若者の政治無関心は本当だろうか・諸外国と比較してみる

↑ 日本の国政の象徴ともいえる国会議事堂。若者は本当に他国と比べても無関心なのか

政治関心度はやはり低い日本

国会議員選挙が行われるたびに活発化する議論の一つが、若年層の政治参加問題。人口比率の低さに加えて投票率も低いため、世代別意志反映度合いはさらに差が広まり、政策の上でのギャップにもつながってしまう。若者の政治意識は薄いようにみえるが、実態としては若年層は政治に関してどの程度関心を抱いているのか、そしてその状況は他国も同様なのか。2014年6月に内閣府が発表した、日本や諸外国の若年層を対象にした意識調査「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」の結果を元に、その実情を確認していく。

調査対象母集団に対し、今の「自国の」政治にどの程度関心があるかを尋ねた結果が次のグラフ。関心度の一番高い値を示したのはドイツだった。関心派は合わせて7割近くに達している。

↑ 今の自国の政治にどの程度関心があるか
↑ 今の自国の政治にどの程度関心があるか

強度の強い関心を持つ人に限ると、アメリカ・イギリス・ドイツが高い値を示し、韓国・フランス・スウェーデンが続き、日本は唯一1ケタ台。他方「どちらかといえば関心あり」の弱めな関心層はどの国でも4割前後と大きな差は無い。韓国では「関心なし」という、完全な否定派の値がもっとも少ない。ドイツも似たような傾向を示しており、若年層の政治への姿勢はドイツと韓国で似たような姿勢にあるともいえる。

日本はといえば、強い強度の関心度は諸国中最下位。関心無し派は他国とあまり変わらないが、「分からない」との回答率はもっとも高く7.3%。他の設問同様、意思表明を苦手、嫌う人の多さが表れている。

日本の若者の心の叫び「若者が関連する話は意見を聞いて」

それでは具体的に、政策決定過程で各国の若年層が望んでいる、考えているのはどのような事柄だろうか。各種要件を提示し、それに「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」「分からない」の5選択肢の中から自分の考えにもっとも近いものを1つ選んでもらい、前者2つを肯定派として足した結果が次のグラフ。

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↑ 政策決定過程への関与(そう思う派)(各国比較)
↑ 政策決定過程への関与(そう思う派)(各国比較)

第一印象として挙げられるのは、「子供や若者が対象の政策や制度はそれらの対象者の意見を聞くようにすべき」「私個人の力では政府の決定に影響を与えられない」以外の項目での日本の値の低さ。特に1つめのグラフ項目に多い、積極的な参加姿勢において値が低く、政治への及び腰が見て取れる。しかし同時に「政策や制度については専門家の間で議論して決定するのが良い」との選択肢でも肯定派は少なく、相矛盾する意識が政策への思いにあるよう見える(あるいは「代議士任せ」を意味しているのかもしれない。しかしそれは同時に「代議士は素人であり専門家では無い」との認識をも意味してしまう)。

回答者が若年層なので、「子供や若者が対象の政策や制度はそれらの対象者の意見を聞くようにすべき」の値は日本も含め皆高い。これは見方を変えると、どの国でも満足できるようなレベルでは、子供や若者の意志が政策に反映されていないと、少なくとも若者自身が認識していることを示唆する。またドイツは他国と比べて「社会をよりよくするために社会における問題に関与したい」の値が高く、社会貢献意識が強いことが分かる。

日本の若者の政治意識拙析

他国との相対的、比較論との前提で。日本の若年層は政治意識の点で他国と比べ、「関心は薄め」「積極的関与はしたくない」「でも専門家に任せるのもイヤ」との意識を強く持ち、一方で他国同様「自分達に関連する政策制度は自分らの意見を聞いてほしい」「自分一人では政府決定に影響など与えられない」との認識を抱いていることが透けて見える。

他方グラフ化は省略するが、他の項目同様今件政策関連でも「分からない」の回答はほとんどの項目で日本が一番高く(唯一「私の参加により、変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない」はスウェーデンが一番高く、日本はその次)、中庸的、ぬるま湯的な意思の持ち方を好む日本人の特性が現れる結果となっている。

若年層の政治に対する無気力感、絶望感、あきらめ感は良く見聞きする話。その感触は絶対的なものだけでなく、他国との比較論の点でも裏付けされたことになる。もっとも「(若年層の)個人の力では政府の決定に影響を与えられない」とする認識は各国共通(アメリカとスウェーデンはやや低めだが)なので、あながち日本だけの問題ではないのかもしれないが。

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