骨と卵   作:すごろく

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どうも、作者です。

今回は"男性"がメインに話が進みます。
1人は有名人、もう1人は作者の半分捏造です。(笑)
何故"半分"なのかはお楽しみに。

でわ、ごゆっくりお楽しみください。


その27 休養は重要。

「それでな!それでな!こう右手を水平にスッと動かしてして言うんだ(激流を制するのは静水)。そしてキメはこうだ。ちょっと斜めに構えて左手は帽子を押さえて右の人差し指をビッと出して(貴方はもう死んでますよ?)。くぅ〜!カッコいい!」

王都に戻って合流したキーノは帝都での出来事を話している。身振り手振りを交え超興奮状態だ。

「それでその後はどうしたのよ?」

ラキュースは半ば呆れ気味に聞いた。

「おう!その後な!これもまた粋なんだぞ!助けたエルフ達に手を差し伸べて(お嬢さんたち、お怪我はありませんか?)。んでな、白金貨を1枚出して店員に言うんだ(騒がしてしまいましたね、これで他の方の分もお願いします。)。な?粋だろ?もう痺れまくりだ!」

「そーとー重症だな」

「ガガーラン正解」「打つ手なし」

「お前たちはその場に居なかったから、そのなんちゅうか臨場感?みたいなのが分からんのだ!」

「はいはい、それでエルフを連れて村へ帰ったのね?」

「うん。親父さんに頼んで保護してもらうって。」

「でもよ、カッコいいっつも。卵みたいな顔だったぜ?」

「つるんつるん」「卵肌じゃなく卵顔」

「うっさいなぁ!つるりんとして可愛いじゃないか!」

「確かにあの服装はカッコいいのは認めるけどね」

「「「エッ!?」」」

「な、何よ!?カッコいいじゃない?」

「「「こっちも重症だな」」」

女子会は限りなく姦しかった。

 

 

「あ〜、また会いたいなぁ〜」

キーノは遠くを見つめて呟いた。

 

ーーーーー

 

「それで、白昼の帝都で大立ち回りを演じて、土産を買う様に渡した金をスコーン屋に投げて代わりにその者たちを土産に持ち帰ったと?」

こちらも呆れ顔の鈴木が言う。

エルフ達はラフな格好の骸骨魔王を前に固まっている。

「はぁ」

「はぁ、じゃないよ全く。仕方のない奴だ。騒ぎを起こしたのは事実だからな、後でジルに謝っとく。それと、そのエルフ達は連れて帰ったのも今更仕方ない。とりあえず、小ざっぱりした服を着せてやって、ツアレに言って何か作って貰え。ロクに食って無いんだろう?」

エルフ達はコクンと頷く。

「まあなんだ。詳しい経緯は後で聞くが、もう何も心配は要らんからな。それとも何処か行くアテでもあるのか?」

3人は黙って首を横に振る。

「そうか。ではアクター、責任持って面倒を見てやれよ。今から村の住人なんだからな。」

「父上!ありがとうございます!」

「「「あ、ありがとう、ご、ございます」」」

「ふう、もう良い良い。では下がって良し。」

 

(あんなに正義漢だっけか?まさか女の子の前だからカッコつけたとか?う〜ん、、、ありえ、無くも無い、、か?)

息子の不可解な行動に頭を悩ませる父であった。

 

ーーーーー

 

「では陛下、行って参ります。」

「爺、本当に行くのか?」

「約束ですぞ?何を今更。」

「向こうで迷惑を掛けんでくれよ?」

「心得ました。」

 

その日フールーダは荷馬車3台に満載の荷物を積んでご機嫌だった。古参の高弟でさえ見た事も無い浮かれ様にジルクニフは思わず溜息を付いた。

(ひょっとしてもう帰って来ない気じゃないか?荷物多すぎだろ?)

 

「では陛下、お達者で。」

 

(やっぱり!)

 

ーーーーー

 

「今更だけど何しに来たんだ?ドラウ?」

「表向きは街道の視察で本当の理由は息抜きじゃ」

「やっぱり!」

「そんなワケで暫く厄介になるから宜しく頼む」

「それは別に構わんが何も無い村だぞ?」

「分かっておらんの〜。何も無いから息抜きが出来るんじゃぞ?何も無いから何もしない何もしないからボーッと出来る。どうじゃ?」

「城に居ても、ほら、あの宰相が全部やってくれるんじゃないのか?」

「甘いの〜、激アマじゃ。国1つを治めるのはそんな甘い物では無いのだぞ?サトルも間違っても王になど成らん事じゃ。」

「ハハ、実感こもってるなぁ。」

「笑い事じゃないて。」

「スマン、スマン。俺はそんな面倒な者には成らんよ。」

「それが良いて、と、これでチェックメイトじゃな。」

「あ!ちょっと待った!」

「だーーーーめ。待った無しと最初に決めたじゃろ?」

「糞っ!もう一回!もう一回勝負だ!」

「お主も懲りんの〜。じゃが少々腹が減ったぞ?」

「ん?もうそんな時間か?・・・おお、もう昼だった。」 

「龍の体内時計を舐めるんじゃない」

「変な所で威張るなよな。じゃあ食堂に行くか。今日は何かな?」

「林檎と蜂蜜がとろーり入ったカレーじゃ。」

「鈴木感激!って何で知ってる?」

「ここへ来る前にツアレに聞いた。」

「馴染み過ぎだろ?一応女王様なんだし、もっとこう威厳みたいな?」

「それを取るから息抜きじゃないか、話を聞いておったか?」

「なんで俺が怒られる流れなんだよ。でもまあ友だちが家で寛いでくれてるのは悪い気はしないよ。」

「ところでなサトル。ツアーの事じゃが。」

「ツアー?ああ、例の白金の竜王か。あれがどうした?」

「頭は硬いが全く話が出来ん男でも無いんじゃ、だから早まった行動にだけは出ないでくれよ?」

「向こうが仕掛けて来ない限り何もしない、約束しよう。」

「そうか、ならもう何も言わん。奴も妾も同族じゃ、出来うる限りの事はさせて貰う。この村には指1本も触れさせん。」

「その時は宜しく頼む。じゃあカレーを食いに行こう!」

 

ーーーーー

 

「今度はマジネタなんだろうな?」

薄暗い店内で男は安酒を呷りながら、目の前の痩せこけた男に言った。

「この前のも結果的に喜んでたじゃないですかぁ〜」

痩せた男は不満気に反論する。

「安くてイイ子が居る店だってから行ったら、なるほど可愛いかったよ?だけどお前イザとなってよく見たら全員"生えて"んじゃねーか、俺はソッチの趣味はねーんだよ!」

「今度はマジネタ!しかも、スンゲー、レアな話ですぜ?」

「分かった、でも今回も騙しやがったらタダじゃおかねぇーからな?」

「そう来なくっちゃ!実はね、このエ・ランテルからそう遠くない所に村があるんですが、なんと!その村の全員が若い娘だってんです!」

「お前、殺すよ?ガセ掴ませるんならもっとうめぇ事やんな!」

痩せた男の胸ぐらを掴み男は凄んだ。

「ほ、ホントなんだって!ち、ちょっと苦しい!村の名前も割れてんでからっ!」

「この野郎、勿体付けてやがったな。良し分かった。ダチ公集めて偵察に行ってやる、勿論オメーも来るんだ。もしガセだったら、分かってるな?」

「も、も、勿論ですよ」

痩せた男は肩で息をしながらようやくそう答えた。

「こりゃあ派手なパーティーになりそうだな」

ニヤリと男は笑った。

 

(フン!下らんな。しかし上手く行くとカネになる話だ)

男達の後ろで1人酒を呑んで居た青い髪の男は心の中で呟いた。

 

ーーーーー

 

その男の名はブレイン・アングラウス。

王国御前試合で当時戦士長だったガゼフ・ストロノーフと接戦の末敗れたのだが、その敗戦はブレインの人生を変えてしまう。

凄まじい修行と酒の日々はブレインから人を遠ざけ、仕事も失った。遂には住む場所も無く放浪生活。ガゼフを倒したいと言う剣士の目標はいつしか復讐へと変貌してしまっていた。

(必ずガゼフを倒す。そして俺の祈願は成就するんだ。)

最早、何かに取り憑かれた様になっていた。

 

ーーーーー

 

「妾は初めてじゃが、餌も付けずに釣れるのか?」

暇を"満喫"している女王は父子と釣りに来ていた。

「「いや、釣れんよ」」

父子はボーッと竿の先を揃って眺めて言った。

「意味不明なのだが?」

「俺たちはただ自然を楽しんでるのさ。だけど男2人でただこんな事をしていたら変質者と間違われるだろ?その為の釣竿だ。」

「間違われると言うても他に人影など見当たらんではないか」

「ああー、女王。今フラグ立てましたね。」

「フラグ?なんじゃそれは妾は何も立てて居らん」

「息子の言う通りだドラウ。今に、、、」

「父上、フラグが来ました。」

パンドラズアクターが指を差した。

「ゲッ!何か泳いで来るぞ!」

「慌てるな、フラグだから」

「何を落ち着いて居る!?ああ!来る!来る!」

すると泳いで来た"何か"がひょっこり顔を出した。

「ワニじゃ!白いワニじゃ!」

「ドラゴンがワニに驚くなよな?しかし白いワニとは珍しい。ストップ!ひばりくんかな?」

「また父上が訳のわからない事を」

「おい、ワニ。どっから来た?」

「僕、ワニじゃないよ。」

「ヒエ!ワニが喋った!」

「だから落ち着けって。ビーストマンだって喋るのが居たんだから別に不思議じゃないだろうよ。」

「で坊主、ワニじゃなければお前は何なんだ?」

「リザードマン。それに坊主じゃないよ、ザリューシュって名前もあるんだからね!」

「おー、それはすまなかったなザリューシュ。それで何処から来たんだい?」

「あっち」と湖の向こうを指さした。

「向こう岸か、随分遠くまで来たんだな。それで我々を見つけたって訳か?」

「ううん、"オジサン"たち少し前から何回か来てるでしょ。

"オバサン"は初めてだけど」

 

((オジサン!!))

(オバサン!!)

 

「ベルトにしましょう、父上」

「ハンドバッグにしよう、サトル」

 

「待て待て待て!この子からしたら我々はオジサンとオバサンだ。そんなに目くじらを立てるな。」

(喋るアルビノリザードマンとはまたレアだな。他にも居るのか?)

「ゴホン!ザリューシュ、俺たちがリザードマンの村に遊びに行っては駄目かな?」

「え?う〜ん、どうかなぁ、、、父ちゃんは最近魚の養殖が上手くいってなくて誰かの知恵を借りたいって言ってたけど、、、」

「おお!それなら妾が何か力になれるかも知れんぞ?」

「え?ドラウが?」

「なんじゃ?その怪訝そうな顔は。こう見えても一国の女王ぞ?一通りの教養は身に付けて居る。」

「と言うのだが。どうだザリューシュ?父ちゃんの役に立つぞ?」

「うん!分かった。村に招待する!」

「そうか!そうと決まったら早い方が良い。今から行こう!」

「父上!一応エンリ達に連絡しときませんと心配します。」

「そうだな。ではザリューシュ、少しだけ待ってくれ。ゲートで戻って伝えて直ぐ戻って来る。」

言うが早いか鈴木はゲートを潜り行ってしまった。

「いつもああなのか?」

「いつもああです。レアはモノには目がありませんから。」

「待たせたな!」

「ひえ!早っ!」

「オジサン、魔法を使うの?」

「ん?そうだが、魔法を知っているのか?」

「母ちゃんが使うからね。」

「何!?おい!早く行こう!フライ!」

鈴木は皆を抱えて飛び上がった。

「うわぁ〜!凄い!凄い!オジサン、凄いや!」

「ちょ!サトル!いきなり飛ぶな!スカートが!中が見える!見えるじゃないか!」

「ハハ!下には魚しか居ないぞ?」

 

(さて、今度はどんな冒険が出来ますかね)

ワクワクしながら父の後を追うパンドラズアクターだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

ザリュースとクルシュの子が産まれた筈ですが
性別が不明でしたので"男子"とさせていただきました。
そして悟さん並みのネーミングセンスで名はこう成りました。

だって他に思いつかなかったんですもん。

じゃあまた、よろしくお願いします。
ありがとうございました。


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