俺が高校を中退し、色々なアルバイトの面接に落ちて、17歳で最後に行き着いた仕事は鳶でした。
それまで、学校などほとんど行かず、自堕落な生活を送っていた俺にとって、
毎朝4時半に起きて、5時には家を出発し、日によりますが数時間車に揺られて建築現場に着き、
へとへとになって20時過ぎに帰宅する、という毎日を繰り返すことは身体的に非常に大変なものでした。

さらには上司から段々とエスカレートするいじめを受けていました。
最終的には、今でも痕が消えずに残っていますが詰所で手を灰皿にされ、塗料剥がしを体に塗られて爛れる皮膚を見て笑いものにされたり、地上100メートルの鉄骨を安全帯無しで渡らされたり、枚挙に暇がない状態でした。

そんな経験を思い返して、今思うことは「素晴らしい経験だった」ということです。
当時はもちろん、怒りは相当なものでしたし、なんで俺がこんな目に、と思ったものですが、
この経験自体が宅浪を頑張り抜くエンジンを造ってくれました。
こんな職場で働くことに比べたら、ただ家で勉強していればいいなんて、幸せ以外のなにものでもありません。

また、これは技術職全般で言えることだと思うのですが、「質問したら怒られる」というのは俺の人生に渡って大きな教訓になったと思います。

大体の教職はよく言います。

「わからなかったら質問してください。」
「質問に来ない人はやる気がない。」

俺は全くもって、質問することが良いことだとは思いません。

わからなかったら、質問する前にとにかく自分で考える。
自分の知識不足のせいでわからないのであったら、関連書籍で調べる。
質問は俺の中で最後の手段であり、また降伏(自分の無能さ)の表明だと思っています。
「わからない⇒知っている人に聞こう」という思考回路は、その間にある考えるというプロセスを全く無視していて、
個人的には怠惰以外のなにものでもないし、自分の成長を妨げる悪行でしかない。

質問の利点としては、「時間の節約」「相手のご機嫌取り」くらいしか事実上挙げられないんじゃないでしょうか。
だから、何か(方法であっても、知識であっても)が分からないとき、最初に質問のメリットとデメリットの秤に乗せて、考えます。

もちろん、質問すること自体は悪いことでもなんでもなくて、
例えば俺も滅多に会えない尊敬に値する人とかには、考えてる時間がないし、物の考え方や、経験などの質問をぶつけますので、本当に状況によりますけど。