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元女性自衛官が語る…自衛隊が「5分前の精神」にめちゃくちゃ厳しい、納得のワケ

【前編】すべては入隊後の集団生活にある
二見 龍 プロフィール

周りが見えないと、やるべきことも見えてこない

二見 実際、チームでずっとやっていると、人の心の動きとか、調子が悪そうということにも気づくようになります。いつも準備が早くて整っている人が、今日はなぜか遅い、表情も険しいとか、すぐわかってきます。すると助けるようになるのです。自分もそういう立場になるかもしれませんしね。そういうことがわかるようになるんです。

 

最初は時間に追われてできないという部分があるのですが、慣れてチームでやるようになると苦にならなくなります。一緒になってやることが楽しくなります。

かざり それでも、アイロンの取り合いとかは普通にありましたよ(笑)。でも、一人がイライラすると、そのイライラとか焦りとかは全員に伝わっていくんです。全員に伝わって、部隊全体の士気が下がってしまいます。

入隊前は、自分のことしか考えられないタイプでしたが、自衛隊に入隊して冷静にならないと周り全体に迷惑がかかることに自然と気がつきました。やっぱり、周りのことをきちんと見られる状態にならなければ、おのずと自分のやるべきことも見えてこないのでは、と思いました。

二見 そういうセルフコントロールができるようになるのが、自衛隊の集団生活の強みなのです。たとえば、これは有事のときだけでなく、何かの拍子にパニックになったときも大事です。大きく騒いでしまった場合、仲間に与える影響はかなり大きなものになります。仲間がそうなったら、おさえなければなりませんが、その前に自分でコントロールするようになっていくのです。

「落ち着け!」「考えろ!」と自分に言い聞かせ思考を切り替えるのがその第一歩です。そして、間近に迫ってくる一番危険なものを排除するということで、最初の問題が取り除かれます。アップアップになっている自分を改善することができます。

だから、心の中をずーっと波も何もない水面、月が映るような静かな状態にしておくと、いろんなことが感じ取れるようになります。自分の心も落ち着くのですね。そこを目指そうということですね。具体的には私の本『自衛隊式セルフコントロール』に「パニックを防止して心をコントロールする」方法など、詳しく記しました。

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