新型コロナウイルス感染症の重症患者の増加に備えて大阪府が設置した「大阪コロナ重症センター」が今月に入り、最大30床から13床に運用体制をいったん縮小していたことがわかった。感染再拡大により既に満床となっており、府は4月6日、大阪府看護協会を通じて約80人の看護師を急募すると発表。7日午後には「医療非常事態宣言」を発出し、大学病院などに追加の病床確保を要請した。
大阪コロナ重症センターは当初、60床で運用する計画だったが、完成したのは第1期の30床だけで、第2期30床の増築工事を凍結。現在、設置できる病院を募集中で、当初の運用開始見込みが大幅に延期されている。
大阪府に限らず、どの自治体でもピークアウトが過ぎると確保病床を減らし、再拡大すると慌てて増やす、という対応が続いている。医療提供体制の拡充が課題として繰り返し指摘されてきたが、人材確保も含め、なかなか進んでいないのが現状のようだ。
(追記)東京都も専門病院の受入病床を3月中旬以降、半減させていたと、文春オンラインが報じた。
4月6日現在、コロナ重症センターで治療を受けている重症患者は13床中13人で、使用率100%となっている。
大阪府看護協会は「コロナ重症センター」で1ヶ月以上勤務できる看護師を80名程度、時給単価4200円(手当込み)で募集。即戦力が必要な状況のため、「人工呼吸器装着時のケア経験のある方で、レッドゾーンでの勤務が可能な方」を条件としている(募集要項)。
同協会担当者によると、昨日から募集を始めて既に何人か応募がきているが、より多くの応募が必要な状況だという。
重症患者の減少で運用体制縮小 増築も秋に延期
大阪コロナ重症センターは23.5億円をかけ、大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)の敷地内にプレハブ平屋建てで設置された。対外式膜型人工肺(エクモ)は備えていないが、すべての病床に人工呼吸器を備えている。
昨年12月15日から運用開始したが、人材確保が難航し、自衛隊から看護師を派遣してもらうなどして5床からスタート。
その後、徐々に受入体制が拡大し、今年2月ごろには最大受入可能な30床を運用していた時期もあったが、重症患者が減少に転じたため、先月、体制を縮小していったという(府健康医療部の担当者への取材)。
大阪府は昨年7月、再拡大に備えて、大阪コロナ重症センターを今年1月までに整備し、60床の重症患者を受け入れる計画を発表していた。
しかし、第2期の30床の施設工事は凍結。公募で複数の病院敷地内に設置する「ミニ・コロナ重症センター」を作る方針に転換し、運用開始予定は10月に延期された。
大阪府内の重症患者の受入病床数もほとんど増えていないのが現状だ。
大阪府内の重症患者の受入病床数の推移
206床(2020年11月1日)
206床(12月1日)
236床(2021年1月1日)
236床(2月日)
221床(3月1日)
224床(4月1日)