2020年12月21日
金沢工業大学、国際高等専門学校、東プレは2020年12月14日、石川県白山市にある養鯉場でナノ水力発電の実証実験を開始したと発表した。養鯉(こい)場に養殖目的に給水されるパイプラインを活用した小水力発電だ。
産業機器メーカーの東プレは、新規事業として農業用水や工業用水などが保有する余剰圧力(未利用エネルギー)を活用したナノ水力発電システムの開発に取り組んでいる。今回新たに開発したナノ水力発電システムは、同社が強みとする塑性加工と流量制御、インバーター制御技術、金沢工業大学の流体工学を応用。従来の小水力発電装置より小型のため、中山間部の用水路など、従来、設置の難しかった場所にも導入しやすいのが特徴だという。
システムは養殖用のパイプラインから取水し、装置中央にある直径100mmのデュアルタービンを回転させ発電機で発電する。発電量は、昨年度の検証では一般家庭2世帯分に相当する1kW超を確認できているという。
流れる用水の一部を取水するため、水量による発電量の変化が少なく、一日中安定した出力が得られる。発電した電力はパワーコンディショナーを通じて100V変換を行い、家庭の一般的な低圧電力として使用し、余剰電力は蓄電池に貯められる仕組みとなっている。
なお、実証を行う養鯉場には、養殖に必要な水中ポンプ・エアポンプや自動給餌器、また実験データ取りに必要な計測器やデータを送る通信機器、更には連続稼働状況を確認するための遠隔監視装置や照明などがあるが、今回設置したナノ水力発電システムにて、これらの機器・装置が消費する電力すべてをまかなうことができるという。
金沢工業大学と国際高等専門学校は、学校・学科・分野を超えた共創教育研究として、東プレとの共同プロジェクトを推進している。実証実験では、連続して長期間、稼働させ、取水時のじんかい除去に関する課題やシステム効率、耐久性といった課題を改良していく。最終的には2021年度中の商品化を目指す方針だ。
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