中学受験目的の自主休校「望ましくない」 文科省、近く通知

中学受験を控えた小学生が、コロナ禍の特例措置を理由に「自主休校」「選択登校」と称して学校に登校しないケースが出ていることについて、萩生田光一文科相は4月14日、衆院文科委で、「本来の義務教育の在り方として望ましくない」と述べ、近く都道府県などの教委に適切な取り組みを求める考えを明らかにした。文科省では、コロナ禍の特例措置や不登校の取り扱いなどを整理して、近く通知を行う。

答弁する萩生田文科相(衆議院インターネット審議中継より)

萩生田文科相は「家庭や地域の経済的、社会的状況などに関わらず、全ての子供たちに教育の機会均等を確保することは重要。この趣旨に鑑み、日本国憲法第26条や教育基本法第5条において、保護者が子供を就学させる義務を規定しており、特段の事情もなく保護者が子供を小学校、中学校などに登校させないことは、この義務に違反する」と、義務教育制度の中で、保護者が子供を学校に登校させないことは原則として認められないとの基本的な立場を確認。

コロナ禍の特例措置について、「新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、あくまでも特例として、保護者から感染が不安で休ませたいと相談があった児童生徒について、同居家族に、例えば、高齢者や基礎疾患がある人がいるなど、合理的な理由があると校長が判断する場合には、欠席扱いとはしないなどの柔軟な扱いが可能であることを、昨年6月および本年2月に、持続的な学校運営のためのガイドラインで示した」と説明した。

その上で、コロナ禍の特例措置を理由に「自主休校」「選択登校」と称して学校に登校しないケースが出ていることについて、「昨年度末、小学生で私立の中学受験を準備している家庭の子供などが、特例を理由に一斉に休んだとのことで、学校の校長先生たちからも相談を受けた。雪崩を打つように皆さんが一斉に休んで、受験準備に没頭しているような状況は、本来の義務教育の在り方として望ましくないと思っている」と述べ、児童生徒の学びを保障するために必要な取り組みを適切に行う指針として、改めて都道府県などの教委に通知を行う考えを表明した。

浮島智子衆院議員(前文科副大臣、公明)への答弁。浮島氏は「『自主休校』や『選択登校』と称して、そもそも保護者には子供を学校に行かせるか行かせないかについて、あらかじめ選択肢があるという誤解が生じることは大きな問題だ」と指摘し、萩生田文科相に見解をただした。

文科省は新型コロナウイルスの感染拡大で学校の長期休校が続いていた昨年春、臨時休校に伴う児童生徒の出欠席や授業日数、家庭学習の取り扱いについて次々と通知を出した。それらを統合する形で昨年6月に「持続的な学校運営のためのガイドライン」をまとめ、さらにその改訂版を今年2月19日付で通知している。このガイドラインと学校現場の感染対策を一括した「衛生管理マニュアル」を合わせて読めば、コロナ禍の学校現場に必要な対応が分かるように整理されている。

改訂版ガイドラインでは、感染の不安を理由に登校しないケースを「出席停止・忌引き等の日数」として扱える範囲について、「生活圏において感染経路が不明な患者が急激に増えている地域で、同居家族に高齢者や基礎疾患がある者がいるなどの事情があって、他に手段がない場合など、合理的な理由があると校長が判断する場合」には、「『出席停止・忌引等の日数』として記録し、欠席とはしないなどの柔軟な取り扱いも可能」と明記している。


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