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【STORIES OF WASEDA 2020】メディカルディレクターに就任し、東京2020オリンピック・パラリンピックの医療サービス体制を構築/赤間高雄(スポーツ科学学術院教授)

医療支援とドーピング検査の準備責任者として、2015年から活動

私は東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会のメディカルディレクターとして、医療支援とドーピング検査の準備と運営の責任者を務めています。2015年4月からメディカルディレクターとなったので、もう5年近く活動していることになります。

アテネ、北京、ロンドンと、私は夏季オリンピックを中心に、日本代表選手団にドクターとして帯同してきました。また、リオデジャネイロオリンピックとピョンチャンオリンピックでは、IOC(国際オリンピック委員会)から任命されて、現地で医療支援の運営体制を視察してきました。

東京オリンピック・パラリンピックでは、医療に関わるメディカルスタッフは延べ1万人以上となります。選手村や競技会場で選手に対して医療支援を行うのはもちろんのこと、大会スタッフやメディア関係者、そして会場に足を運んでくれた観客などに対しても医療サービスを提供する必要があります。

選手への医療支援は各競技の大会で日頃から活動しているメディカルスタッフに協力いただき、各会場での観客などに対する医療サービスは大学や病院に協力いただくなど、たくさんの方々のご協力のもとでオリンピック・パラリンピックを運営していくことになります。そうした医療体制の整備を、大会本番に向けて進めてきました。

 

熱射病の応急処置など、様々な研修を実施

搬送練習の様子

ご協力いただくメディカルスタッフは、医師や看護師など医療関係の資格を保有している方々ですが、日常業務とは異なる業務に携わっていただくため、大会本番までに様々な研修を受講いただきます。

例えば、東京オリンピック・パラリンピックでは熱中症対策も重視されており、国際的に推奨されている応急処置を行うことになっています。国際的な熱射病の現場での応急処置は日本で行われているものと異なり、全身を5〜15℃の水の中で冷やし、直腸で体温をモニターします。しかし、日本の医療従事者にはこの現場での応急処置を経験したことのある方がほとんどいません。そこで、早稲田大学スポーツ科学学術院の細川由梨先生にもご協力いただき、研修を行ってきました。細川先生はアメリカで国際的な応急処置を専門的に学ばれてきたので、アドバイザーとなっていただいたのです。

また、オリンピック・パラリンピックの競技会場で行われる大会などをテストイベントとして、医療資機材やスタッフ、運営体制の確認を行っています。オリンピック・パラリンピックは全世界にテレビ放送されていることもあり、選手にケガや急病などのトラブルがあった際には、迅速かつ適切に搬送する必要があります。トラブル発生から3分以内に選手を担架に固定して搬送できるように、緊急時のオペレーションも入念に準備しています。

 

唾液から免疫力を測定し、コンディション調整に活かす

選手村で医療サービスを提供するポリクリニック

かつて私が帯同した日本代表の選手団も取り入れていましたが、選手の免疫力を調べることによってコンディション調整を行う方法があります。選手の唾液を綿で摂取し、分泌型免疫グロブリンAの量を調べます。分泌型免疫グロブリンAの量が、通常時よりも30%以上落ちると風邪を引く可能性が高まるので、練習の強度を抑えるなどの対策が必要となります。

オリンピックなどの大会期間中に、選手がコンディションを崩す原因は決まっています。1位が風邪で、2位が胃腸系、3位が皮膚系です。そのため、選手団のドクターにとって風邪対策は非常に重要なのです。スポーツ選手は身体が丈夫で風邪を引かないと思っている方も多いようですが、高い強度でトレーニングしているスポーツ選手は、一般の方よりもむしろ免疫力が落ちやすいので、注意が必要なのです。

選手の唾液から免疫力を調べる方法は、以前は大きな機材が必要なこともあって実験室でしか行えませんでした。しかし、文部科学省の事業として小型化した検査機械を開発することで、オリンピックの選手団のコンディション調整に、日本が他国に先駆けて活用できようになりました。

このように、研究の成果は、最終的には現場で活かせることが理想です。私は早稲田大学の授業やゼミでは、免疫系・内分泌系・自律神経系のモニターによるアスリートのコンディショニングについて教えていますが、学生たちには「現場でどのように活用できるか」を考えて、学んだり研究を進めるようにアドバイスしています。

 

スポーツの持つ価値や魅力を一緒に研究しましょう

2018年のピョンチャンオリンピックも視察。

スポーツの持つ価値は、社会において重要な意味があります。私たちと一緒に、スポーツの魅力を研究する方がぜひ増えてほしいと思っています。

私の専門は、スポーツ医科学の内科系やアンチ・ドーピングですが、早稲田大学のスポーツ科学部には整形外科系をはじめ、スポーツに関する幅広い分野のトップクラスの教員が揃っています。

また、アンチ・ドーピングにおいても、「なぜドーピングがダメなのか」をトップアスリートに伝えるだけでなく、若年層の指導者などにも理解を広めていく必要があると思っています。スポーツ科学部の学生には、将来は様々な競技の指導者となる者もたくさんいます。学生時代に多くのことを学び、スポーツ界をはじめ広く社会に貢献していただけたらと思います。

 

[プロフィール]

赤間 高雄(あかま たかお)

1957年栃木県出身。早稲田大学スポーツ科学学術院教授。

筑波大学医学専門学群卒業、筑波大学大学院医学研究科修了。

 

日本のスポーツドクターの第一人者。アテネ、北京、ロンドンのオリンピックで代表選手団に本部ドクターとして帯同。2006年より早稲田大学スポーツ科学学術院の教授に。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会メディカルディレクター。日本アンチ・ドーピング機構副会長。

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