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元女性自衛官が語る…自衛隊が「5分前の精神」にめちゃくちゃ厳しい、納得のワケ

【前編】すべては入隊後の集団生活にある
二見 龍 プロフィール

できることが広がっていくと、視点が高くなる

かざり 私はずっと要領が悪く、できないことが多い人間だったのですが、自分のできることを一個ずつ増やしていくと狭かった視野が少しずつ開いていきました。視野が開いていくと周りが見えるので、小さなことでも自分ができることを一個ずつでも増やしていくと、冷静になる心が育っていくことを知りました。

これが、誰かに依存するというか、常に誰かに手伝ってもらっている状態だと、ずっとそのままなのですね。身近な、簡単なことからでも、小さなことを積み重ねてできるようになっていくことで周りが見えてくるのです。

 

二見 そのとおりです。できることが広がってくると、視点が高くなってくるのです。すると、見方が変わってくる。かざりさんは素晴らしいです。私はだいぶたってから気づきましたが(笑)。

かざり とんでもありません。褒められてとてもうれしいです(笑)。でも、実際、心と身体が置かれた状況に追いついていないことはよくありましたね。それを助けてくれたのが自衛隊体操です。

自衛隊体操の「統制運動」の姿勢をとるかざりさん(写真:かざりぷろじぇくと)

自衛隊体操は陸上自衛隊と航空自衛隊で日常的に行われている体操です。いわゆる普通のラジオ体操ではなく、ダイナミックストレッチに近い、全身が筋肉痛になるような体操なんですね。

まだ一般の方には知られていない体操だったので、これをうまく使うとみな健康的になれるんじゃないかなと思って、動画にしてみたのです。これが、600万人以上もの方々に再生していただき、今年1月、その本(『YouTubeで超人気!元女性自衛官かざりの即やせダイエット 個人授業』)を出せたのはとてもうれしいことです。自衛隊で学んだ知識を、いまは動画で世の中の人々と共有できればいいなと思っています。

二見 自衛隊時代には私もやっていましたが、たしか70年近くの歴史があると聞いています。国旗掲揚の時刻がだいたい8時なのですが、そのときに全員でやります。階級も関係なくみんな並んでやります。米軍からきている連絡幹部メンバーがその様子を見て、「なぜ、全員でできるのだ……」と驚くくらい、統制がとれたものですね。

ダイナミックストレッチというお話も出ましたが、きちんと腕を伸ばして、可動域限界まで体を回転させる、ひねりも相当入っています。若い年代でも思いっきりやると、肩がだるくなるぐらいなのですね。

ひねりが入っていますので、年齢の高い隊員になるとひねりがそもそも弱くなってくるので、非常に効果的な体操ですね。体操というよりも、強化運動という感じでしょうか……。

二見龍さんと、かざりさん。それぞれの新著が話題になっている(編集部撮影)
次回へ続く=後編では、かざりさんが発信する自衛隊体操の全貌と、二見さんが力説するきれいな姿勢、精神を安定させる呼吸法などを紹介します。

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