受理、と」

「おいっ! だから待て! だいたいその変な呼び名やめろ!」

「えーっ、ボスゴドラキラーって初めて聞いたけどいいじゃない! カッコいいわよ! なんかいきなりわたしの心を鷲掴みされたわよ」

 

 お前はもう年齢的にも中二だからな。普通はイヤだろ。誰がこんな頭痛くなる名前で呼ばれたいの?

 

「今じゃレインさんはここらではすっかり有名ですよ。凶悪なポケモンから街を救った勲章としてドラゴン仙人からこの名を賜ったんですから、ありがたいことなんですよ」

 

 またその仙人か。前にも聞いたぞ、結局何者なんだ。勝手に祭り上げられても困る。

 

「わたしもこの依頼でなんか二つ名みたいなのほしいなー」

「活躍すればきっともらえるわよ。仙人はそういうの好きだから。それじゃ、そろそろ依頼の説明をしますね。まず……」

 

 このあとは俺が何を言ってもお仕事モードに入っていて一切質問等受け付けず、淡々と説明を続けた。……ゲームさながらポンコツAI。

 

 説明をまとめると、ディグダの穴のディグダ達の様子がおかしく、そこが通れなくなっていて、かつ出入り口付近で怪しい黒ずくめの男の目撃証言があり、そこの調査をしろということだ。これまでのトレーナーは皆ディグダに返り討ちで中を調べられなかったらしい。今はジムリーダーまで出張っているがそのタケシとマチスも相性が悪くて苦戦しているそうだ。

 

「ディグダって打たれ弱いからある程度強ければ攻撃される前に倒せるんじゃないの?」

「それが複数で襲ってきて、最初は能力を下げるすなかけ、どろかけなどを使い、そのあと一斉に波状攻撃をされてどうにもならないとか。じしんやいわなだれは範囲攻撃で避けるのも厳しいとのことです。まさに数の暴力でどうしようもなくって」

「えげつねぇなぁ。野生のポケモンなら協力はしても戦略的に動いたりはしないはずだろ? 間違いなく手引きしている人間がいる。そいつは洞窟の中央にいるはず。そこまでなんとかしていくしかない」

「ねぇ、もしかしてその人間って……」

「十中八九ロケット団だろ、どうせ。残党がまだいたか。あんまり乗り気じゃなかったが、俺らで始末するしかないかなぁ」

「残党?」

「あら、ブルーちゃんは知らないの? 少し前にロケット団は解散したって噂が流れて大騒ぎだったでしょ?」

「ええーっ!? あ、わたし達がいなかった時か。……じゃあなんでシショーは知ってるの!?」

「俺達はこれからどうすれば?」

「急いで現場に向かいましょう。今もタケシさんが交戦中です」

 

 ブルーは無視して現場に急行すると、タケシはかなり苦戦していた。“じしん”で殲滅しようにも上下左右全方位にちらばるので上や後ろにいかれると“じしん”でも倒せないようだ。困った状況だ。

 

「もしかしてレイン君か! やっと応援が来たか。しかもボスゴドラキラーの君が来るとは心強い!」

 

 まさかその名前ニビにいる限り毎回言われるのか。やめてくれよ。

 

「状況は最悪みたいだな。ここからは俺が指揮をとる。言う通りに動いてくれ。先鋒はじしんが使えるタケシ。俺がピッピにんぎょうを投げるから、そこに集まったのをじしんで殲滅してくれ。ブルーは難しいけど殿になってくれ。ラプラスで天井を凍らせて上からの“いわなだれ”による奇襲を防ぎ、ハクリューとピジョットで後ろの露払い。追って来なければ無理に全滅を狙わなくていい。あくまで防戦に徹してくれ。俺は真ん中で両サイドと全体の討ち漏らしをアカサビとゲンガーで処理する。細かい動きは俺がした方が都合がいいだろう。これで一気に奥まで駆け抜ける。いくぞ!」

 

 サーチ!

 

 ピッピにんぎょうを投げると、思った通り地中の奴まで集まってきた。“じしん”で殲滅して、周りの討ち漏らしは攻撃を上げたハッサムが“バレットパンチ”で迅速に対処。どこから不意打ちかましてくるかわからなくても俺なら視えているから先読みして対処できる。後ろはブルーがしっかりしてるようで安心して進める。ラプラスはほぼ俺の言葉を聞いて自己判断で動いてくれているおかげで後ろに3体おけているのも大きい。

 

「たしかにこれなら安全に奥まで辿り着けそうだ。だけど相当距離があるからいずれ限界が来るぞ」

「相手の数が多過ぎるから持久戦になるのはやむを得ない。限界があるのは相手も同じ。いつか敵も尽きるはず。そうしたらポケモンに乗って一気に進もう。疲れたところは俺がキズぐすりで回復させるから攻撃に集中してくれて大丈夫だ」

 

 しかし思った以上に数が多く、途中俺が回復を挟みながらでも疲れが見えてきた。ピッピにんぎょうも上手く回収しながら使い回しているが、戦闘の余波で減りつつはある。

 

「ポケモンを変える。タケシはこれまで通り手持ちを回してじしん。俺はプテラとウインディ。ブルーは俺のメタモンをラプラスにしてかわりにしつつ、後ろは残りの手持ちを上手く出し入れしながらなんとかしてくれ。ブルーの動きが遅くなるからしばらくは倒すことを優先して移動ペースは落とそう」

「わかったわ。みゅ……メタちゃん借りるわよ」

「モンモンー!」

(やっと出番なの! 頑張るの!)

「ちょっと! 俺の方に飛びつくんじゃなくて、今日はブルーの言うこと聞いてくれ。ブルーもバッジ8つだし言うこと聞いてくれるよな?」

(んー、終わったらオレンパフェ食べたいな)

 

 みゅーは デザートのことを 考えている……

 

「あげるあげるっ!」

「モンー!」

 

 やっとブルーの方にいってくれた。メンバーは変わったがやることは変わらない。しばらくしてようやく敵がいなくなり、3人でグレンに乗ってトップスピードで奥に向かった。ディグダはあらかた倒したが今度はダグトリオが出てきた。だがこれは数が少なかったので襲われる前にヒリューさんの必中“つばめがえし”で各個撃破した。単騎でバラバラなら対処は容易なんだよな。

 

「君はまるでどこにポケモンがいるか全てオミトオシみたいだな。出て来るダグトリオへの反応が尋常じゃない。さっきの作戦もじしんの弱点を理解してしっかりカバーしていたし、昔戦国時代に活躍した名のあるトレーナーのような千里眼だな」

「え、え、えっ! もしかして千里眼のレイン爆誕!? いいなー、千里眼っていいなー」

「やめい! これ以上黒歴史が増えそうなこと言うな!」

 

 バカな話をしていると中央に到着し、怪しげな連中と装置があった。これが原因だな。ここのポケモンをこの装置で操っていたのか。

 

「げっ、なんでここにジムリーダーが! 相性は悪いはずなのに!」

「げっ、まだ十分なデータがとれていないのに! これじゃ俺達の復活が!」

「観念しろ、もう逃がさないぞ。ここは俺にとっても大事なトレーニング場所なんだ。手加減はしない」

「そう簡単に負けてたまるかよ! こっちだってトレーナーの端くれ!」

 

 しかしタケシが負けるわけもなく、あっさりと“じしん”で制圧して連中はお縄についた。俺達が助太刀する必要もなかったな。

 

「一瞬で無力化したな。いわじゃなくてじめんタイプの技使ってるけど」

「それは目をつむってくれ。ひとまずこれで問題は解決できただろう。ここまでこれたのは君達のおかげだ。礼を言うよ」

「やったわね。一件落着。でも、今回はさすがにハードだったわ。この洞窟長過ぎよね。めっちゃ疲れた」

 

 ニビに帰ると人だかりができていて俺のことはホントにボスゴドラキラーとして認知されていた。その名前で有名になってしまったのか。さらに件のドラゴン仙人もいて、初めて直接姿を見れた。お礼をしてくれるらしい。

 

「どうじゃ、ここはひとつ、わしの自慢の技を覚えさせてはみぬか?」

 

 と、いうことで、それならとブルーのハクリューに“りゅうせいぐん”を覚えさせてもらった。特攻は低いとはいえ、覚えられる技の上限がない以上あって損はない。攻撃範囲が広いし、一度ならパルシェンのような苦手な相手への有効打になるだろう。

 

 ♪~♪~

 

「あ、電話か」

「え、何そのバトルとか試練とか始まりそうな音は」

「よくわかったな。別の地方だとジム戦の時にこれが流れるんだよ」

「え、それホント!?」

「……ウソではなさそうなの」

「どういうことなの……?」

 

 電話はもちろん博士から。もう仕上げたのか。なんか俺も召喚されるみたいだ。やっぱり多少は仕事もあるんだな。どうせ暇だし、ささっと終わらせよう。

 

「悪いけどしばらく用事ができたから別行動させてくれ。リーグまでには間に合うようにするから、ブルーは別の人と自主練してくれ。レッドとか探せばいい相手になるだろ」

「えっ、そんな……。せっかくいい感じでトレーニングできてたのに。なんでいまさら別行動なのよ。そもそもその用事って何?」

「つまらん用事だ。駄々をこねるなよ。仕方ないだろう、呼ばれたんだから」

「いっつもシショーは肝心なことは何にも教えてくれないじゃない……。急に呼び出されるような相手なんかいた? ヤな感じー」

「……毎日みゅーを介して連絡とるぐらいはするから、それならいい?」

「……まあ、それならいいわ」

「レイン、ポケモン使いが荒いの」

「オレンパフェ」

「ブルー、みゅーに任せてね」

 

 そして期は満ちた。用事を済ませてブルーと合流。受付期間も終了して、本選開始まで各地からトレーナーが集まる。いよいよリーグの開始が迫り、俺達もセキエイの地に向かうことに。

 

 セキエイ高原にはすでに多くのトレーナーが集まり、互いに火花を散らし、闘志をむき出しにしている。周りの気迫に負けてしまえば、そのまま飲まれてしまってもおかしくはない。だが、これまでの準備期間しっかり鍛えられたブルーに動揺は見られない。今はもうエリートや観客に恐れをなすこともないだろう。そしてもちろん鍛えられたのは俺も同じだ。特にみゅーはしっかり調整してきた。

 

「いよいよね。わたし、ちょっと燃えてきた。絶対に勝って故郷のマサラに錦を飾るわ」

「戦う時はお前でも容赦しない。それは覚悟しておけ」

「……わたしだって、タダでは勝てせてやらないわ。わたしは世界で1番シショーのことよく知ってるんだから」

「たしかにそうだな。ドジ踏んであっさり負けたりするなよ。楽しみがなくなるから」

「……えへへ。そっちこそ、わたしと戦う前に負けたらシショー失格だからね」

 

 ニヤリ、とお互いに笑みを浮かべた。

 

 自分の求めていたものがもうすぐそこに手の届くところまで来ている。あと少し、あともう少しなんだ。

 

 最後の舞台まで来たことを噛みしめながら、セキエイ高原の中心に位置するポケモンリーグ本部へと向かった。

 




これまでの冒険の日々こそが君のチャンピオンロードだ!


前から間が空きましたが作者はもう何年ぶりかなぁという気分です

ここからは色々考え直すこともあってほぼ一からになるのでだいぶゆっくりになると思います
毎日のように更新みたいなおかしなことはできないです

また、最初から完璧にするには時間がかかり過ぎそうなのでざっくりで進めていきます
具体的にはあとから展開とかを変えたり大幅な修正をするかもしれないですが大目に見て下さい
変なところがあるとかは教えてもらえると助かります

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