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◆車椅子コラムニストの記事が大炎上
4月4日、あるブログ記事が賛否両論……いえ、主に多くの否を集めました。
そのブログはコラムニストの伊是名夏子さんが書いた「JRで車いすは乗車拒否されました」というものです。伊是名さんは骨形成不全症という骨の折れやすい障害を持ち、車椅子で生活しています。その伊是名さんが「乗車拒否された」との見出しで記事を書いているわけですから、一体どういうことだと本文を見てみると、ちょっと思っていたものとは違いました。
伊是名さんは4月初めに自分、子ども、友人、ヘルパーさんと静岡県の来宮神社に小旅行に行くことを計画します。当日、車椅子で移動していることから少し早めに駅へ向かい、来宮駅までの案内を小田原駅の駅員に要請したところ「来宮駅は階段しかないのでご案内ができません。熱海まででいいですか?」と言われてしまいます。最寄りの来宮駅は無人駅で、エレベーターもなかったのです。
伊是名さんはバリアフリー法、障害者差別解消法などを持ち出して食い下がりますが、前者は利用者3000人以下の駅は対象ではなく、後者での合理的配慮も難しいとの説明があり、伊是名さんは「駅員さん3、4人集めてもらい、階段を持ち上げてください」とまで言って1時間あまり問答をしていたと言います。
◆JRはそこまで批判される対応だったのか?
しかしその後、熱海駅に到着すると、駅長含めた4人が待機していたというのです。熱海から来宮までは電車で2分です。4人は来宮で伊是名さんの電動車椅子を運び、無事に問題が解決したのです。ですから、「JRで車いすは乗車拒否されました」というブログのタイトル自体に疑問を感じざるを得ません。
JR側の落ち度としては小田原ではできないと言ったのに、熱海に行くと対応してくれたという対応の齟齬があったことでしょうか。ただ、結果的によい方向に転んでいますし、そこまで批判されることだろうかと思います。
このブログが賛否両論集めたのです。伊是名さんとしては理想と現実のギャップを埋めようとして、問題提起のつもりで書いたのでしょう。後にネット動画で語ったところによると、本人も炎上するなんて思っていなかったようです。
◆バリアフリー化の理想と現実
車椅子使用者でも当たり前のように生活できる社会……ただ、現実問題、そのギャップは簡単に埋まるものではありません。法律はあってもそれを実現するには予算が必要ですし、エレベーターを設置するにしても工事には時間も人も必要なので、すぐにはできません。そして既存の駅だと構造的に設置が難しい場合も考えられます。
むしろ「階段の上り下りができる車椅子を早く普及させるべきじゃないか」という意見があって、まったくそのとおりだなと思います。今月から施行された改正バリアフリー法では一日の平均利用者が2000人以上の駅でもバリアフリー化が進められることになります。一歩進んだわけですが、それよりも小さい駅だと対応する義務はないということでもあります。無人駅は増えていくことが予想されますし、そう考えると技術の向上で安全に階段を上り下りできる車椅子を作ったほうが合理的です(といっても、まだ時間がかかりそうですが……)。
◆制度の整備と事前連絡。求められる互いの配慮
伊是名さんはブログの最後で「声を上げていかないと何も変わりません。しかも声を上げ続け、味方を増やし、一緒に考えてもらい、たくさんの人で動いていかないと変わりません。」と書いています。
車椅子での生活というのは決して他人事ではありません。今普通に歩くことができる人も、単純に加齢による体の衰えもありますし、病気や交通事故だって考えられます。いつ自分が「車椅子に乗る立場」になるかわからないからこそ、優しい社会を模索すべきだと思うのです。しかし、伊是名さんのやり方はさすがにまずかったでしょう。このブログに共感するという人もいますが、賛否でいうと否が多く見られました。
事前に駅に連絡をしていたら、お互い変な思いをしなくて済んだのではないでしょうか。もちろん理想としてはふらっと駅に行って、当然のように目的地までストレスなく行けるということです。しかし現実問題、駅員にも限りがありますから、すぐに対応というのは難しい話です。仮に介助が必要な方がいきなり10人くらい重なってしまうと、対応は難しいでしょう。
◆対応してくれた周囲への感謝を忘れてはいけない
事前に連絡をしていれば駅としても人員配置を検討できるので、やはり合理的です。伊是名さんの場合、ホテルやレストランを予約しているのに、駅の移動については事前に連絡せず、それでいて「移動や交渉の合間に、新聞社数件に電話をし、帰る時は取材に来てもらったので、これから記事になる予定です」と、問題にするためにわざとやったのではないかと思わせる部分もあります。
当事者からするとまだまだバリアフリー化は途上であると思いますし、自分がその立場になることを考えて整備を進めていく必要がありますが、お互いに合理的配慮をすることで、より共感を生むのではないでしょうか。伊是名さんの場合だと事前に連絡をしておくとか、いきなり行くにしてもJR側が最終的に対応してくれたことに少しばかりでも感謝を書いていたら……ここまで炎上することはなかったのに。
◆今週の一言
車椅子の人にも優しい社会を模索すべき。しかし、対応してくれた周囲への感謝を忘れてはいけない。
<文/KAZUYA>
【KAZUYA】
動画配信者、作家。1988年、北海道帯広市生まれ。2012年より、YouTubeとニコニコ動画にて「KAZUYACHANNEL」を開設し、政治や歴史、社会問題などのニュースをほぼ毎日配信する。YouTubeのチャンネル登録者数は70万人超、ツイッターのフォロワーは11万人超。『日本人が知っておくべき「戦争」の話』など著書多数

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