アルシェちゃんが好きなので
所々に出てきてしまいます。
特に戦闘をさせる気はないのですがね、今のところ。
お気に入りなので許して下さい。
お気に入りと言えば、登録してくれた人がまた増えました。
ありがとうございます。
でわ、ごゆっくりお楽しみください。
「あの、クーデリカを、妹を助けて下さってありがとうございました!」アルシェがペコリと頭を下げる。
「あ、うん。怪我無かったか?」
「ハイ!お陰様で。クー!ウー!ちゃんとお礼して!」
「もう言ったもんねー」「ねー」
「ハハ。さっき言ったもんな?」
「もう!口ばっか達者になって!本当にありがとうございました」
「いいって。それより小さい妹を2人も。大変だな。頑張れよ」
「ハイ!じゃあ失礼します。ごゆっくり」
アルシェは顔を赤らめてテテテと走って行った。
「なんだ?気に入ったのか?」
「バカ言うな!本心だ!本心。てか、そんな事言う様になったのか?」
「そんな事って、、、アルシェも年頃だぞ?別に変な事言ってないつもりだぞ」
「なんか変わったなガゼフ。それより昼も思ったんだが、そのアルシェや妹もそうだが後片付けしてた娘たちな。襲って来た相手と言えまるで庭の落ち葉を掃いてるみたいに掃除してた。大した肝の座りようだなって」
「この村の娘たちは地獄を何度も見て来てるからな。アレぐらいでヘコまんよ」
すると向こうのテーブルから声が上がった。
「クーレお姉様ー!またエルフちゃんたちが泣き出したー」
「なんなんだ!?」と驚くブレイン。
「あー、あのエルフちゃんたちも奴隷だったんだよねー。それで皆んなでワイワイし出すと、こんな幸せで良いのですかーって泣き出すの」
そう言うとクレマンティーヌはエルフたちのテーブルへ行った。
「賑やかだろ?」呆れ顔のガゼフはそれでも嬉しそうに言う。
「久しく忘れてた物を思い出したよ。ガキん時は俺の村でも皆んな寄るとこんな風だった」
「俺はなブレイン。拾って貰った陛下の恩は勿論有ったが、王室を守っていればそれは民を守る事になると思っていたんだ。この剣で多くの笑顔が守れるとな。ところがそれは甘い考えだった。ツアレや娘たち、沢山の人々が影で泣いていた。たった1人で出来る事なんざ知れてるのさ。だったら近くの者だけでも確実に守ろうと決めた。そして守る輪を段々と広げて行けばいいってな」
「・・・ガゼフ」
「ハハ!湿っぽい話になっちまったな!さぁ!飲もう!」
(俺の目指してたモノって何だったんだろうな)
ブレインはジョッキをグイッとあおった。
ーーーーー
「陛下。ローブル聖王国のカルカべサーレス様より書簡が参って居ります。」秘書官のロウネが封書を差し出す。
ジルクニフは机上の書類から顔を上げ封書を受け取り読み出した。やがて読み終えると深く溜息を付きロウネに命じた。
「四騎士を呼べ。それと王都の私の嫌いな女No.1と蒼の薔薇に迎えを出して連れて来い。あと、カルカ村へ早馬を出せ。」
「一体どうされたのです?その手紙になにが?」
「デカいイベントに成るぞ。総力戦だっ!」
ジルクニフは窓の外に目をやり、はるか遠くを見据えた。
ーーーーー
「おーい!帰ったぞー!」
突然広場にゲートが開き中から鈴木が出て来た。
「あ!サトル様だ!おかえりー!」
3人のちびっ子が駆け寄る。
「おー!ちびっ子3人組!」
鈴木はネムを肩車し双子をそれぞれ肩に乗せた。
「「「うわぁー!高い!高い!」」」
甲高い声に皆んなが集まって来る。
「あ、あ、アンデットっ!!」
身構えるブレイン。
「ゲッー!ヤンキー!」
身構える鈴木。
「ちょっと!ちょっと!待って2人とも!」
エンリが慌ててやってきた。
「サトル様、この人ブレインって言うの、ガゼフさんのお友だちだよ?」ネムが言うと。
「ブレインおじさん、サトル様だよ」「だよ」
両肩から双子も続く。
「ブレインおじさん?」「サトル様?」
例の如くツアレがお茶を出している。
「ふう。やっぱりツアレの珈琲は良い香りだ。落ち着くよ」
ブレインは緊張で強張って居る。
「まぁそう緊張するな。髪が青いからてっきりヤンキーかと思ったんだ。それよりクーデリカの事、改めて礼を言う。
ありがとう」
「いや、いえ、大した事はしてない、いや、していません」
「ハハ!私がアンデットなんで驚いたのだろう?」
「それは1番、いや、それもそうなのですが、その、息子さんも"個性的"だし、その女性も竜王国の女王様だとか、なんと言うかビッグ過ぎて、、、」
(ガゼフめ!アンデットなんて一言も言わなかったじゃねーかよ!)
冷や汗が止まらないブレインだった。
ーーーーー
「ジルクニフから呼び出し?」
蒼の薔薇はいつものカフェでお茶を楽しんで居た。
「何でもラナーにもお呼びがかかってるって使いの兵士が言ってたぞ」
「パーティー?」「んな訳ない」
「しょーがないわねぇ。まーヒマだし行ってみる?」
「お金出る?」「無給は勘弁」
「アダマンタイト級ってもよ、仕事ねぇーからな最近」
「決まりね」
ーーーーー
「ジルが?」
「どうします?」
「何か企んでるわね。きな臭いわ」
「止めときますか」
「でも最近は夜もマンネリだし、、、刺激が要るわ、クライム。いいわ、行きましょう」
ーーーーー
「そうそう、リザードマンから土産貰ったんだ。アクター、出して」
「お魚ですね」
「そう。干物って言うんだよ。一応保存も効くよ」
クンクンとツアレが匂いを嗅ぐ。
「なんか美味しそうです」
「まー、パンに合うかは微妙だけど。調理はツアレに任せるよ」
「はーい」と返事をし干物を調理場へ持って行く。
それを見送りながらエンリが思い出した様に口を開く。
「そうだ、サトル様。帝国から先触れがいらしてフールーダさん?が明日にもお越しになるそうです。」
「ゲッ!?」
「なんだブレイン、知ってるの?」
「帝国のフールーダってあの宮廷主席魔法使いの?」
「よく知ってるねぇ。そう、そのフールーダ」
「そのフールーダって!普通来ませんて」
「いや、約束したからね。向こうの仕事が落ち着いたんじゃないかな」
(ここはあれか?有名人がよく来るお店的な?)
「そか。じゃあエンリ、一応歓迎会みたいなのしなくちゃな。ネムや妹ズにも勉強教えて貰うんだし」
「妹ズと言えばアルシェも久しぶりだって喜んでました」
「師弟の感動の再会ってやつだね」
「ちょっと待って!あのアルシェってフールーダ様の弟子だったの!?」
「聞いてなかった?まー昔の事だからそこまで話してないか。ケッコーいい線いってたみたいだよ」
(そう言えばツアレさんの妹ってのも魔法使えるって言ってたな。あとエルフたちも使えるし。魔法学院か?劣等生だけど実はスゲーお兄さまとかも居るのか?)
「さっきから何ブツブツ言ってんのブレイン。独り言は癖になるよ?」
同じ癖を持つ鈴木は心配そうにブレインを見た。
「いえ、不思議な村だなと」
「ハハ!骨と埴輪が居る時点でお釣り来るよな」
「ブレインさんも直ぐに慣れますよ」
エンリはニッコリ微笑んだ。
ーーーーー
「バハルス帝国から返事は来たのですか?」
ローブル聖王国神官団団長のケラルト・カストディオは聖王女カルカ・ベサーレスに問うた。
「いいえ、まだよ。レメディオス、戦況はどう?」
聖騎士団団長レメディオス・カストディオは苦渋の表情で答える。
「思わしくありません。いや、むしろ悪化しています」
隣接するアベリオン丘陵の亜人たちが連合を組みジワジワと侵攻して久しく、最早王都陥落も時間の問題だった。加えてかねてからカルカの王位継承を良く思わない南部貴族からの突き上げも激しくなっていた。
「こんな時に内部紛争なんて、、、」
カルカは溜息をついた。
「しかしあの計算高いジルクニフが黙って応援を寄越すでしょうか?」
「対価の要求はあるでしょうね。だけど今は頼るしか無いのよ。リエスティーゼを併呑し竜王国とも同盟を結んだその手腕にね」
「噂ではそのどちらにも後ろ盾があったらしいですが」
「それについては報告が上がっていたわ。だけど詳細が全く不明、調べれば調べる程疑問点が増えてくる」
「スレイン法国は?」
「固く口を閉ざして何も知らないの一点張り」
「あいつら普段は人類のどうとかこうとか大層な理想を言ってる癖に肝心の時に見て見ぬ振りかっ!」
レメディオスは吐き捨てる。
「元々、信仰の違いがあるから仕方ないと言えば仕方ないのよ」
3人は再び深い溜息をついた。
ーーーーー
「おお!ここが魔法の深淵、いや、聖地ですかな!」
長旅の疲れも見せずフールーダのテンションは既に頂点だった。
「誰です?あの元気なお爺ちゃん」
娘たちはヒソヒソと話し合って居る。
「師匠!」
アルシェが駆け寄る。
「其方は、、、アルシェ?アルシェではないか!」
天才と呼ばれながら突過学院を退学し姿を消した愛弟子との再会にフールーダは喜びを隠さない。
「父上、感動の再会ですね」
「泣けるよなー」
父子はその光景を眺めて満足そうに頷き合った。
「また"濃い"面子が増えたな」
ドラウディロンは呆れ顔で広場に出て来た。
「フールーダ、紹介しよう。竜王国の女王・ドラウディロンだ」
「おお!かの竜王の血を引くと言う!これはこれは初めまして。フールーダと申します」
「ガゼフ、何か凄い絵面になってないか?」
ブレインは隣のガゼフを肘で突いた。
「人脈ってヤツだな」ガゼフは満足そうに言った。
ーーーーー
「それで、何を企んでいますの?皇帝陛下」
ジルクニフから一通りの説明を聞いたラナーは出された紅茶を飲みながら聞いた。
「相変わらず疑り深い女だなラナー。私はただ聖王国を救いたいだけだぞ?」
「陛下よぉ、腹割って話しよーぜ」
ガガーランはクッキーを鷲掴みにして口に放り込んだ。
「ジルクニフ陛下、我々を呼び出した真意を聞いたい」
「さっさと話せ」「キリキリ吐け」
キーノに続いて双子も問い詰める。
やれやれと言う顔でジルクニフは話し出す。
「別に隠す話でもないさ。カルカ・べサーレスの甘さはラナーも知っていよう?今回の亜人襲撃が無くとも南北の軋轢は来るところまで来ていた。このままではローブルはいずれ崩壊する。それを救おうと言うのだ。」
「私たちの"仲間"にする、と?」
「流石だな、その通りだ。スレイン法国はその聖典の力量といい、侮れない国家だ。時が熟せば必ず我々に手を出してくる。その先手を打つのだよ、それには言っては悪いが良い機会だと思っている」
「それで私たちに何をしろと?」
黙っていたラキュースが口を開く。
「冒険者を纏めて欲しい。元王国に所属していた者を全てだ、そしてラナーにはその後ろ盾になって貰いたい。私の影が見えるのは上手くない」
「帝国は高みの見物かよ?」
ガガーランは不満そうに言う。
「無論、ウチも動く。書簡は私宛に届いたのだからな」
キーノが手を挙げる。
「カルネ村には声をかけんのか?」
一同が注目する。
「カルネ村には現在フールーダが別件で出向いている、遅れて早馬も着いてこの事を伝える筈だ。判断はサトルに預けるつもりだ」
「出る、と見越しておいでですね」
「ラナー、それは違う。今回、サトルの出馬は難しいだろう」
「信仰、ですね」
「そうだ。スレイン法国もそうだが信仰と言うヤツは根が深い、サトルが孤立するのは何としても避けねばならん」
「鮮血帝の言葉とは思えませんね」
「お前とて同じだろう?元黄金姫」
「わかりました。その件は私にお任せくださいね、きっと悪い様には致しません」
「なんだかワクワクして来たわね!」
「鬼ボス、病気キタコレ」「鬼リーダー燃え」
「久々に暴れるか!」
(アクター様、来るのかな?)
(なんか空気っぽい)クライムは思った。
お疲れ様でした。
カルネ村には肉系が無いので
豪華な食事と言うのがイマイチ思い浮かびません。
豪華=肉、と言う貧困な思考なのです。
まぁ村は女子中心なのでポイなぁとは思うのですが。
じゃあまたよろしくお願いします。
ありがとうございました。