成人してからの幸福度を予測する因子としては、「学業成績」よりも「社会とのつながり」のほうが優れている。
Image: snigl3t/Flickr

32年の追跡調査でわかった「幸福な人生の秘訣」

ニュージーランドに生まれた子ども約1,000人を対象とした32年間にわたる追跡調査データから、成人後の幸福度の高さにはどういった因子が関係しているのかが明らかになった。「学業成績」よりはるかに重要な要素とは。

7月の『Journal of Happiness Studies』誌に掲載された論文は、子どもが幸福な成人となるプロセスについて研究している。

この研究には、ニュージーランドのおよそ1,000人を対象に、誕生直後から成人期までを追跡調査している『ダニーディン 健康と発達に関する学際研究(Dunedin Multidisciplinary Health and Development Study)』のデータ32年分が用いられた。

この調査では、3年ごとに「親や仲間への愛着」「主観的長所」「社会経済的状態」「クラブやグループ活動への参加」「言語発達」「学業成績」など、およそ思いつく限りの社会心理学的に好ましい要素について評価がなされている。そして、32歳時の調査で「幸福度」が評価された(驚くべきことに、発達時のどのような要素が精神病理などのマイナスの結果をもたらすのかという問題については長年研究されてきたにもかかわらず、発達時のどのような要素が幸福などのプラスの結果に結びつくのかを探る研究は、これまで行われていなかった)。

もっとも「幸福」だと感じるのはどんなとき?

成人してからの幸福度に最も結びついていた要素は、若年期における「社会とのつながり」だった(その方面に詳しい人向けに言っておくと、相関係数は0.62)。これに比べて、「学業成績」は幸福度の予測因子としてはるかに劣っており、相関係数は0.12だった。

この研究では、「社会とのつながり」について、「社会的愛着の質」「組織的なクラブやグループへの参加」「主観的能力または長所」「生活への満足度」の4つの尺度で評価している。

第一に、十代の若者にとって、社会的愛着の大きな部分を占めるのは「両親との関係」だ。十代のころに両親との関係が良好であるほど、幸福度の高い成人になる可能性は上昇する。また、十代の若者にとって、自分の親を好きであることと同じくらい重要で、なおかつ同じくらい想像しがたいことは、彼らが学校を好きであることだ。

ただし、社会とのつながりや学校を好きであることが重要だからといって、その子どもが「人気者」でないと幸福な大人になれないということはまったくない。花形クォーターバックであることより重要なのは、「何か悩み事があったり、怒りを覚えたときに相談できる相手」を持つことだと、研究チームは述べている。また、所属するクラブはスポーツである必要はない。幸福につながるのは運動への熱心さではなくグループに属することだ。

そしてもうひとつ重要なのは、32歳になったときの幸福度を予測する因子は、10代の若者が客観的事実としてどのような生活を送っているかではなく、その若者自身が自分の生活をどのように評価しているかだという点だ。その若者は、自分の将来について楽観的で、自立していて、おおむね忙しい毎日を送っているだろうか? もし答えがイエスなら、その若者は、西洋社会における若者のステレオタイプを覆す存在であり、かつまた将来、非常に幸福な大人になる可能性が高いということだ。

米WIREDオフィスにもGoogleストリートビュー

一般の人も画像をアップできるようになったGoogleストリートビュー。石見銀山や秋芳洞の鍾乳洞等のほか、報道機関のオフィスとしては初めて、サンフランシスコにある米WIREDオフィス内も覗けるようになった。撮影方法等を紹介。

明るさを調整するグーグルのカメラマン。WIREDオフィスで。

米WIREDは今週初め、『Google Map』のストリートビューに記録された世界で初めてのニュース編集室となった。サンフランシスコにあるわれわれの本社にやってきたカメラマンが、雑誌部門デジタル部門の両方の仕事場を撮影したのだ。

パーティションで仕切られ、ドリンクコーナーが設置され、最近の『WIRED』誌のポスター大の表紙が飾られている所は、雑誌が作られているセクションだ。オープンレイアウトになっていて、ビールサーバーや(あまり使われていない)卓球台が見える場所は、われわれオンライン部門の本拠地となっている。(次ページに掲載)

カメラをセットするグーグルのカメラマン。

グーグルのカメラマン、ティモシー・ワンは、シグマの8mm魚眼レンズを搭載したキヤノンの『EOS Rebel T1i』を、英360Precision社の三脚架に取り付けて、90度ごとに撮影を行った。

これはいたって普通の装備で、グーグルの有名な『Street View Car』や、15個のレンズを備えた『Trekker』バックパック(日本語版記事)のような驚きはない。だが、完全に既成品だけで構成されたこの装備なら、カメラマンは狭いスペースでも難なく動き回ることができる。

訪問中に撮影された画像は500枚以上だ。われわれがグーグルに依頼したのは、従業員の顔と画面を画像処理してほしいということだけだ。

グーグルは現在、さまざまな建物の内部をストリートビューに記録しており、公共建築物レストラン美術館と30,000点に及ぶ芸術作品を見ることができる。

南極(日本語版記事)やケネディ宇宙センター(日本語版記事)のほか、石見銀山大久保間歩秋芳洞の鍾乳洞などでも、驚くべき内部の様子を鑑賞できる。

また、2011年10月からは、外部の写真家や企業が自分でパノラマ写真をストリートビューにアップロードできるようになった。このため、さまざまな歯科医院の内部等を覗けるようになった(今回の撮影は、グーグルからオファーがあったものだ)。

それでは、WIREDオフィスの内部を紹介しよう。ちらかっているのはお詫びしたいが、それは同僚のせいだ。

TEXT BY NATHAN OLIVAREZ-GILES
PHOTO BY ARIEL ZAMBELICH/WIRED
TRANSLATION BY ガリレオ -佐藤 卓

WIRED NEWS 原文(English)

米WIREDオフィスにもGoogleストリートビュー

一般の人も画像をアップできるようになったGoogleストリートビュー。石見銀山や秋芳洞の鍾乳洞等のほか、報道機関のオフィスとしては初めて、サンフランシスコにある米WIREDオフィス内も覗けるようになった。撮影方法等を紹介。

明るさを調整するグーグルのカメラマン。WIREDオフィスで。

米WIREDは今週初め、『Google Map』のストリートビューに記録された世界で初めてのニュース編集室となった。サンフランシスコにあるわれわれの本社にやってきたカメラマンが、雑誌部門デジタル部門の両方の仕事場を撮影したのだ。

パーティションで仕切られ、ドリンクコーナーが設置され、最近の『WIRED』誌のポスター大の表紙が飾られている所は、雑誌が作られているセクションだ。オープンレイアウトになっていて、ビールサーバーや(あまり使われていない)卓球台が見える場所は、われわれオンライン部門の本拠地となっている。(次ページに掲載)

カメラをセットするグーグルのカメラマン。

グーグルのカメラマン、ティモシー・ワンは、シグマの8mm魚眼レンズを搭載したキヤノンの『EOS Rebel T1i』を、英360Precision社の三脚架に取り付けて、90度ごとに撮影を行った。

これはいたって普通の装備で、グーグルの有名な『Street View Car』や、15個のレンズを備えた『Trekker』バックパック(日本語版記事)のような驚きはない。だが、完全に既成品だけで構成されたこの装備なら、カメラマンは狭いスペースでも難なく動き回ることができる。

訪問中に撮影された画像は500枚以上だ。われわれがグーグルに依頼したのは、従業員の顔と画面を画像処理してほしいということだけだ。

グーグルは現在、さまざまな建物の内部をストリートビューに記録しており、公共建築物レストラン美術館と30,000点に及ぶ芸術作品を見ることができる。

南極(日本語版記事)やケネディ宇宙センター(日本語版記事)のほか、石見銀山大久保間歩秋芳洞の鍾乳洞などでも、驚くべき内部の様子を鑑賞できる。

また、2011年10月からは、外部の写真家や企業が自分でパノラマ写真をストリートビューにアップロードできるようになった。このため、さまざまな歯科医院の内部等を覗けるようになった(今回の撮影は、グーグルからオファーがあったものだ)。

それでは、WIREDオフィスの内部を紹介しよう。ちらかっているのはお詫びしたいが、それは同僚のせいだ。

TEXT BY NATHAN OLIVAREZ-GILES
PHOTO BY ARIEL ZAMBELICH/WIRED
TRANSLATION BY ガリレオ -佐藤 卓

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