あの「ばぶ先生」こと病理医の峰宗太郎さんは
筋金入りのScanSnapユーザーだった!
峰さんのScanSnap活用法を聞きました
あの「ばぶ先生」こと病理医の峰宗太郎さんは筋金入りのScanSnapユーザーだった!峰さんのScanSnap活用法を聞きました
病理専門医/峰宗太郎先生(Twitter:@minesoh)
インタビュアー:Dr.だすまんちゃん インタビュアー:Dr.だすまんちゃん
Twitter:@dusmanchan
デジタル勉強の先駆者の一人、医師でScanSnapアンバサダーの「Dr.だすまんちゃん」(Twitterのユーザーネーム)さんが、Twitterでの交流を通して「いつか直接、話をしてみたい」と願っていた人がいます。アメリカの国立研究機関で博士研究員を務める病理医でウイルス研究者の峰宗太郎さんです。新型コロナウイルス問題に関する的確でわかりやすいアドバイスによって広く知られ、「ばぶ先生」の愛称で親しまれている峰さんは、医師としてはもちろんのこと、ScanSnapユーザーとしてもDr.だすまんちゃんさんの大先輩にあたります。そしてこのたび、お二人の日米リモート対話がめでたく実現。Dr.だすまんちゃんさんがインタビュアーとして峰さんのScanSnap歴と活用法を聞き出しました。興味深いお話が満載です。
「峰先生の経歴、すごすぎます!」(だすまん)
「いやー、運がよかっただけですよ」(峰)
「峰先生の経歴、すごすぎます!」(だすまん)「いやー、運がよかっただけですよ」(峰)
峰宗太郎(以下、峰)Dr.だすまんちゃん先生、はじめまして。
Dr.だすまんちゃん(以下、だすまん)峰先生、こんにちは。ついに出会えました! ずっとお会いしたいと思っていたんです。
峰 こちらこそ、お会いできてうれしいですよ。だすまん先生は今、関西で研修をされているのでしょうか。
だすまん はい、関西の病院で初期研修医をしています。
峰 Twitterを見て「関西なんだろうな」と思っていました。僕は京都大学の薬学部だったので、関西はそれなりに知っているんですよ。
だすまん 先生は薬学から医学に進まれたんですね。
峰 僕はふらふらといろんなところを回ってきたんですよ。京都大学のあとは薬剤師をしながら東京大学大学院の修士課程に行って、そこを中退して名古屋大学の医学部に入り直したんです。だから薬剤師と医師のダブルライセンスになっちゃった。
だすまん めっちゃすごい経歴ですね(笑)。
峰 僕の場合、運がすごくよかったんだと思います。
だすまん 名古屋大学の医学部って運で入れるところではないですよ(笑)。なぜ医学では病理を選ばれたんですか。
峰 祖父が京都で開業医をしていて、非常に忙しくしている様子を見ていたので、僕自身は臨床医になろうという気はあまりなかったんですね。それと「ものの理由を見たい」という興味を強く抱いていたんですよ。人が病気になる理由が知りたかったということです。それで医師になったあとは東京の国立国際医療研究センターの病理コースで初期研修をしたのちに病理専門医になりましたが、また東京大学大学院の医学系研究科病因・病理学専攻に入り直して博士号を取って……と、行ったり来たりになったんです。
だすまん 試行錯誤しながら進んでこられたんですね。
峰 だすまん先生は今、初期研修医の一年目? いちばんつらい時期じゃないですか。
だすまん それが、チームの先生方が温かく接してくださるおかげで、毎日楽しんでいますよ。社会人になる前は毎日こんなに明るい気持ちで職場に向かえると思っていませんでした。
峰 それはいいですね。ハッピーな研修ができるということは大事ですよね。
「僕のScanSnap歴は2004年に始まりました」(峰)
「その時代に『自炊』していたなんて!」(だすまん)
「僕のScanSnap歴は2004年に始まりました」(峰)「その時代に『自炊』していたなんて!」(だすまん)
だすまん 峰先生は「ScanSnap」を初期の頃からお使いだと聞きました。
峰 ScanSnapに関しては、2004年に「fi-5110EOX」というモデルを買ったのを皮切りに、据え置き型はほとんどの機種を入手してきました。オーバーヘッド型の「SV600」も持ってますよ。あれは借りた本や高価な本を取り込むときにすごくいいんです。最新の「iX1500」はアメリカに来てから買いました。今、PFUの「今までに発表した製品」というwebページを見ていますが、懐かしいですね。「S500」「S510」はかなり長い間、使っていました。
だすまん 2004年というと、ScanSnapを使っている人もまだ多くなかったのでは。
峰 それどころか、PDFファイルというものを知っている人が少なかったんですよ。
だすまん ええーっ。
峰 僕が薬学部を出た頃の話です。タブレットPCも業務用の分厚いものしかなくてね。「iPad」の登場(2010年)以降とは全然違います。もちろん当時はいわゆる「自炊」という文化もありません。つまり、PDFもタブレットも断裁機も一般的ではない時代に、ScanSnapというすごく先進的なものを、何ができるのかもわからない状況で買ったんですよ。
だすまん それってすごいことじゃないですか。
峰 僕としては大学で使った本や、たくさんもらった講義などのプリント類、つまり勉強した軌跡を全部データで保存して、紙という実体は捨てたいという思いがあったんです。最初は写真で残そうと思いましたが、当時はデジカメの画像もよくなかった。それで、スキャナーでスキャンできればいいんじゃないかと、まあ一種の妄想を抱いていたんですね。そうしたら京都の家電量販店でScanSnapを見つけまして。一種の出会いですよね。さっそく買って、分厚い本も全部カッターナイフで切って、今でいう「自炊」みたいなことをしたわけです。当時はScanSnapも今ほど速くないし、PCの性能の問題もあったし、まあ大変でした。
(参考)だすまんちゃんに聞いた!すぐに役立つデジタル勉強TIPS 第二回 カッター1本でできる「自炊」講座
だすまん 本を切ってスキャンしてデータ化すればいいということを、どうやって思いついたんですか?
ScanSnapの説明書に書いてあったわけではないですよね。
峰 もちろん書いてありませんね(笑)。そのときは大学を卒業したのに合わせて京都から実家に引っ越すということで、プリントと本を捨てなきゃならなくなって、でもそれらはオリジナルワンだし、失いたくなかったんですね。だから必要に迫られてスキャンを思いついたということなんです。当時そういう情報を発信していたら、今頃は「自炊」の第一人者になっていたかもしれない(笑)。
だすまん そうですよね。だって「自炊」のやり方を思いついたんですもの、ご自分で。
峰 苦労はしましたが、当時作ったいろいろな資料などをデータで取っておけたのはすごくよかったし、心置きなく捨てられるというのも非常によいことですよね。データを取ってあるから、物としての紙は未練なく「ありがとう」していいんだよというのが。
だすまん そうですよね。 すごくよくわかります。授業プリントとか、貴重ですものね。
峰 それで結局、薬学部時代のものをほとんど電子化して実家に帰って、今度は実家で高校のときのノートなども全部切って取り込みました。その頃から僕のScanSnap熱は激しくなって、「私の目の前を通った紙の情報はすべてScanSnapで取り込む」ということにしたんです。それからというもの、かれこれ15年間、本当に「目の前を通った紙はすべてデータに」しています。いただいたお手紙も、それこそレシート類も全部電子化して。
だすまん それもまたすごいですね。全部でどれくらいの容量になっているんですか。
峰 定期的に圧縮していますが、4テラのハードディスクが3つくらい重なってます(笑)。現在はアクティブなものをクラウドの「Google ドライブ」や「Evernote」に入れていて、保存だけのものはハードディスクにばんばん放り込んでいます。
「入学時、全員にiPadが配られました」(だすまん)
「これからはデジタルネイティブの時代」(峰)
「入学時、全員にiPadが配られました」(だすまん)「これからはデジタルネイティブの時代」(峰)
峰 僕から見ると、だすまん先生のようにデジタルを使いこなしている世代こそが「すごい」と思いますね。お医者さんも今は「iPad mini」に必要なものを取り込んでおいて、病棟でも簡単に調べますよね。僕が研修医だった頃は現場で「iPhone」を使って検索することはできましたが、タブレット持ち込みまではしていませんでした。
だすまん 私が医学部に入学した2014年の時点でiPadが学年全員に配られたんですね。学校もプリントではなくデータを配る、書き込みもそのデータ上で行うという、それがデフォルトだったんです。
峰 なんてこった(笑)。そうなるともうデジタルネイティブ世代ですよね。僕らはデジタル化の過渡期でいろいろ試行錯誤を重ねましたが、「自炊」の文化やタブレットで勉強する文化が始まる前に医師免許を取っちゃった。そもそも当時、多くの人がデジタルで勉強することの可能性に気づいてなかったんですよ。
だすまん はい。今でも気づいていない人は多いと思います。
峰 教科書をスキャンしてタブレットで勉強できる環境が整ったのは2010年以降でしょうか。
だすまん そうですね、iPadが一般化したのと、ScanSnapで「自炊」するのがブームになったのと、二つが同時に起こってからですね。
峰 あの「自炊」ブームに影響されて、出版社が電子書籍の出版点数を増やしたでしょう。それは好ましい流れだと思います。僕が学生の頃は紙しかなかったから、『イヤーノート』(医師国家試験の問題を網羅した医学生必携の書籍)も本のまま持ち歩いて勉強してました。
だすまん 私の場合、このリンクから『イヤーノート』を全部見られます。これも『イヤーノート』の出版社がデジタル化の工夫をしているということですよね。予備校などもPDFファイルをやり取りできるところがみんなに支持されています。デジタル化は医学業界全体の流れですね。
峰 「自炊」以外にもScanSnapが役に立つことがたくさんあります。たとえば重要書類のデータ化。僕は麻薬施用者免許や保険医の登録票といった、医者として大事な書類をScanSnapで全部電子化しています。今はアメリカでビザ関連の書類をPDF化してスマートフォンに入れていて、これがすごく便利です。それを見せると原本を出さなくても通れるところがけっこうあるんですよ。
だすまん そうなんですね。
峰 ScanSnapは紙とデータの接点ですよね。僕がアメリカに来て最初に揃えたのはScanSnapとシュレッダーです。「iX1500」は白と黒、両方持っております。
だすまん ええーっ。2色買いですか。峰先生、ScanSnapめっちゃ好きじゃないですか(笑)。
峰 黒は職場に、白は家に置いているんですよ。どこでも、何でも取り込みたくなるから。
だすまん 2台欲しくなる気持ち、よくわかります。使い勝手はいかがですか。
峰 まだいろいろな機能を試すところまでいっていませんが、とにかくスキャン速度がすごく速い。これは助かりますね。今はどんどんスキャンして、「ScanSnap Cloud」経由でEvernoteに飛ばしています。それと、ScanSnapは紙送りの性能が素晴らしくて、紙詰まりなどのトラブルがほとんど起こりません。スキャナーとして重視すべきところをしっかり押さえているので、スキャナーを買うならScanSnapが「正解」ですね。
だすまん 今、峰先生は主にどんな紙をスキャンしているのでしょう。
峰 いちばん多いのは、手書きで作った実験メモですね。僕の場合、公的に残さなければならない公式のノート以外は、即スキャン・即シュレッダーというルールを決めています。ですから、ちょっと思いついたメモなどは全部ScanSnapでスキャンしてEvernoteに送り、紙はその場で捨てるということをしていますね。
だすまん 実験メモを手書きノートアプリで書くとか、最初からデジタルで作るということもあるのでしょうか。
峰 もちろん可能なんですけども、研究施設に「紙のノートを残しておかなければならない」というルールがあるのが一つのポイントなんですよ。研究開発、いわゆるR&Dの領域においては書類の証拠能力が非常に重要になってくるので。
だすまん ああ、なるほど。
峰 ただ、そうした書類を何で残しておくのがいいのかは常に議論されています。今後はだすまん先生のようなデジタルネイティブ世代が、手書きノートアプリをどんどん活用していくようになると思います。
だすまん きっとやるでしょうね。ただ一つ意外なのは、私たちデジタル世代にScanSnapのすごさがあまり伝わっていないように思えるということなんです。ノートをiPadで作っているのにScanSnapは知らなくて、でも私が教えると「すごい」と言って「自炊」を始める人が多い。峰先生はScanSnapからのスタートだったけど、私たちはScanSnapのまわりで発達してきたデバイスやデジタル環境から入っているので、そこから遡ってScanSnapの便利さをみんなに知ってもらえたらいいなと思ってます。
峰 なるほど、だすまん先生たちはデジタルの世界が広くなってからの世代だから、ScanSnapを認識する順番が僕らと逆になっているということですね。それにしても今はすごい時代。アメリカにいても日本の本を電子書籍ですぐに買えるし、日本にある書類が必要なときは実家のScanSnapでスキャンしてもらって、メール一本で送ってもらうということもできちゃう。デジタル環境とScanSnapがあることで、いろいろなボーダーがなくなりますよね。
だすまん 本当にそうですね。峰先生、今日はお話しできてよかったです。なんといっても2004年の時点で先生が「自炊」と同じことをしていたというのがいちばんの驚きでした。ありがとうございました。
峰 こちらこそありがとうございました。本当にねえ、あの情熱はなんだったんでしょうね(笑)。
峰宗太郎
病理専門医、薬剤師、医学博士。京都大学薬学部・名古屋大学医学部・東京大学大学院医学系研究科卒業。国立国際医療研究センター病院、国立感染症研究所等を経て、アメリカ合衆国の国立研究機関で博士研究員を務める。専門は病理学・ウイルス学・免疫学。
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