先日、親友の結婚式があり、初めて息子と2人だけで沖縄に帰省しました。息子も4歳になって約束を守り、話を聞けるようになってきたからです。しかし、航空券を予約するとトラブル発生! 航空会社から待ったがかかったのです。
その航空会社独自のルールでは、身の回りのことができない障害者は必ず付き添いを付け、さらに3歳未満の子どもがいる場合は、もう1人付き添いが必要なのです。私は身の回りのことは自分でできるし、子どもも3歳以上なのですが、緊急時の脱出などの対応を理由に、利用を保留にされてしまいました。息子は指示に従って動けること、何回も搭乗の経験があることを説明し、どうにか認められましたが、当たり前の私たちの生活が否定されたようで、悲しくなりました。
ヘルパーをはじめ、誰かが一緒に出掛けてくれるのは安心です。でも急ぎのときにその調整をしないといけないのは面倒です。制度の中で、私がヘルパーを使える時間も限られています。さらにヘルパーへの給料、交通費もかかります。付き添いがいつでも簡単に付けられるわけではありません。
航空会社をはじめ、安全のためにルールが設けられるのは仕方ないでしょう。でもそのルールを作るとき、私のようなマイノリティーの利用が軽視されていると感じることがあります。最近では、格安航空会社バニラエアに搭乗した、車いす利用者であり、バリアフリー研究所(大阪府豊中市)代表の木島英登さんのことが話題になりました。車椅子での搭乗を拒否されたので、彼はタラップを這(は)い上がって搭乗しました。しかし、事前連絡をせずに搭乗した彼を「クレーマー」などと批判する声も少なくありませんでした。今まで事前連絡した車椅子ユーザーは利用を断られていました。私はまわりの人が、声をあげた木島さんを批判するのは筋違いだと感じました。飛行機に車椅子ユーザーが乗れないのは仕方ない、そう思う人が多いようで悲しくなります。
車椅子で乗れない乗り物の多いこと! 沖縄県内にノンステップバスが走るようにはなりましたが、本数が少ないです。車椅子が乗り降りできないバス停も多く、バス停の改良も必要です。「車椅子だから乗れないのは仕方ない」ではなく「車椅子でも乗れる」を当たり前にしたいです。そしてもう一歩進んで、車椅子での利用の便利さ、使いやすさも追求してほしいです。だって、普通に考えて、一日数本しかないバスだと、自分の予定に合わなくてなかなか使わないでしょう? 降りられないバス停があったら、降りられるバス停で降車し、目的地までの長い距離を歩くこと、やらないでしょう? 「車椅子でも使えるからいい」ではなく、「車椅子でも普通の人と同じ条件で使える」それを広めていきたいです。
伊是名夏子
いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。
(2017年8月14日 琉球新報掲載)