SACDリッピング

SACDはコピーガードが採用されていますので、PCでリッピングはできません。
まず、日本国内において、SACDリッピングは違法なのでしょうか?

平成24年通常国会、著作権法改正における改正法Q&Aで以下のような解説がされています。

問6-1 暗号方式を技術的保護手段の対象とすることにより,どのような規制が強化されるのでしょうか。(第2条第1項第20号等関係)
(答)
DVD等に用いられる暗号方式の保護技術を新たに技術的保護手段の対象とすることにより,第30条第1項第2号において,私的使用目的であっても,技術的保護手段の回避により可能となった複製を,その事実を知りながら行う場合には複製権侵害となり,民事上の責任(損害賠償など)を負うこととなります。ただし,刑事罰はありません。
なお,技術的保護手段の用いられていないCDを私的使用目的で複製すること(例えば,携帯用音楽プレーヤーに取り込むこと)は,著作権侵害とはなりません。
一方,第120条の2において,
・暗号方式による技術的保護手段の回避を可能とする装置又はプログラムの譲渡等を行った者(第1号)
・業として公衆からの求めに応じて当該技術的保護手段の回避を行った者(第2号)
に対しては,3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科することとなります。
なお,第120条の2に規定する罰則については,非親告罪となっており,公訴を提起するために著作権者の告訴は必要ありません。

問6-2 今般の法改正により,技術的保護手段の対象となる保護技術とはどういうものなのか教えてください。(第2条第1項第20号関係)
(答)
今般対象となる暗号方式の保護技術とは,コンテンツ提供事業者が映画などのコンテンツを暗号化することにより,機器での試聴や複製をコントロールする技術であり,現在,DVDやBlu-ray Discなどに用いられています。
具体的には,記録媒体用のCSS(Content Scramble System)やAACS(Advanced Access Content System),機器間伝送路用のDTCP(Digital Transmission Content Protection)やHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection),放送用のB-CAS方式などが挙げられます。

参考: 著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備

具体的にSACDに対する言及はありませんが、SACD自体がコピーガードされているコンテンツであることを考えると、リッピングは限りなく黒に近いと思います。

ただし、SACDプレーヤーのアナログ出力から録音したり、PCMに変換してデジタル出力したものを録音するのはコピーガードが無いという観点からは合法と言えそうです。

SACDは、開発メーカーのSONYによるメカの供給の打ち切り、それに伴うソニーメカ採用SACDプレーヤーの修理不可など、コンテンツを保護しただけでハードメーカーに対する配慮の無さなど、突っ込みどころはたくさんあります。

以前、初期型PS3を使ってSACDをリッピングする方法が一部で話題になったことがありました。そのためだけにPS3を入手する気が起きないので試したことはありません。

そして、少し前に海外のオーディオフォーラムでブルーレイプレーヤーを使ったSACDのリッピング方法が公開されていました。

技術的にこのプログラムを作った人は凄いなと、感心しました。
PS3を使うよりもよっぽど理に適っていますね。

面白いコンテンツだと思いますので、以下に方法をまとめてみます。

繰り返しますが、日本におけるSACDリッピングは法に触れる可能性が高いこと、以下の方法で本当にリッピングできるか(試していないので)保証はできません。

また、このコンテンツを作成する前に文化庁に問い合わせをしました。

1. SACDリッピングは違法なのか?
2. リッピングが違法な場合、その方法を公開することも違法なのか?

問い合わせフォーム: 著作権に関すること(About Copyright Policies)

残念ながら回答はもらえませんでした。方法を公開することもNGであると明確に分かった場合はこのコンテンツは非公開にします。

SACDのリッピングについて

リッピングの方法は海外のフォーラムをまとめました。
参考: SACD Ripping using an Oppo or Pioneer? Yes, it’s true!

1. ブルーレイプレーヤーを用意する

まず、リッピングできるブルーレイプレーヤーが必要です。

お手頃なモデルとしては、パイオニアのBDP-160やBDP-170です。
既に完了モデルですので中古で見つけるしかありません。



ヤフオクでBDP-160を探す
ヤフオクでBDP-170を探す

2. プレーヤー側の初期設定

OPPOの一部製品もできるようですが、入手性の高いパイオニア製品を前提に話を進めます。

こちらで検証していません。リッピングできない、ブルーレイの調子が悪くなったなどトラブルに対する責任は負いかねますので自己責任でお願いいたします。

後継のBDP-180は対応していないらしいので、注意してください。

1. まずブルーレイをインターネットに接続します。有線/無線どちらでも可。次にブルーレイのIPアドレスを確認します。

2. ブルーレイプレーヤーの設定項目
ディスク自動再生と、ラストメモリーをオフにする。

3. PC側の設定

1. FAT32でフォーマットしたUSBメモリを用意する。

ラベル名は短くする必要があります。例: ripなど

2. SACD-extract-BDP160.zipをダウンロードし、解凍したファイルを先ほどのUSBメモリに保存。
参考: SACD-extract-BDP160.zip

USBメモリにはそれ以外のファイルを入れないようにしてください。

3. PC上に任意のファイルを作成
便宜上、ここではCドライブにsacdというフォルダを作成した前提で進めます。

4. 先ほどのフォルダに、sacd_extract.exeを保存。
sacd_extract_0.3.8_WIN32.zipをダウンロードし、解凍します。

参考: https://github.com/sacd-ripper/sacd-ripper/releases

4. SACD-ISOファイルの抽出

ここからが実際のリッピングです。
まず、ブルーレイプレーヤーとPCを同じネットワーク上に設置します。

1. 事前に準備したUSBメモリをブルーレイプレーヤーの前面に挿入し、電源を入れます。
ディスクトレイを開け、SACDを挿入しトレイを閉じます。

2. PCのコマンドプロンプトを立ち上げます。
事前準備で作成した、フォルダに移動します。

今回はCドライブにsacdというフォルダを作成しましたので、コマンドプロンプトには、cd C:\sacdと入力。

次に、フォルダ内のsacd_extract.exeを起動します。

コマンドプロンプトには
.\sacd_extract -i 192.168.x.xx:2002 -P -I
と入力します。

192.168.x.xxは、ブルーレイプレーヤーのIPアドレスを入力してください。

これでリッピングが開始されるはずです。

次回はSACD-ISOファイルの処理の仕方について紹介します。

SACDISOとDSF、DSDIFFについて
SACDISOファイルをDSFおよびDSDIFFに変換する方法。DSFファイルのタグ編集の仕方など。

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