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高齢者用ワクチン、医療従事者に転用の動き…配分足りない自治体「医師ら感染なら接種進まない」

高齢者用ワクチン、医療従事者に転用の動き…配分足りない自治体「医師ら感染なら接種進まない」

医療者用にワクチン転用続出

高齢者用ワクチン、医療従事者に転用の動き…配分足りない自治体「医師ら感染なら接種進まない」

厚生労働省

 新型コロナウイルス対策として、12日に接種が始まった高齢者用のワクチンを医療従事者用に一部振り替える自治体が相次いでいる。国が最優先に接種するとした医療従事者用が届いていないためだ。医師らが感染して高齢者接種が停滞したり、地域医療の機能が損なわれたりするのを防ぐ目的で、ワクチンの転用が行われている。

 石川県珠洲市では、市総合病院で高齢者接種が始まる前日の12日、高齢者用約500人分の一部を使い、院内の医師や看護師ら45人に接種した。この日までに医療従事者用が届かなかったためで、市の担当者は「感染予防の観点から、接種を担当する医師や看護師を優先した」と話す。

 茨城県日立市は、今週届く予定の高齢者用2箱(約1000人分)のうち、約300人分を転用する方針だ。接種に携わる医療従事者には、自身の接種を終えていない人もおり、市の担当者は「医師らが感染すると、高齢者接種が進まなくなる」と語る。

 宮城県気仙沼市でも19日以降、接種前の開業医らに高齢者用を打つ。三重県桑名市では、21日から接種する介護老人保健施設の余剰分を医療従事者に回す。埼玉県和光市でも一時、転用を検討した。

 厚生労働省などによると、転用が行われるのは、医療従事者用の配分量が十分でないことなどが原因だ。13日時点でワクチンを2回打った医療従事者は、接種対象(約470万人)の13%にあたる約60万人にすぎない。

 一方、3月29日までに輸入されたワクチンの総量は約235万人分で、厚労省は同日の週までに医療従事者用として約126万人分だけを配送した。4月5日の週からは高齢者用が自治体に届いた。

 その結果、医療従事者の接種が終わっていない自治体に高齢者用が到着する事態が起きた。厚労省は4月12日から自治体に対して転用を容認している。

 高齢者接種では、自治体がキャンセル分を廃棄するケースが続いている。5人分のワクチン1瓶は、6時間以内に使い切る必要があるためで、13日に1人分を廃棄した福島県郡山市では14日、キャンセルで生じた余剰分は集団接種会場の医療従事者に打つことにした。

 地域医療に詳しい城西大の伊関友伸教授は「第4波が本格化しかねない中、医療従事者を優先するのは当然だ」と語り、「自治体が混乱しないよう、国はもう一度、医療従事者を優先すべきことを周知すべきだ」と指摘している。

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