コロナ変異株ついに「ネズミ」も感染した不安
感染する動物種の増加が意味すること
コウモリ、サル、ミンク、ネコ、大型類人猿……。新型コロナウイルスはヒト以外にも多くの動物に感染することがわかっているが、そのリストに今度はネズミが加わった。不安をかき立てる研究結果だ。
ネズミ(げっ歯類)の感染は人間に差し迫った危険をもたらすわけではない。この点は、そこら中にネズミのいるロンドンやニューヨークのような大都会でも変わらない。
南アフリカ型とブラジル型が獲得した「新たな能力」
そうだとしても、この発見は気がかりだ。専門家によると今回の研究は、従来の研究結果と並んで、新型コロナウイルスが変異によって一段と幅広い動物種に感染する能力を獲得しつつあることを示唆するものだという。
「ウイルスは変化し続けている。残念ながら、その速度はかなり速い」と今回の研究には関与していないノースカロライナ大学チャペルヒル校のウイルス学者ティモシー・シーハン氏は語る。
実験用マウスの鼻腔にウイルスを入れた今回の研究では、中国の武漢で最初に検出された従来型のウイルスと現在ヨーロッパで感染が広がっている変異株「B.1.1.7」のどちらにもマウスは感染しなかった。
ところが、南アフリカとブラジルで発見された「B.1.351」と「P1」の変異株には感染しうることがわかった、と研究を率いたパスツール研究所(フランス)のザビエル・モンタギュテリ博士は話す。博士は獣医学者でマウス遺伝学が専門だ。3月にインターネット上で発表された同研究は、学術誌の査読をまだ終えていない。