穏やかな家族の団らんに、突如、異変が起きた。
「やめて。チャンネルを替えて!」
家族とともにテレビを見ていた一人の女性が、血相を変えた。
2017年9月――。テレビでは連日、秋篠宮家の長女・眞子さまの婚約内定の話題を伝えていた。平成時代の天皇の初孫として、国民の多くがご成長を見守ってきた眞子さま。その眞子さまのお相手・小室圭さんは、否が応でも世間の注目を集めた。
眞子さまとは国際基督教大学(ICU)時代の同級生で、「湘南江の島 海の王子」にも選ばれたことのある好青年。メディアはこぞって、小室さんをこう持てはやした。
婚約内定会見では、眞子さまと小室さんが、はにかみながら見つめ合う場面もあった。この様子に、誰しもが“爽やかカップル”の誕生を信じて疑わなかった。
ただ一人の女性を除いては――。
小室さんの笑顔がテレビ画面に映った途端、女性はパニック状態に陥った。
「どうしたの?」
母親は心配して尋ねた。女性は声を絞り出し、こう訴えた。
「お母さん、覚えてない? 学校に小室圭がいたの。私は、この人にずっとイジメられていたの……」
◇
眞子さまと小室さんの結婚問題が最終局面を迎えている。結婚延期の原因となった小室さんの母・佳代さんの借金問題も、元婚約者・X氏が、自身の代理人が契約記者を務める『週刊現代』誌上で「今後一切、返済を求めない」と発表。X氏が諦める形で決着を見せたが、小室さん側は19年1月に〈(借金問題は)解決済み〉とする文書を公表したきり、沈黙を貫いたまま。そのため、12月10日には西村泰彦宮内庁長官が会見で「(小室さん側に)説明する責任がある」と苦言を呈する異例の事態に発展した。
そんな最中の、12月初旬。小誌編集部に、小室さんの過去にかかわる、ある重要な証言がもたらされた。
「小室さんは中学・高校時代、他の男子生徒とともに、同級生の女子生徒に対して陰湿なイジメを行っていた。イジメを苦にした女子生徒は、高校1年生の終わりに退学に追い込まれた」
これまで取り沙汰されてきた“借金問題”では、一部が小室さんの学費などにあてられたとはいえ、あくまでも当事者は母親の佳代さんだった。しかし、この証言が事実であれば、小室さん自身の問題である。しかも、10代とはいえ、中高生ともなれば善悪の判断も十分に可能な年代だ。
イジメは本当にあったのか。小誌は慎重に裏取り調査を進めた。すると、爽やかな笑顔の裏に隠された、小室さんの知られざる「もう一つの顔」が浮かび上がってきた――。
小室さんが中高時代を過ごしたのは、カナディアン・インターナショナルスクール(東京都品川区、以下CIS)。その名の通り、カナダの教育に基づいた私立校だ。1999年に開校した同校では、幼稚園から高校まで一貫教育が受けられ、高校を卒業すると、日本のみならず世界各国の大学の受験資格を得ることができる。JR大崎駅から徒歩7分ほどのところにあるビルが学び舎で、赤い看板や緑色に塗られたカラフルな外壁に、異国感が漂う。
同校の公式サイトには〈英語のプログラムを通じて、話す、聴く、読む力、推敲力やまた表現力を伸ばしていきます〉とあり、英語教育に力を入れていることが窺える。小室さんも、小学校までは得意のバイオリンを活かして音楽の道を志していたが、小学5年生のときに参加したインターナショナルスクールのサマースクールを契機に、本格的に英語を学ぶことを決意。小学校を卒業した04年、CISの門を叩いた。
「都内の他のインターナショナルスクールは、保護者も英語が話せることが入学条件になっている学校が多い。英語ができないと、保護者と学校側との意思疎通が難しくなるからです。その点、CISはその条件が緩く、外国人教師とのやりとりの際には、日本人の事務長が通訳として同席してくれます。小室さんがインターナショナルスクールの中でもCISを選んだのは、このためかもしれません」(卒業生)
中心人物がAさんと小室さん
帰国子女も多いCISの中で「英語スキルは平均的。成績も飛び抜けて優秀というわけではなく、むしろ真ん中くらいだった」(同前)という小室さん。しかし、教師たちからはとくに目をかけられていたという。
「小室さんはいわゆる“優等生”。授業中も積極的に発言したり、授業後に個人的に質問をしに行ったりしていました」(同前)
外国人も含めた20人前後のクラスメイトのうち、小室さんがすぐに意気投合したのが、Aさんという日本人の男子生徒だった。
「当時、日本人の男子生徒は5人で仲良しグループを作っていましたが、その中心人物がAさんと小室さんでした。2人は自宅が近くだったこともあり、通学のときや、放課後に大崎駅前の商業施設に遊びに行くときなど、いつでも一緒でした。Aさんはスポーツが得意でクラスのボス的存在。小室さんはいつも傍らにいる補佐役という関係でした」(CIS関係者)
5人組にもう一人「ケイ」という名前の男子生徒がいたことから、イニシャルで「KK」と呼ばれていた小室さん。中学生のころには、少し背伸びしてお台場に遊びに行くこともあった。そんなとき、飲食店などの周辺情報を事前にきっちりリサーチしておくのが小室さんの役割だった。小室さんが一通り説明すると、ボスのAさんらが意見を言い、目的地が決められていった。
「CISには部活がないのですが、あるときAさんがバスケ部やサッカー部を作ろうとした。運動はあまり得意ではない小室さんですが、このときもAさんのサポート役となって、後輩に声をかけていました。
中3のころ、Aさんが監督で自主制作の短い恋愛映画を撮ったときには、小室さんが主演を務めたこともあります」(同前)
クラスメイトの前で、小学校時代に習っていたバイオリンを披露することもあった。ジョークも得意で、よく周囲を笑わせていた。当時、小室さんが利用していたSNSには、小室さんの人物評として、同級生たちからのこんな書き込みが残っている。
〈バイオリンがとても上手でギャグは半端じゃない〉
〈CISきってのムードメーカー♪〉
バイオリンが得意な優等生。仲間や教師からの信頼も篤い人気者――。だがそれは、小室さんの“表の顔”に過ぎなかった。中学生活が始まってからほどなく、一見静かな地獄が始まった。
〈デブ〉〈ブタ〉〈ブス〉と紙に……
小室さんの同級生に、内藤悠さん(仮名)という女子生徒がいた。少し体型がふくよかで、大人しそうな生徒だった。Aさんや小室さんは、たいして話をしたこともない彼女に嫌がらせをするようになったのだ。
あるとき、男子5人組の傍らを、内藤さんが通り過ぎた。すれ違いざま、小室さんは日本語で、こう囃し立てた。
「あ、ブタが通った。ブーブー!」
内藤さんが椅子に座ると、それにあわせて小室さんが「ドスン!」と言い、Aさんら男子生徒たちがニヤニヤと笑い合っていることもあった。日本語ができない教師や他の外国人生徒たちが、こうした暴言に気付くことはなかった。
体育の授業では、こんなこともあった。あるとき、2人1組のストレッチで、内藤さんが小室さんと組むことになった。一人が屈伸をして、一人が背中を押す。こうした動作の後、小室さんはこれ見よがしに、手を服の裾で拭く仕草をしてみせた。まるで、汚いものをうっかり触ってしまったかのように。
やがて、内藤さんの姿を見ると、男子5人組が「近づきたくない」というように、わざとらしく距離を取り、避けてみせるようにもなった。
こうしたイジメは、来る日も来る日も、執拗に続いた。それどころか、内藤さんが反論してこないのをいいことに、学年が上がるごとにエスカレートしていった。
CISでは席順が決まっておらず、授業中は各自が自由に席に着く。そのため、小室さんやAさんは決まって近くの席に座っていた。そんな彼らが授業中に、何やら書かれた紙を回し始めたのだ。紙には、こんな単語が書かれていた。〈デブ〉〈ブタ〉〈ブス〉――。
初めは回し読みされるだけだったその紙は、やがて、見せつけるように内藤さんの机の上に置かれるようになった。
じつは、こうしたイジメのターゲットは内藤さんだけではなかった。内藤さんには、仲の良い女子生徒が2人おり、彼女たちに男子生徒からの心ない言葉が投げかけられることもあった。しかし、他の2人は英語が堪能で、成績も優秀だった。そのためか、標的になりやすいのは決まって内藤さんだった。
CISでは、授業の一環でプレゼンテーションを行うことがよくあった。一人ひとりがテーマを決めて、画用紙で資料を作り、クラスメイトの前で調べた内容を披露するのだ。だが、内藤さんの発表になると、Aさんや小室さんは親指を下げるブーイングのポーズを取った。他のメンバーは、それを見てクスクスと密かに笑いあっている。その光景は、男子生徒たちが「あいつ、なんかヘンな英語喋ってるぜ」と言いあっているかのようだった。
高校1年生になるころには、小室さんたちに遠慮は全く無くなっていた。外国人生徒や教師に悟られないことに乗じて、彼らは内藤さんに堂々と暴言を浴びせ、嘲笑した。
男子生徒たちにとっては些細ないたずらに過ぎなかったかもしれない。だが、来る日も来る日も続く、小さな悪意の積み重ねは、内藤さんの心を確実に蝕んでいった。高校1年が終わるころ、内藤さんはひっそりと学校を辞めた――。
取材から浮かび上がった、小室さんたちによる陰湿なイジメの実態。内藤さんを退学に追い込んだ男子生徒たちは、どう考えているのか。仲良し5人組のうちの2人、BさんとCさんに話を聞いた。Bさんは記者に電話で、こうまくしたてた。
「(4年にわたるイジメというのは)事実と違います。そもそも僕は中学の2年間しかいなかった。だいたい、個人情報がどこから洩れてるんですか? これはプライバシーの損害(ママ)です」
――授業中に「ブタ」と書いた紙を回したりした?
「なかったですね。こんなくだらないことで(イジメが)ある、ないと世間に話を出すのは頭おかしいと思う。小室さんってすっごい良い方なんですよ、優しくて。それなのに、悪いことを取り上げて、お金が儲かるような記事にしようって、おかしくないですか? 眞子さまが結婚したいと思えるくらいの人だってこと、もう少し考えたほうがいいんじゃないですか」
小室さんを庇うBさん。だが、被害者の内藤さんの話になると、途端に口数が少なくなった。
――内藤さんはどんな生徒だった?
「……女の子3人でよくつるんで、一緒に仲良くしていたのは覚えています」
Cさんを訪ねると、インターホン越しにこう話した。
「(イジメについては)事実と異なるということだけははっきりさせておきます。これ以上のお答えは差し控えさせていただきます」
男子生徒たちはイジメを頑なに否定する。では被害者とされる女性は、どうとらえていたのか。小誌は取材の末、ついに内藤さんに接触することができた。
当初は取材に応じることを躊躇っていた内藤さん。だが、男子生徒たちの反論を伝えると、徐々に重い口を開き始めた。
「彼らはそんな風に言っているんですか……。でも、小室さんやAさんからのイジメが原因で、学校を退学したことは、紛れもない事実です。私は退学した後、2年間ほどひきこもりになりました。家から出るのも怖くなってしまって……。私は、小室さんに人生を狂わされたと思っています」
一連のイジメ行為について、言葉少なに語る内藤さん。いまでも当時を思い出すのがつらいという。
「ひきこもりの期間は、毎日泣いていました。でも、家の外に出るようになってからは、当時のことを忘れるようにしていたんです。それで、小室さんのことも頭から消していました。あの婚約報道があるまでは……。いまでも小室さんがテレビに映ると、涙が出てくるんです」
内藤さんは言葉を絞り出すと、記者の前でも涙を溢れさせた。
「小室さんが一度でも謝ってくれていたら、最後まで通い続けていたかもしれません。あのときCISを辞めていなければ、別の道があったのかなと思うこともあります」
〈自殺しかねない〉と母は悩んだ
小誌は、内藤さんの母親にも話を聞くことができた。母親は当時をこう振り返る。
「CISに入学したのは、『英語が勉強したい』という娘のたっての希望でした。学校側には『授業料が高いですが大丈夫ですか』と言われ、主人にも相談したのですが、主人は『娘がのびのび勉強できるところに行かせよう』と」
最初は楽しそうに通っていた内藤さん。だが、しばらくして様子がおかしくなったという。
「通い出して1学期が終わるころには元気がなくなって、『いつものこの子ではない』と感じるようになりました。ただ、本人に『元気ないね』と言っても『あるよ』と返すばかりだったので、様子を見ていたのですが……」(同前)
高校1年生の終わりごろ、内藤さんの心がついに悲鳴を上げた。「辞めたい」と口にするようになったのだ。普段はてきぱきと身支度をこなす内藤さんだが、朝、制服に着替えるのが格段に遅くなった。靴下を履くだけでも、ひどく時間がかかるようになった。
父親も交えて家族会議を重ねたが、当時は頑なにイジメについて口を閉ざしていた内藤さん。やがて、一家4人が揃う食卓にも顔を出さなくなった。
〈あまり根掘り葉掘り聞いて追い詰めてしまっては、自殺しかねない〉
思い詰めた様子の愛娘に、不吉な考えが母親の頭をよぎることさえあったという。
見かねた母親は、カウンセリングの受診を勧めた。
「最初は娘がカウンセラーの先生と一対一で話をして、2回目は私も一緒に行きました。カウンセラーの先生からは『娘さんに、頑張れとか、学校に行きなさい、と言ってはいけません』と助言をもらいましたが、娘の具体的な相談内容については教えてもらえませんでした。それで、退学した後も本当の原因がわからずじまいだったのです」(同前)
こうしてCISを退学し、2年間にわたるひきこもり生活を送った内藤さんだが、やがて一念発起して大検を取得し、海外の大学に入学。そこで大勢の友人に恵まれ、ようやく元気を取り戻したのだという。
そんな内藤さんから母がイジメを打ち明けられたのは、眞子さまの婚約内定の報道がきっかけだった。20代後半になり、伴侶と出会い、幸せな家庭を築いた内藤さん。それでも傷跡は深かった。「この人が私をイジメたんだよ」と号泣する娘を前にして、母親には、思い当たることがあった。
「たしか娘が中学2年生のころだと思います。学期ごとにある三者面談で、私が教室の前の椅子に娘と並んで座っていたときに、一人の男の子が娘に向かって『ブス』と吐き捨てたんです。私は彼の顔を睨み付けました。娘には『あの子ってそういう子なの?』と聞いたのですが、娘は『大丈夫、大丈夫』と。『あれは誰?』と尋ねると『KKだよ』という話をしたことがありました。報道で見る小室さんの顔は、あのときの顔と全く変わっていなかった。あのときの子だ! と合点がいったのです」(同前)
もっと早く気付いていたら――。悔悟の念を口にする母親は、声を震わせた。
「娘が奪われた青春は、二度と戻ってきません。親としては、高校を卒業したらICUや上智大学に進学して、英語を活かした道に進むのかな、と将来を描いていたのです。でも、娘のそうした前途は断たれてしまった。なのに小室さんは、自分の荒らしてきた道には見向きもせず、ICUを卒業し、いまではNYのロースクールに通っている。正直、小室さんのことは許せません」
真っ向から対立する、Bさん、Cさんら男子生徒側の主張と、内藤さん母子の訴え。一連の行為について、専門家はどう考えるのか。
イジメ問題に詳しい、渋谷リヒト法律事務所の菅野朋子弁護士は語る。
「文科省はイジメを『一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの』と規定しています。心理的な攻撃には嫌がらせや無視などが挙げられ、今回のケースも完全にイジメに該当します。加害者側は悪ふざけのつもりでも、被害者は加害者複数人の悪意を一身に受けている。加害者側の想像以上に、心に傷を負っているのではないでしょうか」
小誌は小室さんと、5人組のリーダー格であるAさんにも、事実関係の確認を求めた。小室さんの代理人の上芝直史弁護士に書面で取材を申し入れたが回答はなかった。Aさんにも同様に、メールや手紙を送ったが、回答はなし。記者に応対した親族はこう話した。
「手紙は本人に渡っていますが『こういうのにエネルギーを使うのも、ちょっと』と言っています」
内藤さんへの謝罪の言葉を口にする男子生徒は、ついに一人もいなかった。
“もう一つの顔”を眞子さまに
再び、内藤さんが言う。
「当時の私は、イジメを受けても、自分を責めていました。『私は確かに太っているしな』『英語も下手だしな』って。だけど、いかに理不尽な仕打ちを受けてきたのか、いまなら分かります。小室さんたちにも、自分のしてきたことの重さを自覚してほしい。そして、きっと小室さんの“良い顔”しか見ていらっしゃらない眞子さまに、彼の“もう一つの顔”を知っていただきたいと思っています」
皇室の一員として、国民一人ひとりに心を寄せてきた眞子さま。一人の女性の人生を狂わせた小室さんに、何を思われるのか。
source : 週刊文春 2020年12月31日・2021年1月7日号