“鳥取クラスター”の衝撃 変異株並み「強い感染力」の正体

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 変異株じゃないのに強力な感染力――。鳥取県で起きたクラスターの検体分析に衝撃が走っている。変異株ではないのに、感染者のウイルス量が異常に多いのだ。日本各地で感染が広がり、変異株ばかりをマークしがちだが、新たな脅威の登場なのか。

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 鳥取は累計の感染者数が279人と全国最少の最優良県。ところが3月末、2つのクラスターに見舞われ、大騒ぎになっている。

 1つは3月29~30日に判明した倉吉市の社員寮クラスター。入寮者15人中、11人が感染し、全員が変異株だった。入寮者のうち1人が21日と22日に大阪府を訪問していた。倉吉市の石田市長は「変異株の強さ、恐ろしさが改めて理解できたと思う」と語った。

 もう1つは、3月31日に認定された鳥取市の飲食店クラスターだ。2次感染も含めれば感染者数は40人に上る。26日に同店で送別会の2次会を開いた県職員8人も含まれる。40人の感染者からは、変異株は確認されなかった。

 変異株ではなかったが、驚きなのがウイルスの量だ。英国型変異株の検体からは、従来型よりも10~100倍のウイルス量が検出されている。ウイルス量が多ければ、当然、感染力を高め、発症しやすくなる。

 ところが、変異株でなかった鳥取クラスターの感染者からも変異株並みのウイルス量が検出されたという。感染者40人のうち、感染力が強いとされる「Ct値25未満」が16人に上ったのだ。

手ごわすぎる第4波

 鳥取の平井知事は1日の会見で「(鳥取クラスターの)Ct値を見ると、変異株の倉吉のケースとあまり変わらない。変異株並みの感染力があると思った方がいいのではないか」「我々はまだ解明できていないが、何か注意しなきゃいけないウイルスの連鎖が今、起きていますよ」と警戒感を示した。

 県は日刊ゲンダイの取材に「変異株であろうとなかろうと、今流行しているウイルスは感染力が強いとみています」(感染症対策本部)と答えた。まさか、ヤバいウイルスが出現しているのか。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長が言う。

「日本はゲノム解析が極めて不十分なので、多様な変異株のごく一部しか追えていないのが実情です。実際は、英国型や南アフリカ型など、これまでとは違う変異株が出現していてもおかしくありません。鳥取のクラスターは、Ct値が低いことから、感染力の強い新たな変異株なのかもしれません。従来の変異株用PCR検査では陰性だったのでしょうが、速やかにゲノム解析を行い、ウイルスの全貌を解明すべきです。変異株が比較的少ない宮城や、4日時点でゼロの山形で感染が再拡大しているのも、従来型ウイルスではなく、別の変異株が原因である可能性も否定できません」

 ゲノム解析を強化しないと、変幻自在の変異株に振り回されるだけだ。 

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