飯塚事件の最高裁追認「説得力ない」 状況証拠揺れたまま死刑を維持

 飯塚事件の裁判のやり直しを認めなかった21日付の最高裁決定は、弁護側が確定判決に突き付けた疑義を淡々と否定した。直接証拠はなく、複数の状況証拠を積み上げて「立証」された事件。「十分な説得力を持って死刑判決を維持したと言えるのか」。識者から疑問の声が上がった。

 決定の書面は7ページ。元東京高裁判事の木谷明弁護士は「一応の理由らしきものは書いてあるが、弁護側主張を挙げつつ確定判決をなぞるだけで何も言っていないのと同じ」と批判。同じく元判事の水野智幸法政大法科大学院教授も「説得力がない」と首をかしげる。

 最高裁決定は、DNA型鑑定の証明力を事実上否定しつつ、他の状況証拠で元死刑囚が犯人であることが「高度に立証されている」とした福岡地裁、高裁の判断を追認。木谷弁護士は「判決の決め手となったDNA型鑑定の証明力が否定されている以上、確定判決が揺らいでいるのは間違いない」とした上で「最高裁が『死刑執行事件で再審開始しない』とのメッセージを発しているように思えて仕方ない」と指摘した。

 確定判決を支えた証拠は(1)DNA型と血液型鑑定(2)目撃供述(3)元死刑囚の車から検出された血痕・尿痕(4)繊維鑑定-など。水野教授は、確定判決が重視した目撃供述の信用性も揺らいでいると指摘し「最高裁が無理して死刑判決を支えたという印象を受ける」と話した。 (中原興平、高田佳典)

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