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【完全保存版】過去問演習の効果的なやり方

過去問演習と問題集演習の目的の違い

受験生は、11月を過ぎた時期から「過去問演習を始めるべきか、問題集を続けるべきか」といった疑問が湧いてくるかと思います。

そのように悩む理由は、過去問演習の役割がわかっていないからです。

過去問を1.5倍の試験時間で解いてみる

まず、過去問を1.5倍の試験時間で解いてみることをイメージしてみてください。時間がある人は、実際に解いてみてもOKです。

過去問を1.5倍の試験時間で解いてみると、時間ではなく、純粋な知識量が測れます

制限時間を1.5倍にしても合格最低点に届かないのであれば、原因は解答スピードではなく、知識量です。

多くの受験生は、はじめから解答時間で解こうとしたり、解答時間より短くして解こうとします。そして、最低点が出ないと「演習量不足」「過去問に慣れていない」とパフォーマンスに起因させ、知識量が足りないことに気が付きません。結果、本来なら問題集に戻って知識量を増やすべきところ、さらに演習に時間をかけてしまうのです。

過去問演習は知識を増やすことにはほとんど寄与しません。解説は淡白で、抽象化も学習者に任されます。

知識が足りないのか、パフォーマンスが低いのか、原因を切り分けるためにも、必ず解答時間を1.5倍にすることからはじめましょう。

問題集演習の役割

知識量を増やすことにあります。

  • 数学:典型問題の解き方をより多く身につける
  • 理科:典型問題の解き方をより多く身につける、単純知識を増やす
  • 社会:単純知識を増やす
  • 国語:単純知識を増やす(古文単語、古文文法、漢文句形、漢文重要漢字)
  • 英語:単純知識を増やす(単語、文法)

過去問演習の役割

持っている知識を100%答案用紙に置いてくるために、時間配分を調整したり、形式に慣れたり、スピーディーに処理をする練習をします。

スピーディーに処理をする練習は必須です。知識量は必要十分あるのに時間内に解き終わらないのであれば、過去問演習を通し、試験時間内に目標点以上が安定して取れる状態を目指しましょう。

特に東大のように、過去問の形式が例年変わらない大学に関しては、どの大問に何分かけるかを事前に完璧に決めておくことは必須となります。

過去問によってのみ得られる知識

過去問を通してのみ得られる知識に目を向ける必要があります。

  • 合格最低点
  • 各教科の配点
  • 各科目の目標得点
  • 時間配分
  • 解くべき問題の難易度

これらを知識として頭に入れることを、忘れず行ってください。

過去問演習前に確認すること

合格最低点

過去問を解く前に、必ず合格最低点を確認しましょう。合格最低点が公表されていない場合は、合格者平均点から、だいたいの目安となる点数を予想するようにしてください。

合格最低点 × 1.2 = 合格者平均

と考えて結構です。

頻出分野、出題傾向

大学によっては頻出分野や傾向が偏っていることが多いです。

例えば、毎年確率と積分は出ている、とか、図形・空間系の出題が多い(複素数平面、図形と方程式、空間ベクトル、積分を使った体積問題)など、偏りが見られるケースが多いです。

解答時間、時間配分

解答時間と時間配分も予め決めておきましょう。

ネットで検索すると合格者の意見が出てくるので、参考にするといいでしょう。パフォーマンスをあげるために過去問演習する際は、解答時間よりも5分短くして問題を解くようにしましょう。本番は名前を書いたり、最後の数分は緊張して実質的には時間がないのと同じですので。

パフォーマンス

下記について絶対に守って過去問を解くようにしてください。

  • 最初の1分で全体を見通す
  • 例年と傾向が変わっていないか確認する
  • 解くべき問題を決める(取るべき得点率を踏まえて)
  • 時間配分を決める
  • 解く順番を決める
  • 解ける問題を最優先して解けないと思ったらすぐに飛ばす
  • 大問ごとの時間配分を守る
  • 随時ケアレスミスのチェック(最後にまとめての見直しは絶対にダメ)

受験生の4月中に、過去問を1年分見てみる

受験生の4月中に、1年分の過去問を見てみてください。解かなくて結構です。

目的は、今後の勉強においてどれくらいのレベルの問題が解けるようになる必要があるのかを、感覚わかっておくことです。その後の復習や新しい問題集への取り組み効率が格段に上がります。

然るべき問題集が終わったら過去問演習に入ってOK

目安は、過去問レベルの問題が載っている問題集が自力で解けるようになったら、過去問演習に入ってOKです。過去問に入れる状態にあるのに市販の問題集を継続するのは、少し効率が悪いです。

さっさと過去問に入り、足りない知識が明らかになったら部分的に市販教材で補うという順番で勉強したほうが、ロスが少なくて効率的です。

過去問より難しいレベルの問題を解く必要は一切ない

例えば、過去問に登場する数学の問題のうち、合格最低点を上回るのに必要な問題(だいたい全体の7割ほど)が、『Focus Gold』の例題・練習に紐付くなら、『Focus Gold』の例題・練習より難しい問題を解く必要はありません。

過去問より難しいレベルの問題を解くことは害にもなります。解かなくても良い問題(≒捨て問)にも手を出してしまい、時間をロスしてしまうからです。必要十分なレベルの問題しか解かなければ「自分に難しすぎると思うから、これは捨て問だ」と自信を持って判断することができます。

難しい問題集をやるほど頭が良くなりそう、などといった間違った考えは、すぐに捨て去ってください。

過去問レベル以上の問題を解くのではなく、過去問レベルの難易度の問題を網羅的に解くほうが合格可能性に直結します。あらかじめやっておいた類題が本番に出題される可能性が高まりますし、類題でなくても当該分野の穴を埋めることができます。深めるより面を広げるイメージです。

入試本番では、かけた時間だけ得点に反映される状態が理想です。点数につながらないことに時間をかけることは、もっとも避けなければなりません。

過去問は年度数を増やせばいいものではない

多くの年度をやるほど過去問の成績が伸びるように錯覚している人がいますが、間違った考えです。

過去問をやることによって”本番力”や”対応力”といった漠然とした力を身につけることが過去問演習の目的だと思いがちですが、漠然とした”◯◯力”に頼り、無自覚な大量の演習を行うことは超非効率なので絶対にやめましょう。

本記事にあるように、過去問演習の位置づけや役割、過去問演習を通して得るべき知識といったものを認識し、意識的に学習するようにしましょう。

過去問演習のやるべき年数

特に決まっていません。

知識量が十分ある人は、制限時間内に合格最低点が取れるまで何年分もやってください。

知識量が十分ない人は(試験時間の1.5倍をかけても点が取れない人は)、過去問演習をやっても意味がないないので、ほとんどの時間を問題演習にかけてください。

「過去問が最高の教材」は嘘

「過去問が最高の教材であり、簡単な問題集を終わらせたら過去問演習に入るべき」という意見を聞きますが、周りの東大生、医学部生で、そのような方法で勉強していた人はいません

過去問の重要度が問題集より低い理由は、主に2つあります。

抽象化/体系化が、学習者に任されるから

過去問集には「この問題はこう解く」という解説は載っていますが、「この手の問題はこう解く」というコンテンツが載っていません。

つまり、1つの問題から本質を見抜き、抽象化し、転移できる知識にまで昇華するのは、個々人に任されているのです。これでは学習効率が低いです。

そもそも過去問には「応用性の高い学びが得られる問題だけ」が載っているわけではありません。悪問も奇問も含みます。

一方、問題集には、応用性が高く、学びが多い問題だけが選定されて載っています。

問題集を十分にやらず早めに過去問演習をやってしまうと早々に成績が頭打ちになってしまうので注意しましょう。

全ての問題が解ける必要はないから

合格最低点は6−7割であるので本番ではその6−7割が解けたら良いにも関わらず、どれが解けるべき問題で、どれが解けなくても良い問題なのかがわからないのが、過去問の致命的な点です。

本番で解かなくても良い問題に時間を使うのは、学習効率が低すぎます。

それに、ほとんどの大学で小問レベルの配点は公表されていないため、実際にどれくらいの点数が取れているかを把握するのが困難です。

傾向は変わる可能性がある

出題傾向を調べても裏切られる可能性は十分にあります。

特に私立大学では出題傾向が大きく変わることがあります。分野に絞って対策するのはリスクが高いので、絶対に避けましょう。

不確実性を減らすためには、出題傾向を掴むのではなく、過去問の「レベル」を把握するようにしてください。そして、過去問のレベル以上の問題・問題集には手を出さないようにしましょう。

過去問演習に過度な期待は持たず、必要十分なレベルの知識量を増やすことに最大限時間をかけることをオススメします。